kapuwa(カプワ)のナリタチ、カタチ。

絶やすことなく現代まで守り、つなげてくれたからいま、わたしたちが出合えるもの。
今回ご紹介する「kapuwa(カプワ)」のお洋服にも、人の手を惜しまずものづくりをしていた時代の、変わらぬなつかしさが感じられます。カプワデザイナー・宮本愛子さんのアトリエをたずね、お話しをうかがいました。

WEAR THE SHOES,RULE THE WORLD!!!

「モクハン」を、ご存知ですか?

隙間なく埋め尽くされた色とりどりの四角、白く輝く満開のデイジーに、お菓子のように甘い雰囲気をまとうカラフルな雫――。
これらカプワのプリント生地はすべて「木版プリント」というインドの伝統工芸が用いられています。
ブロック状の木に柄の模様を彫り、A4からB4くらいの大きさのハンコをつくって染料をしみこませ、ペタンペタンと生地に押していく作業はすべて手しごと。木と太陽などの自然、それぞれの職人が誇る技術があれば、パソコンや機械、電気を使わなくても、こんなに素敵な生地ができあがります。

――カプワでつくった木版はどれくらいありますか?
「2010年の夏につくった『shizuku柄』をきっかけにブランドをスタートしました。春夏、秋冬と1シーズンに2~3種類ペースでつくってきて、いまはおよそ20種類くらいできました。2008年に初めてインドへ行って、知人に紹介してもらった工房でずっと作り続けています。インドは長い歴史のなかで形成されてきた身分制度がいまも根っこにある国なので、職人たちがどのような環境でものづくりをしているのか、いつも気にしています。カプワで依頼している工房は、オーナーと働いている人たちの距離感が近くて、とてもよい雰囲気でみんなが仕事をしています。ほかの工房もたずねてみるのですが、やっぱりうちが一番!と思ってしまって、なかなか新しいところがみつからないですね(笑)」

ターゲットはずばり「タカネコ」

ブランドの“たからもの”として

――ひとつの柄につき、つくる木版の数はひとつなのでしょうか?
「色数と同じだけ必要なので、3色なら3つ、10色なら10コの木版が必要です。木版に向く彫りやすくて丈夫な、堅過ぎず柔らか過ぎない木はとても貴重です。限りある素材を大切に使っていきたいので、カプワでは4色までと決めています。昔の贅沢な生地では十何色と使っているものもあって、きらびやかでたしかにキレイですが、カプワでは4色までがちょうどいいかなと思っています。」
また、いつも4色使うのではなく、4色フルに使った次は2色だけ、という調整もしているそう。
「あと、新しい柄が思い浮かばないときは、きっぱり諦めます(笑)。そんなときは以前つくった木版を使って、色や生地を変えてリユースするんです。色が違うだけでも新鮮だし、風合いが異なる生地を選べば、染料の乗り具合の変化でかすれたりにじんだり、思いもよらなかったプリントに出合えたりもします。
また、木版は50年は使えると言われているので、工房で大切に保管してもらっています。木版もそれをつくる木も“たからもの”。40年後、50年後にまたプリントできるように、流行にのりすぎず、長く使えそうな柄を、とも考えています。」

――写真の花柄も、なつかしい雰囲気がします。
「2015年春夏の新作『たんぽぽ』です。アウトラインの黒とお花の黄色、茎と葉っぱの緑で3色使っています。はじめにアウトラインを押していきます。アウトラインは彫る場合も押す場合も、そのあとに続く大事な作業のガイド役を担っているので、一番のベテラン職人が担当します。」

――作業中と完成した生地とで茎の部分の色が違うようにみえますが、色違いですか?
「いえいえ、同じなんです。色が変わることで繊維に定着して色落ちしにくくなる特殊な染料を使っていて、プリントしたあと洗いにかけて天日干しすると、この緑色になります。染料はドイツから輸入していて、高級ホテルで扱っているタオルに刺す刺繍糸も同じ染料が使われているそうです。毎回漂白が必要なものなので、色落ちしないように。」

また染料は、カラーマスターという色をつくる専門の職人が天秤と重りで色粉の配分を調整、鍋でコトコト煮てオリジナルのカラーをつくってくれると言います。

思いが伝わるバスケットづくりを目指して

「誰にも読めないような謎のノートがあるんです(笑)。日照時間や湿度、気温など、天候によって配合を調整しないと同じ色味は出せないので、すごい技術と経験だと思います。また、配合してから24時間以内に染色して干さないと色が違ってきてしまうため、予想していたお天気がハズレるとロスが出ることも少なくありません。インド製はB品(品質が劣る商品)が多いと言われていますが、工程を知ればただのB品ではないと納得してもらえると思います。出合いは柄がかわいいと気に入ってくださるお客さまでも、木版プリントでのものづくりやインドの文化に少しずつ興味をもたれて、理解してご購入いただけているので。でもどうしてもお洋服には使えないと判断した生地は、ミニトートにしてショッパーやノベルティとして活用しています。」

――インドには1年に何回くらい行っていますか?
「4、5回くらいですね。時間があればとにかく行きたいと思っています。とても暑い6月や雨季と、大きなお祭りがある時期は仕事にならないので避けます。」

――大きなお祭り、ですか?
「インドは神様と切っても切り離せない文化を持つ国で、信仰する神様をお祭りすることはとても重要な行事なんです。公的な機関もお休みになるくらいなので、外にまったく人がいなくなってしまうほど。最初の頃はそんな事情も知らずに押しかけていったので、勝手に苦労していました(笑)。
日本で作業していると、納期が。。とか、こちらの都合で気持ちばかり焦ってしまうので、そんなときは特にインドが恋しくなります。
木版の仕事にたずさわっている地域は、ヒンドゥーを信仰している人が多いのですが、宗教の特徴のせいか町並みや居住が清貧で、昔の日本にタイムスリップしたような気分になるんです。それもインドへ行きたくなる理由のひとつかもしれません。」

――しかし、いきなりインドへ行くなんて、すごい決断でしたね。
「実は、なるべく飛行機に乗らない人生を送りたいと思っていたくらいなので、自分でも不思議な感じです。ただ服づくりをしていく上で、どうせなら本物を、布のルーツをもつインドへ、という思いはありました。見渡す限りの綿花畑は、圧巻の風景ですよ。」

(写真一番下)たんぽぽの生地をはじめ、カプワでは手紡ぎ手織りのカディコットンも多く使われています。正真正銘の手紡ぎなため、糸の太さが特徴的な布です。着たり洗うことを繰り返しながら太い糸が摩耗していき、柔らかく肌ざわりのよい風合いに。通気性にも優れています。
「カディは使っていくほど風合いの違いが分かってくる布です。価格は高くなってしまいますが、綿が好きで、カプワの雰囲気も気に入った、という方にはぜひ、使用感をたのしんでほしいです。
インドはいろんな生地が豊富にありますし、高級な綿素材にも手が届くのは本場ならではの強みです。現地の人は本当にいいものを知っているので、柄と合う生地をとことん一緒に探して、みなさんにご紹介していきたいと思っています。」

ソフトミックスラフィア

「カプワ」= 守る。= つながる。

ブランドネームは宮本さんがたいせつにしていた、ある名前から名づけられました。
「ブランドをはじめると、カプワさん、のようにブランド名で呼ばれる機会も増えるんだろうなと思って。だから呼ばれてうれしい響きの名前にしたかったんです。とてもたいせつな存在だったので、今度わたしがその名前で呼ばれるならいいかなと思って。」
その後しらべると実は、偶然インドに関係する言葉だったそう。
「菩提樹を守ることを仕事として定められ、インドからスリランカへ遣わされる人々を『カプワ』と呼んでいるそうです。植物が好きなのでロゴに木をデザインしているのも偶然です。菩提樹と重なるようでおどろきました。木版プリントを広めてちょうだい、と言われているような気もして。」
カプワに似た言葉はほかの国にもあって、“花びら”や“つながりのある仲間”という意味をもつものも。インドと日本、長い歴史のある木版プリントでのものづくりなど、さまざなま“つながり”がブランド・カプワにも宿っているようです。

「インドへ行くと毎日工房へ通って、休憩のときはみんなとお茶を飲みながら、こんなのつくりたいな~と話すと、やってみよう!できないことはないよ!と言ってくれるんです。靴下も、アクセサリーも、レターセットまで(笑)ぜんぜん関係ない製品なのに、紙の工場やジュエリーの工房も紹介してくれて。毎日忙しいのに、すごく前向きな人たちばかり。日本だけでつくっていたら続けてこられなかったんじゃないかと思って、本当に感謝しています。」

(写真上から2枚目)「tunagaru」という名前の生地。カプワという言葉がもともと意味する“つながり”に引き寄せられて生まれたよう。
(写真上から3枚目)ワンピースとiPhoneケースが「HAPPA」柄でおそろい♪ iPhoneケースは日本製で、数は少ないそうです。
(写真一番下)向かって左奥に写っているのが、紙からオリジナルでつくったレターセットとしおり。水彩絵の具で色付けしたような、ふんわりにじんだような質感も、木版プリントならでは。

思いが伝わるバスケットづくりを目指して

HAPPA柄シルクコットンワンピース

シルク混のコットン生地がなめらかな、肌に心地いいふんわりワンピース。単色の葉っぱ柄は四季それぞれのシーズンになじんで、素材感とともに通年着られるワンピースです。襟と袖口のひかえめな切替、話題のミモレ丈も清楚な雰囲気に。ウエストはドローストリングで調整ができるので、すっきりとメリハリをつけた印象でもお召しいただけます。

――わたしこちら購入しました♪ やわらかいのに1日着ていてもシワが気にならなくて、びっくりしました。
「そうですね。おうちで手洗いしたら、形を整えて干してあげれば、普段着としてはノーアイロンでも着ていただけると思います。染料のところでもお話ししたように色落ちしにくいですし、染めの段階では何度も水に通して洗いをかけているので、縮む心配もなく丈夫な生地ですね。」

ソフトミックスラフィア

デイジー柄 厚手起毛ワンピース

大きめのデイジーが散りばめられたかわいらしい印象のワンピース。裏表両方から起毛をかけた厚手のやわらかいコットン100%の素材は肌触りがよく着心地抜群です。短めのドロップショルダーで上半身はすっきりと見せ、ウエストを軽くゴムで絞って、スカート部分に適度なギャザー感を出しふんわりシルエットに仕上げています。

――お洋服のカタチは、柄を決めてから考えるのでしょうか?
「ほぼその順番ですね。出来上がった生地をみて、生地がこうなりたいんだろうなと想像しながら、ボディに布をかけて立体裁断していきます。襟ぐりもテープで直接、線を引いていって、女性の体のパーツがきれいにみえるラインを探しながら形作っていきます。写真のモデルのように、タートルニットや白シャツを中に合わせて、愛らしいデイジーの柄をたのしんでいただければと思います。」



おみやげをいただきました。kapuwaロゴバッグを先着40名さまに、秋冬定番ラインを抽選で3名さまにプレゼント


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