大人のマナー「およばれのマナー」

春は出会いの季節でもあり、新しい環境になることで初めてのお宅にお邪魔するような機会があるのではないでしょうか。 また、お子様がいる場合は、お子様だけお友だちのお宅にお邪魔することもあるかと思います。 今後の良い関係を築くためにもおよばれのマナーと招待する側のマナーのポイントを確認しておきましょう。

服装のマナー

服装選び

初めてのお宅によばれた場合は、通されるお部屋が洋室なのか和室なのかわからないものです。
椅子やソファーに座るときに裾が上がりすぎる心配がなく、正座をしても窮屈でないフレアスカートやプリーツスカートがおすすめです。


相手に不快感を抱かせるような服装は避け、清潔感のある装いを心がけたいですね。 また、新しいデニムや濃い色の服は、素材によってはソファーやカーペットに色移りしてしまうことがあるので控えたほうがよいでしょう。

靴選び

ブーツや結び直しが必要な紐靴は着脱に時間がかかるので、控えたほうが無難です。着脱しやすいものを選び、靴の中もキレイな状態にしておきましょう。

これからの季節は、素足でサンダルやミュールを履くことも増えてきます。
しかし、素足は床を汚してしまうことがあるのでNGです。ソックスやストッキングを着用できる靴を選びましょう。また、雨の日はソックスが濡れてしまって困る、なんてことも。予備のソックスがあると安心です。

持ち物のマナー

外出の際に必ず持つハンカチ・ティッシュは、訪問時にも何かと役立ちます。ちょっとお茶をこぼしてしまった場合も、自分のハンカチ・ティッシュですばやく対処しましょう。

小さなお子様連れの場合は、お家を汚さないように注意が必要です。おやつを食べた手でウロウロするのもマナー違反。その場合、ウエットティッシュがあると便利ですね。

おむつ交換は、相手に嫌な思いをさせないように、どこでおむつを変えたら良いかを必ず訊きましょう。おむつ替えシートも忘れずに持参し、交換したおむつは基本持ち帰りましょう。


手土産

初めてのお宅に招待されて、最も悩むのが手土産ではないでしょうか。「必ず持っていくものなのか?」「何を選べば良いのか?」など…
手土産とは、「私のために時間と場所を提供してくれてありがとう」という意味が込められています。「手ぶらで来てくださいね」といわれても感謝の気持ちを込めて持参するのが、大人のたしなみです。



日持ちする焼き菓子がおすすめ

手土産は、日持ちするクッキーなどの焼き菓子がおすすめです。特に個包装のものは手に取りやすく、余っても保存がきくので喜ばれるでしょう。

先方の好き嫌いやアレルギーは事前に確認

とくに小さなお子様がいるお宅は注意が必要です。
カットフルーツや果汁100%のジュース、ママ用に専門店のコーヒーや紅茶セットなど、ホッと一息できるアイテムも思いやりの気持ちが伝わりますね。

相手の負担にならない金額で

金額は人数にもよりますが、1,000円~3,000円程度のものを選ぶと良いでしょう。
お菓子作りが趣味で手作りのものを用意する方もいるでしょうが、相手によっては手作りに抵抗があり、喜ばれない場合もありますので最初は避けた方が良いかもしれませんね。

部屋に通されて挨拶を済ませてから渡す

「今日はお招きいただきありがとうございます」「皆さんで召し上がってください」など、手短に言葉を添えることができ、相手に気を遣わせることなくスマートに渡せます。
ただし、すぐに冷蔵庫に入れなければいけないものなどは、玄関先で渡しても構いません。紙袋から出して相手の方を向け、両手で丁寧に渡しましょう。持参した紙袋は持ち帰るのを忘れずに。

玄関先でのマナー

当日お招きする方は、約束の時間に合せて準備をしていますので、早く到着すると慌てさせてしまいます。
あえて3分~5分ほど遅めに伺う心遣いを。ただし、10分くらい遅れる場合は、必ず連絡を入れましょう。

到着したら、コートや帽子は玄関を入る前に脱いでおきます。家の中に外の汚れを持ち込まないように、脱いだ上着は中表にして軽くたたんで手に持ちましょう。また、この時期は、花粉を払う気遣いも必要ですね。


靴の脱ぎ方

靴を脱ぐときのポイントは、「おうちの方にお尻を向けない」こと。
【1】前向きのまま靴を脱いで上がる
【2】おうちの方にお尻を向けないように体の向きを変える
【3】脱いだ靴のつま先を外に向けて下座側に置く

玄関の下座は、靴箱を基準に判断します。靴箱の上に花などを飾って飾り棚として使われている場合は、靴箱側が上座、靴箱から遠い場所が下座です。
マンションなどによく見られる壁一面靴箱の場合には、中央が上座、靴箱側が下座です。

スリッパ


来客時にはスリッパが準備されているのが、一般的です。日本でスリッパが考案された当初は「床を汚さないようにするための履物」でしたが、時代の変化とともに、「足を汚さないようにするための履物」という考えの方も多くなってきました。
そのため、準備してくださったスリッパを履かないのは失礼にあたります。勧められたら「ありがとうございます。お借りします。」と言いながらお邪魔すると丁寧な印象ですね。

しかし、生活スタイルによってはスリッパを置いていない家庭もあります。その場合は「このままお邪魔しても良いですか」と訊いてから上がると良いでしょう。

お部屋でのマナー

通されたお部屋では、勧められてから椅子やソファーまたは座布団に座ります。
和室の上座は掛け軸が掛けられている「床の間」に近い席、下座は出入口に近い席です。洋室も同様に、基本は出入口から近い席が下座、遠い席が上座です。部屋の形状によっては一番居心地の良い席を上座として勧められる場合がありますので、案内されたとおりに座りましょう。

荷物は、椅子または座布団の横の床(または畳)に置きます。バッグの底は汚れているので、テーブルの上に置くのは避けましょう。また脱いだ上着を椅子の背もたれにかけるのも好ましくありません。小さく畳んで荷物の上に置きますが、「ハンガーにかけておきます」と言われた時は、ありがたくお言葉に甘えましょう。

滞在時間のマナー

楽しい時間を過ごしていると意外と難しいのが、おいとまを言い出すタイミングです。 「ゆっくりしていってくださいね」と言われても夕方からの時間は、各家庭でやることはたくさんあるはずです。



お茶だけであれば2~3時間くらいが無難

お邪魔する前に帰宅時間を伝えておくと良いでしょう。時間が近づいたら「そろそろ時間ですので」と言い出しやすくなります。

帰り際は、お部屋・玄関先でもお礼を

「素敵なおうちですっかり長居してしまいました。今度は是非うちに。」など、今後の良いお付き合いに繋がる言葉も添えられると良いですね。

子供だけで訪問する場合

お互いの連絡先を交換

お邪魔している間に何かあったらすぐに連絡してもらえるように、お互いの連絡先を交換しておきましょう。
急な約束の場合は、軽い手土産に連絡先とご挨拶のメッセージを添えると良いですね。先方にも気を遣わせないよう300円から500円程度のお菓子を子供たちのおやつとして持たせると良いでしょう。

帰宅時間と基本的なマナーは事前に伝える

ご家庭で帰宅時間を決め、子供には「〇時〇分にはお友達のおうちを出てね」と具体的に伝え、帰宅時間のルールを守らせるように心掛けましょう。
「靴をそろえる」「家の中を走り回ったり、他の部屋を勝手に覗いたりしない」「遊んだおもちゃは片づけて帰る」など、基本的なマナーをお邪魔する前にしっかりと伝えておくことはとても大切です。

また、「おじゃまします」「いただきます」「ありがとうございます」などの挨拶は、その言葉を伝える“理由”や“意味”を含めて教えると、言い忘れがないでしょう。子供が帰ってきた後は、必ずメールなどでお礼を伝えましょう。

ご招待のマナー

ご招待する側もされる側も、お互いに相手への気遣いを忘れないことで楽しい時間を過ごすことができます。どのように振る舞えばお互いに気持ち良く笑顔になれるかを考えてみると自然とマナーのある行動がとれるでしょう。



部屋の掃除

お客様をお迎えする部屋、玄関、トイレは念入りに掃除し、トイレットペーパーやタオルは新しいものを用意しましょう。
また、どの家庭も家の匂いは必ずあるものです。窓を開けて空気の入れ替えを十分に行った後、快適な室温にしてお客様を迎えしましょう。

小物の準備

玄関にスリッパを用意し、上着やコートが必要な時期はハンガー、雨の日にはタオルを準備しておくと親切ですね。お花を飾ると部屋が明るくなり歓迎の気持ちも伝わりやすくなります。

お迎え

いよいよお客様がいらっしゃり、インターホンがなったらお待たせすることなく、すぐに出るようにしましょう。座る場所や飲み物を飲む際など、こちらから積極的に声をかけてお客様が過ごしやすいように心がけ、帰るまでには、下座に置かれた靴を履きやすいように玄関の真ん中の位置に移動させておくなどの心配りを。

また、お客様が手間ひまかけて選んでくださった手土産は、いただいたらまず上座に置いて丁寧にお礼を伝えましょう。

お茶を出す時

お茶を出す際は、いくつかの種類から好みを伺うと親切です。お客様を迎える側として、何かしらのお茶受けは用意しておきたいものです。手土産とダブってしまったら、いただいた方を出すようにしましょう。「おもたせですが」の一言も忘れずに。ほんのりアロマの香り付けをしたおしぼりを添えるのも素敵ですね。

注意したいのは、お客様の体調やアレルギー。食べ物・飲み物のアレルギーは勿論、妊婦さんへの気遣いやペットの好き嫌いまで配慮できる心のゆとりを持っておもてなししましょう。



監 修

監修いただいたのは、【日本サービスマナー協会】認定マナー講師 森麻紀先生です。

日本サービスマナー協会 認定マナー講師 森麻紀さん
森 麻紀さん

日本サービスマナー協会 認定マナー講師

自身のマナー講師としての知識や経験を子育て等様々な場で活かしています。「優しさと思いやりを形にする」マナーの大切さがより良い人間関係を築くための一助になれば幸いです。