読み物

【岡本典子の新月花屋・5月】花を生けることから、インテリアが広がります。

writer 石川理恵

新月は、気持ちをあらたにする日。

ふだんは時間に追われがちな人も、この日ばかりは自分のために花を飾ってみませんか。植物の力がきっとやすらぎをあたえてくれます。

ここは新月だけオープンする小さな花屋。

店主・岡本典子が、出合った花の魅力や花づきあいについて語ります。

クレマチスのかわいらしさに、心が弾む季節

初夏に向かって存在感を放つ花といえば、思い浮かぶのはクレマチスです。学生時代に花留学していたイギリスの街では、壁やフェンスをつたうクレマチスで住宅の前庭がいっぱいになり、それは美しい眺めでした。

クレマチスの魅力は、なんといってもその茎にあります。とても細いのに動きがあって、のびやかな線を描くように自由につるを伸ばす姿が、たまらなくかわいいのです。

花を飾るコーナーの作り方

花を飾りたくても、部屋が散らかっているせいで気分が乗らない……。そんなとき、私はどこかに1カ所「自分の好きなコーナー」をディスプレイします。

たとえばスツールをひとつ、置いてみる。ラグを一枚、敷いてみる。周囲と隔てたその上は聖域になって、花を飾るのが楽しくなるのです。

クレマチスのように動きのある花は、こちらの思い通りに生けようとしてもうまくいきません。私にできるのは、花瓶を選ぶことと、花の長さを決めることぐらい。半つる性のクレマチスは茎が安定しないので、花瓶より上に出る部分が長いと折れてしまうことも。口が広めの花瓶を選んでクレマチスを寄りかからせながら、花瓶より花が出すぎないように長さを切ります。あとは、花の向きたいままにさせておくのが、かっこよく生けるコツ。

ひとつできると、好きな世界を広げたくなる

そうして花を飾るコーナーができあがると、今度は壁に何かを立て掛けようとか、観葉植物も置きたいとか、自然と発想が広がります。手を動かすうちに、頭と心が活性化されるのかもしれません。

だいぶ以前、雑貨ショップで買ったアイアンバスケットを、花瓶のカバーにしてみました。花の小さなクレマチスにライラックとラックスパーを組み合わせた可憐なアレンジが、少し辛口に引き締まったよう。

まずはスツールひとつからでも、花を飾るコーナーを作ってみる。そこから部屋の中がどう変わり、自分の気持ちがどうやすらいでいくのか。新月のパワーを味方にしながら手を動かしてみましょう。

撮影/安永ケンタウロス
スタイリング/岡本典子
聞き手・文/石川理恵

作家プロフィール

岡本典子(おかもとのりこ)

花生師 ハナイケシ

植物をこよなく愛し、メディアや広告、展示会などで植物を通した表現を手がけるほか、アトリエ「Tiny N」を不定期オープン。著書に『花生師 岡本典子の花仕事』(誠文堂新光社)、『花生活のたね』(エクスナレッジ)など。instagram:@hanaikeshi

石川理恵(いしかわりえ)

編集者・ライター

雑誌や書籍でインタビューを手がける。著書に『時代の変わり目をやわらかく生きる』(技術評論社)、『自分に還る 50 代の暮らしと仕事』(PHP 研究所)他。東京・豊島区のアパートの一室に、小さな週末本屋をオープン。instagram:@rie_hiyocomame

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