大人のマナー「贈り物のマナー」

私たちの人生の流れの中には節目があります。周りにいる方々の大切な節目に、自分からの祝福の気持ちを伝えることは、良い人間関係をつくる上でとても重要です。いざお祝いを贈ろうと思っていても「何を贈ろう・・どうしよう・・」と迷っているうちに、機会をのがしてしまい気持ちが伝えられないと残念です。
今回は知っていると安心な「贈り物のマナー」についてお届けします。

贈り物の基本


贈り物をする上で一番大切なことは、相手目線で選ぶことです。
自分の好みで贈ると、相手がもらって困るケースもあります。希望を聞ける場合は、あらかじめ教えてもらうと良いでしょう。相手が欲しいものを贈ることが一番喜ばれますので、その際は「ふさわしくないもの」といわれるものでも問題はありません。

また、偶数は割り切れる数のため、贈り物は偶数にならないように気をつけましょう。古くから日本では「4」「9」を忌み数(いみかず)と呼び、避ける風習がありました。逆に奇数の「3」「5」「7」は縁起のいい数と言われています。
ただし偶数でも「8」は末広がりを意味するので、お祝いごとにはふさわしいとされています。

結婚祝い


送るタイミング

披露宴の1ヵ月前から、遅くても1週間前までに届くようにしましょう。
披露宴当日に品物を持参するのは荷物になり迷惑になる可能性もあるので避けた方が良いでしょう。

ふさわしい贈り物

偶数を避けるのが通例です。ただし、ペアのパジャマなどは2着で1組と数えます。
新生活で使える家電製品・キッチン用品・インテリア用品もおすすめです。日常品として自分で買うのは少々贅沢かなと迷ってしまいそうな良い品を贈ると喜ばれます。高額なものは友人と連名で贈りましょう。

ふさわしくないもの

はさみ・包丁・グラス・鏡などは「切る・壊れる・破れる」につながるので避けます。
昨今では、相手が希望するのであれば、質の良い食器や包丁セットが喜ばれることもあります。

お祝い金

●披露宴に出席しない場合
親戚1万~3万円、上司1万円、同僚・部下3千~1万円、友人・知人5千~1万円

●披露宴に出席し、ご祝儀と品物を送る場合
1万~1万5千円は食事代なので、その分はお祝い金で。残りの金額で品物を贈ると良いでしょう。

表書き・水引

「寿」「御祝」「御結婚御祝」「ご結婚祝い」 水引は紅白か金銀の2本(5本の水引を1本とした計10本)で結び切りを使い、熨斗つきの祝儀袋に入れます。
金額につりあうような祝儀袋を選ぶのがコツ。

出産祝い

送るタイミング

お七夜(産後7日)から1ヵ月以内に。必ず出産のお知らせを聞いてから贈ります。

ふさわしい贈り物


おもちゃやベビー服が一般的です。また第一子の場合は、ベビー用食器セットも喜ばれます。ただし、赤ちゃんには割れにくい材質のものを選んで安全面にも配慮しましょう。その他、お出かけ用ママバッグなど、赤ちゃんとの生活に必要なものもおすすめです。
親しい方への気軽な贈り物であれば、おむつ・ガーゼ・タオルなどたくさんあると便利な消耗品でも良いでしょう。

お祝い金

昨今の出産祝いの相場は、5千~1万円が一般的とされています。相手との関係性によって相場は異なります。
あくまでも目安としてください。職場では少しずつお金を集めて贈るケースも多いです。

●兄弟・姉妹・・・1万~5万円程度
●親戚(いとこ、甥、姪、孫)・・・5千~3万円程度
●友人・・・5千~1万円
●上司・・・5千~1万円
●同僚、部下・・・5千円(500円~千円程度集めて、連名で贈る)

表書き

「御出産祝」「御安産御祝」(4文字を避ける)
水引は紅白の蝶結びを使い、熨斗つきの祝儀袋に入れます。

新築・引っ越し祝い

贈るタイミング

新築の場合、以前は新築披露に招待される前や、完成してから1ヵ月以内に贈るのが良いとされていましたが、昨今は、生活スタイルの変化に伴い、入居してから1ヵ月から2カ月の間、またはお招きいただいた際に持参しても問題ありません。転居の際も、引っ越し前や入居直後は忙しいことが多いので新居に落ち着いた頃に贈ると良いでしょう。

ふさわしい贈り物

花器や花瓶、食器をはじめとしたテーブルウェア、家に飾れたり使うことのできるインテリア用品などがおすすめです。空間づくりにこだわりをもっている方も多いので、事前に希望を聞いて贈るのもOKです。

ふさわしくないもの

キャンドルやライター、灰皿、ストーブ、赤いものなど火事を連想させるものは、相手の希望でない場合を除いて、基本的に避けた方が良いでしょう。絵画や掛け時計、鏡も壁に掛けるタイプのものは、壁に穴をあけるため(傷つける) 避けましょう。

お祝い金

●親族・・・1万円~3万円
●友人・・・5千円~1万円

表書き・水引

水引は紅白の5本蝶結びを使い、熨斗つきの祝儀袋に入れます。「祝御新築」「祝御新居」「御祝」など。

長寿祝い


長寿祝いは中国の儒教思想の敬老精神に由来しています。日本では、平安時代に伝わり、現代にも続いています。長寿の方が主催し祝いの会が開かれてきましたが、現代は家族や身近な人が旅行や食事会などをもうけ、祝福するのが一般的になりました。
また昔から満年齢ではなく数え年の誕生日に祝うものでしたが、近年では満年齢で祝う人が増えています。

還暦祝い(60歳)

60年で十干支十二支(じっかんじゅうにし)が一巡してもとの暦に還ることに由来し、赤ちゃんに戻りもう一度出直すという意味から、赤いちゃんちゃんこや赤い頭巾を贈ります。現代風に赤いベストを贈るケースもあります。赤色は魔除けになると考えていることから悪いものから身を守り、健康を願う赤にちなんだプレゼントを贈ると良いでしょう。
第二の人生を楽しんでいただきたいとの思いから、趣味の品も喜ばれます。

古希祝い(70歳)・喜寿祝い(77歳)

●古希・・・中国の唐時代の詩人、杜甫の詩の一節である「人生七十古来稀なり」に由来しています。

●喜寿・・・「喜」という字の草書体が七を3つ重ねる形で七十七と読めることに由来しています。

古希、喜寿ともに、紫色が長寿の祝いの色とされています。紫色は日本では古来よい高貴な人にだけ許された色です。そのため、古希・喜寿を迎えた方への敬意といたわりが伝わる色です。

傘寿祝い(80歳)

「傘」の略字が八と十を重ねた形で、八十と読めることに由来しています。 祝いの色は、紫色です。または、黄色、金色、金茶色とされる場合もあります。

米寿(88歳)

「米」の字をくずすと八十八と読めることに由来しています。「米(よね)のお祝い」とも言われています。 黄色や金色、金茶色が祝いの色です。田んぼで実入りを迎えた稲穂の黄金に光り輝く様子が連想されることからきています。

卒寿祝い(90歳)、白寿祝い(99歳)、紀寿(百寿)祝い(100歳)

●卒寿・・・卒の略字である「卆」が九十と読めることに由来しています。
●白寿・・・百から一引くと「白」になることに由来しています。
●紀寿(百寿)・・・100年が1世紀ということから由来しています。

卒寿は白または紫色、白寿は白色、紀寿(百寿:ももじゅ)は白か桃色が祝いの色とされています。

ふさわしいもの

好きなお菓子などの食べ物やリラックスできるような座椅子、または健康を考え、身体をゆっくり休められる寝具なども良いでしょう。健康状態によって旅行のプレゼントやお祝いしてくれる人に集まってもらいにぎやかに食事会をするのも喜ばれるでしょう。

ふさわしくないもの

長寿祝いは、健康で長生きしたことを喜んだり願ったりするお祝いです。そのため、くしは「苦、死」を連想させるので避けましょう。

表書き・水引

「寿」「敬寿」「祝延寿」、または「祝還暦」「御還暦祝」「祝古希」「御古希祝」と種類によって書きます。百歳以上は「御上寿祝」です。水引は紅白または金銀5本または7本蝶結び(花結び)です。

お祝い金

両親・・2~3万円 祖父母・・1~2万円 親族・・1万円前後(関係性によって変わる)



監 修

監修いただいたのは、【日本サービスマナー協会】認定マナー講師 江頭美鈴先生です。

日本サービスマナー協会 認定マナー講師 江頭美鈴さん
江頭 美鈴さん

日本サービスマナー協会 認定マナー講師

マナーは、相手を思いやる気持ちが基本にあり、人と人とのつながりに潤いを与えてくれます。マナーの基本を知り、心豊かに日々を過ごせたら素敵ですね。イメージコンサルタントとしても、ブラッシュアップのお手伝いをしております。

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