「マスクマナーについて、どの様にしたら良いのか迷うことはありませんか?」
コロナが流行る以前は、「マスクをつけたまま、挨拶をしたり話をするのは失礼」という認識でした。コロナ禍では逆に「マスクをしていないと、周りに不安感を与える」と、状況は180度変わりました。マスク着用の最大の目的は、周りの人や自分を守り、感染拡大防止をすることです。安全面に配慮することが最も重要です。
そして現在は、いろいろな素材や色柄のマスクが多く出回るようになりました。マスク選びに悩むこともあるでしょう。洋服の装いにTPOのマナーがある様に、実はマスクにも気配りが必要です。着用するのがあたりまえになっているマスクは、その人の印象を決める上で大きな役割を果たしています。今回は、女性に特化してマスクを見直してみましょう。withコロナ時代の「女性のマスクマナー」についてお届けします。
マスクマナーの基本
マナーは、「お互いが心地よく過ごすための思いやりと行動」が大切です。それはコロナ禍のマスクマナーについても言えることです。それぞれが飛沫感染を防ぎ、健康を守るために使用するのがマスクです。さらに、マスク着用があたりまえになった今は、「マスクを単体で捉える」のではなく、「マスクを含めたトータル的な装い」としての視点で考えましょう。「マスクが目立ちすぎる」「その場にそぐわない」「清潔感がない」などの違和感があると、こちらのセンスや常識さえも疑われ、不快な気持ちを与えてしまうでしょう。マスクの役目を大切にしながらも人に不快感を与えないためのマナーを大事にしましょう。
マスクの選び方
-
市販されている主なマスクの種類
-
・ガーゼマスク(布マスク)
ガーゼを重ねて作られている。不織布より目が大きい。保湿性・保温性にすぐれている。柔らかくやさしいので肌への負担も少ない。つけ心地が良い。
・不織布マスク
目が細かい、ウィルス対策効果が高い。比較的安価。使い捨てで使いやすい。
・ポリエステル、ウレタンマスク
伸縮性があり柔らかいので、長時間つけやすく呼吸も楽。
それぞれの特長があるので、自分のライフスタイルに合わせ、臨機応変に上手に組み合わせて使用しましょう。きっと快適な毎日が過ごせるでしょう。昨今では、マスクをふたつ重ねる2重使いをしている人もいるようです。
マスクの扱い方
- マスクの表側には、ウィルスや菌を含んだ飛沫・ほこりなどがついている可能性があります。取り外したマスクを仕事のデスクや、食事のテーブルにそのまま置くと、周りの人が不快に感じるかもしれません。マスクホルダーを用意しておくとスマートです。マスクを外した時は衛生面に配慮し、表側を内側に軽く半分に折るなどして、そっとしまうと良いでしょう。
マスクでのコミュニケーション
-
・話し方
相手に声がしっかり届くように、ゆっくりはっきり話すことを心がけましょう。 日本語の特性として、母音の発声がきちんとできていると、明るく聞きとりやすい声になります。マスクがない状態の時より、1,5倍くらい丁寧に話すことを試みてください。
・表情
マスクに隠れて、つい油断しがちですが、そこに甘んじていると、どんどん頬の筋肉は衰えて下がってきます。マスクで直接見えなくても、笑顔で話すと目の表情で相手には伝わります。また表情筋が鍛えられ、笑顔は免疫力も高めます。マスクの下でも笑顔で毎日を過ごせるように心がけましょう。
マスクのみだしなみ
おしゃれは自分目線ですが、みだしなみは相手目線です。みだしなみの3要素は、「清潔(感)」「機能性」「調和」です。これはマスクにも当てはまります。
-
清潔(感)
- 新しいマスクや洗濯した清潔なマスクであることはもちろんですが、お化粧などの汚れがついていると清潔感はありません。汚れに気づいたら、すぐに交換できるようにスペアを用意しておきましょう。
-
機能性
- 自分にとって機能性が高いマスクとはどのようなタイプかを考えて選びましょう。話をする機会が多い人は、不織布で、立体型や上部と真ん中にワイヤーが入っているものが良いでしょう。お肌が弱い人は、良質なガーゼやタオル生地の優しくつけ心地の良いもの。耳がすぐ痛くなる人は、紐を調節できるタイプなど、それぞれ自分にぴったりするものを見つけましょう。
-
調和
- 周りとの調和はとても大切です。かしこまった場で、キャラクターの色鮮やかなマスクをしていると、違和感があります。マスクが気になって、大切な話をしていてもスムーズに入ってこないかもしれません。TPOに合ったマスク選びも大切なポイントです。
メイク・ヘアスタイル・メガネ
-
メイク
- マスクをしている時のメイクは、ナチュラルメイクをおすすめします。例えば、ベージュカラーの下地にファンデーションはつけずに、軽く上からパウダーで押さえます。マスクにメイクがつきにくくなります。気になるクマなどは、コンシーラーで部分的にカバーしましょう。そして、ポイントとなる目元がはっきりするようなメイクを施すと、きちんとした印象になるでしょう。
-
ヘアスタイル
- マスクをしていると顔の約半分を覆います。表情を明るく見せるには、なるべく顔に髪の毛がかからない様にしましょう。また、マスクを手で触るのは、衛生的にあまり良くないことですが、髪の毛も同様です。髪の毛が気になり、度々触らなくていいように、ムースなどでしっかりとめておきましょう。
-
メガネ
- メガネをかけている場合、マスクと両方で表情のほとんどが見えません。好感度を高めるためには、ヘアースタイルをすっきりさせることがポイントです。ロングヘアーは、後ろでひとつにまとめたり、ミディアムやショートヘアーなら耳にかけたり、おでこを出すヘアースタイルもおすすめです。また、マスクの影響でメガネがくもっていると、相手は気になります。くもりどめをしておきましょう。その他、耳が痛くならないメガネにつけるマスク留めクリップを使用するとストレスが軽減されるでしょう。
冠婚葬祭でのマナー
冠婚葬祭で不織布マスクを着用するのは、「安易なイメージでふさわしくないのでは」という意見を一時期耳にしましたが、逆に不織布マスクは手軽に取りかえられ、ウィルス防止効果も高いことも分かってきました。参加する式の雰囲気を大切に、TPOに留意してマスク選びをしましょう。
結婚式、披露宴
-
どこの結婚式場も感染予防対策は厳しく行っています。例えばアクリル板をゲストテーブルに置くか否かなど、新郎新婦とコロナ対策を具体的にどのようにするかも打ち合わせをした上で、当日を迎えるケースがほとんどです。ゲストとして招かれたら、コロナ禍で結婚式をするお二人に対して、最大限に祝福の気持ちを伝えましょう。そして華やかなシーンにふさわしく、マスクでおしゃれを楽しめる場でもあります。装いに合わせ、色味やデザインのコーディネートをするのはいかがでしょうか。エレガントなレースや刺繍入り、スワロフスキーがキラリと輝くマスク、あるいは着物に似合う和柄マスクなどで個性を発揮するのも良いでしょう。
葬儀、お悔みの場
- 喪服に合う白や黒、またはグレーなどの無彩色で柄のないシンプルなマスクがおすすめです。一時期「葬儀には黒いマスクで参列するのがマナー」という話題が注目を集めましたが、必ずしも黒でなくても、お悔みの場にふさわしいものであれば良いでしょう。思わず涙がこぼれる瞬間があるかもしれません。メイクなどでマスクが汚れない様に、ハンカチも忘れないように用意しましょう。念のため、マスクの取りかえも準備しておきましょう。
外食のとき
顎にマスクをかけたままの「顎マスク」は見た目にも美しくないので控えましょう。食事の際のマスクを外すタイミングは、お料理が運ばれてきて食べはじめる直前にはずし、マスクホルダーなどに入れると良いでしょう。テーブルの上に置くのは不衛生なので、相手に不快感を与える可能性があります。出したままにしないように注意しましょう。食べている途中で飛沫が飛ばないように念のためにハンカチなどを用意しておくと良いでしょう。食べ終わって会話が弾む前にまた、きちんと着用しましょう。
習い事
室内での習い事は、必ずマスクをしましょう。マスクだけでなく、消毒や換気、ソーシャルディスタンスを意識した席の座り方など、みんなで協力しあえるといいですね。
運動系の習い事は、概ね「スポーツ庁」などのガイドラインに従って各々のガイドラインが決められていることでしょう。事前に確認しておきましょう。
また、スポーツをしやすいタイプとして、ポリエステル・ウレタン素材のマスクも販売されています。素材によって呼吸がしやすいなどの特長があるので、運動量や競技中の会話の有無、競技場所等を鑑みて使い分けましょう。
学校行事
面談や授業参観の時に、ソーシャルディスタンスが保たれているとしても、お互いに不安にならないように、マスクは常につけたままにしましょう。つい知り合いのお母さんに会うと、井戸端会議をしてしまいがちですが、コロナが収まるまで控えましょう。
学校行事の際のマスクは、華美なものやキャラクターものは避け、シンプルで無難な色のものにしましょう。
ビジネスシーン
ビジネスシーンにおけるマスクは「おしゃれ」ではなく「みだしなみ」です。特に仕事中にマスクのゴムの締めつけが気になったり、話しにくかったりすると煩わしいものです。ゴムの太さもメーカーによって違いがあります。自分にとってもより機能的なマスクを探してみましょう。
仕事
-
職種にもよりますが、誰にでも受け入れてもらいやすい、シンプルなものがおすすめです。華美なものや、派手な色は避けましょう。アニメ柄やヒョウ柄など、印象の強い色柄は、プライベートの時にしましょう。また、汚れたらすぐに新しいものに変えられるので、使い捨ての不織布は定番ですが、安心して使えます。
面接
-
コロナ禍以前は、面接時にはマスクを外すのがマナーでしたが、withコロナの現在は180度認識が変わりました。基本的にマスクをしていないと、逆にマナー違反だと思われるようになりました。面接の前に指示がある場合には、それに従いましょう。
・マスク着用のまま入室し、ひとこと面接官に「マスクをつけたままでよろしいでしょうか」と尋ねると好印象です。
・マスクの色は、控えめで無地のものを選びましょう。すっきりとした無難な白がおすすめですが、グレーや薄いブルー、ベージュなども違和感がないでしょう。
・面接は第一印象が重要です。汚れやくたびれていない新しくきれいなマスクをつけましょう。また、面接中にマスクをさわらないように気をつけましょう。
・マスクをつけていると、表情が分かりづらく、声もこもりがちです。印象を良くするためには、普段より、1.5倍くらいしっかりと表現することがコツです。大きく頷いたり、はっきりとした声でゆっくり丁寧に話すと、伝わりやすくなります。
・口元は、マスクで隠れているから分からないだろうと油断すると、表情が暗く感じられ、意欲がないように受けとられかねません。マスクの中でも、しっかりと口角を上げ笑顔で話すと、自然と目も優しくなり、好感度の高い表情になります。
リモート
- リモート会議など、オンラインで会話をする際、部屋に他の人がいなくてひとりの場合は、マスクを外して表情が見えるようにしましょう。表情が見えるだけでコミュニケーションはよりスムーズにいきます。
自宅にいるとき
環境は千差万別です。それぞれのご家庭の状況に合わせて、どのようにしたら良いのか家族で話し合うことも必要です。家庭内感染も少なくないので、小さいお子さんや高齢の家族がいる場合には、家の中でもマスクを着用すると安心です。それ以外に消毒や換気に気をつけましょう。
ご近所の方の急な来訪や宅配便が届くなど、家族以外の人と話す機会は、ちょっとした時間でもマスクを忘れずにつけましょう。
監 修
江頭 美鈴さん
日本サービスマナー協会 認定マナー講師
マナーは、相手を思いやる気持ちが基本にあり、人と人とのつながりに潤いを与えてくれます。マナーの基本を知り、心豊かに日々を過ごせたら素敵ですね。イメージコンサルタントとしても、ブラッシュアップのお手伝いをしております。