Loint's(ロインツ)フィッティングレポート
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ロインツをはじめ、ヨーロッパを中心としたさまざまな国から選りすぐった足にやさしく雰囲気も素敵なコンフォートシューズなど、全12ブランドを取り揃える東京・神宮前にあるセレクトショップにうかがいました。ナチュランでも販売中のタタミ、ブランドストーンも置いています。


サーカスシリーズ
猫、ねこ、ネコ。

ロインツ歴10年。店長をされる前は本社・静岡で企画営業をされていたコンフォートシューズのプロフェッショナル。 「知る人ぞ知る、奥ゆかしくも優秀なロインツの魅力を地道に広めていけたら、と日々奮闘中です。」


猫、ねこ、ネコ。
猫、ねこ、ネコ。

・厚みと素材が異なる2種類の“3Dコンフォートソール”が特徴
・足の大きさを左右とも測って、サイズを選ぶ目安に <自宅での測り方>
・コンフォート靴によくあるカジュアルなイメージとは一線を画す洗練デザイン
・デザイン大国・オランダ生まれの多面的な魅力

【 リンネル4月号掲載 】ATELIER EQUAL×リンネルmaison

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――(ナチュランスタッフ・ゆかりさん)本日はどうぞよろしくお願いします。

(店長・梅原さん)「ゆかりさんにぴったりの1足をご紹介できたらと思います。まずは足の大きさを測りましょう。みたところ、形はとても一般的なフィッティングモデル向きの足だと思いますよ。」

――そ、そうなんですか? 自分では幅広甲高と思っていました。

「他の人の足と自分の足を比べてみることってあまりないですもんね。ではスケールで測りますね。足をのせたらまっすぐ立ってみてください。右は23.7cm、左は23.4cm。右がやや大きいですが、左右もっと違う人もたくさんいますので、ゆかりさんは靴選びでそんなに困った経験はなさそうですね?」



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――はい、だいたいで履いても困ったことはないですね。きちんと測ってもらうのも初めてです。自宅でも測る方法ってありますか?

「壁や柱など動かないものにカカトをぴったりつけてから、まっすぐ前をみて立ちます。靴箱やティッシュケースなどちょっと高さのある箱のようなものを、左右どちらかのつま先の一番長い指にチョンと当てるように置いて固定します。箱を置く作業はできれば誰かにお願いしてやってもらってください。自分でしようとかがんだりすると、mm単位とはいえ数字が変わってしまうのでNGです。
そのあと、壁から箱までの長さを測ります。もう片方の足も同様におこないます。
紙を敷いて箱の位置に印をつけるとか、あらかじめ紙に目盛を打っておくのもよりよい方法です。」



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「それでは、フィッティングしていきましょう。ロインツは23~23.5cmくらいの足の方には、36サイズを基準に前後のサイズを試していただいていますので、36からいきます。
2種類のソールのうち、まずは『ターボ』というソールです。3種類あるデザインのうち『V字スリッポン』という一番シンプルなタイプから試してみてください。一番人気で“シンデレラ靴”と言われているんです。履いていただくと理由が分かると思います。」

――シンデレラ!わかりました、履いてみます。軽い!履いていないみたいに軽いです!ただちょっと、右が窮屈な感じが……左はぴったりなんですけど。

「ではひとつサイズをあげましょう。ロインツは36.5などのハーフ刻みがないので、37で。23.5cm以上ある方は37が合う場合もあります。1サイズ7mmピッチで大きさが変わりますから、24cm近くある方には38をおすすめすることもあります。」

――37は脱げるというほどではないけど、ゆるい感じがします。

「幅がぴったりかちょっと締まるくらいの感覚なら36がいいと思います。指があたるなど縦がきついと感じるなら、37ですね。革がなじんでくると横は余裕がでてきますが、縦は変わらないので。」

――強いていうなら37がいいのかな……。でも歩いていると脱げそう、と気になってしまうような。。。私の足にはこのデザインは合わないんですかね……あ、だからシンデレラ靴?



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(写真下左)ターボソールのV字スリッポン。左が37で右が36。1サイズで7mm程度の違いがある。



「そうなんです。ぴったり合うという方はめずらしいんです。履き口がスリット状に開いているので、ワンサイズあげると脱げそうな感じがしてしまうんですね。ただ、デザインが好きだから多少ゆるいと感じても履いちゃう、というお客さまも多いですね。」

――え!いいんですか?コンフォートシューズなのに。意外です。

「幅広くさまざまな足の形、悩みに応えられるよう、やわらかな革を使うなど考えてつくられていますから、サイズ選びはそんなに神経質にならなくてもロインツの靴は大丈夫かと思います。どうしても気になる方、深刻な足の悩みを持たれている方は、お店に足を運んでくださるんじゃないかな、と思いますし。通販でお買いものをする利点は時間の融通が利くとか、実店舗とは異なる、それぞれのいいところがありますよね。
また、ロインツの靴はシンプルな分、カラフルなソックスや柄タイツなどと合わせるととってもかわいいので、ゆるいと感じる場合は厚手のソックスで調整してもらうこともおすすめしています。」



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――2つめの靴、おねがいします。

「同じターボというソールで『ダブルストラップ』タイプです。木型も先ほどのV字スリッポンと同じですが、いかがですか?」

――あれ?違います。小さく感じます。

「ストラップで甲を押さえるためカカトも固定されるので、靴の中で足が前後にズレる感覚が少ないからですね。インソールの丸みで足がすっぽりと包み込まれて、隙間なくフィットしている感覚もあると思うのですが、“地下足袋を履いているみたい”と表現される方もいらっしゃいます。」

――V字スリッポンでは左右の足の大きさの違いを感じたのですが、こちらでは感じないです。サイズは……

「37を履いていただいています。」

――え!36を履いているのかと思っていました。フィット感がまったく違いますね。ストラップで調整できるからでしょうか?

「そうなんです。このストラップは二本が絶妙に配置されていて、それぞれを微調整できる良さがあります。また、履き口にステッチを打っていないのもロインツの特徴なのですが、そのせいで締め付けなく適度に革が伸びるため、足に自然となじんで心地よく感じていただけるのもあると思います。



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それでは次、ターボソールでは最後の『レースアップ』タイプをどうぞ。本当は紐をきちんと緩めたほうがいいんですけど、結んだままでも履けます。靴べらを使えば靴が長持ちしますよ。」

――紐靴ってまさにその面倒さが苦手なんですけど、これはいいですね♪しかも履いたほうが素敵にみえる気がします。



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(写真上)左はダブルストラップ、右はレースアップ。(写真下左)ぐにゃりと曲がるしなやかなラバー製のアウトソール。歩行時にも足裏に吸いつくような感覚は、このやわらかさと丸さのおかげ。



「こんなにすっきりと洗練された紐靴ってなかなかないと思います。でも決して窮屈には感じないんですね。
すらりとみえるのに足にここちよい秘密は、先ほどダブルストラップでも少しお話ししたインソールの丸みとも関係してくるのですが、ロインツの靴はアウトソールからすでに丸い、めずらしい形状なんです。」

――アウトソールからすでに丸い??

「インソールのみにカーブや凹凸をつけて足裏とフィットさせるタイプの靴はけっこうあるんですね。コンフォートシューズの本場・ドイツのシューズなどによくみられる製法です。でもインソールをとってしまうとアウトソールは平らなため、大きめで幅もたっぷりとしたカジュアルな印象の靴が多いんです。
ロインツは、アウトソールそのものが立体的な丸みを帯びているため、足にとってほどよい余裕を持たせながらも、デザインはスマートに仕上げられる。
またアウトソールとインソールが一体化したままグニャっと折り曲がるくらいやわらかなので、足の裏に吸いつくような歩きごこちだとも言われています。」



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「ここからソールが変わります。『フュージョン』というソールです。2つのデザインを履いていただきますね。まずは『編みこみストラップ』から。」

――フュージョンのほうが底がしっかりと硬い感じがしますね。硬さがターボとフュージョンの違いなのでしょうか?

「フュージョンは底の素材がウレタンなのでゴムよりも固く感じますがしっかりしています。あと厚みも違いますね。ターボを気に入って履かれる方は、薄さと軽さ、軽快さがお好みなのだと思います。ゴムのしなやかさを生かし、まるで素足のまま地下足袋のように、しっかりと地面を踏みしめている感覚が強いソールです。ソールに合わせてすっきりとしたデザインも魅力で、春夏はこっち、という方も多いですね。
フュージョンは厚みと安定感のあるソールが年配の方に人気です。取り外しできるコルク製インソールがクッション材となり歩行時のカカトの衝撃をやわらげます。
どちらもロインツでは“3Dコンフォートソール”と呼んでいます。」

――たしかに、ぺたんこの靴ってかえって足の裏が痛くなって疲れちゃうときがあります。

「ヒールがあるとカカトが既に浮いている状態ですので足を前に出しやすいんです。ぺたんこ靴は重心が後ろにかかるので、次の一歩を踏み出すのにがんばって前に出さないといけない。筋肉量が減ってくると、この動作を負担に感じる方も少なくないと思います。また厚みのおかげで地面からの冷えを感じにくく、寒い季節はフュージョン、という方もいらっしゃいますね。
グラグラ横揺れする感じはありませんか?」

――角度がついている感覚は分かりますが、歩きにくいとか立っていて大変、とかはないです。



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(写真上左)左がターボ、右がフュージョン。体の軸を安定させ、スムーズなローリング歩行を促してくれるソール。(写真上右)フュージョンは取り外しができるインソール。どうしても足に合わない気がする、という方はインソールで多少調整ができるそうなので、ご購入後ナチュラン窓口へご相談ください。



「ゆかりさんの足はバランスよく重心がかかっているんですね。最初グラグラするという方もいるんです。ソールの周りの角を面取りしてある状態なので中央にのらないと傾いてしまうからだと思います。歩きグセが分かりやすいソールなので、自然と正しい重心のかけ方と歩き方を覚えて、O脚の改善に近づく場合もあるそうです。サイズはいかがですか?36を履いていただいていますが。」

――36なんですか? ターボだときつく感じたのに、フュージョンの36は余裕がある感じがします。私はターボだと37、フュージョンでは36がいいということなのでしょうか。

「ゆかりさんは右足のほうが少し大きめでしたから、右がおさまっているようなのでたしかにフュージョンは36でいいですね。ターボもおっしゃる通り37でいいと思います。
フュージョンはターボに比べると若干、全体のつくりが大きいです。甲高幅広だったりカカトがしっかりしている足だと、フュージョンが履きやすいと言われる方が多いです。」



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――では最後に、フュージョンの3つめのデザインをお願いします。

『クロスレースアップ』です。さすがにこの紐靴はほどかないと履けないので、ゆかりさんは苦手なタイプかもしれませんね(笑)。脱ぎ履きのしやすさも履きごこちのひとつですので、無理せずストラップタイプをお選びいただくのがいいと思います。
ただレースアップ部分が多く足首に近いところでリボンを結ぶので、フィット感は抜群です。脱ぎ履きが少ないお出かけの日にいかがでしょうか? 甲がみえるデザインなので、ソックスやタイツとの組み合わせをあれこれ考えるたのしみもあって個人的にはおすすめの1足です。」



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――全部で5つの種類を試させていただきまして、私の一番は『ターボのダブルストラップ』でした♪ 地面の感触がしっかり伝わるフィット感と、なによりデザインが好きです。

「そう、先ほどもお話ししましたが、かわいいから欲しい、でいいと思うんです。私も10年前にひと目みた瞬間からロインツのとりこになった一人です。こんなに洗練されたデザインの革靴は当時なかなかなくて、裏を返せば地味、ということになるかもしれませんが(笑)、シンプルであるがゆえに履く人によってさまざまな印象を与えてくれる靴なんです。」

――たしかに今日同行したもう一人のスタッフはブラックをシンプルに履くのが似合っていました。私はブラウン系をナチュラルに履くのがいいみたいです。

「日本ではナチュラルでやさしい印象のブランドイメージを持っている方が多いのですが、本国・オランダではもうひとつ、スタイリッシュな面も両方持ち合わせているんです。
オランダは空港に美術館が併設されていたり、公共施設もアートに触れるスペースを必ず設けるよう国が定めていたり、アートやデザインへの関心が高い国です。ミッフィーもオランダ生まれで、日本では愛くるしいキャラクターで知られていますが、オランダではモダンで洗練されたグラフィックデザインとして認知されているんです。
そんな風土をもつ国から生まれた靴なので、履く人見る人によって印象が異なる奥行きの深さがあるのかもしれません。」



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(写真上左)ゆかりさんお気に入りのダブルストラップシューズ[ターボソール]。やさしい女性らしい雰囲気がとても似合っていました。(写真上右)梅原さんの歴代ロインツコレクションはバリエーション豊か。日本では現在、ブラウン系とブラック、ホワイトがラインナップされることもありますが「本国はもっとカラフル。日本でももっと売れて(笑)カラー展開を増やせる日が来るようがんばっています」(写真下左)ブラックロインツは「店頭でもブラックだけで並べたらかっこいいなーと思っていました」ということで撮影。(写真下右)さりげなく手の込んだ仕事が入った2015春夏新作。「こちらはまずは直営店のみの販売ですが、時期をみて販売店を広げていけたらと思っています」。合わせていただいたデニムは『グランマママドーター』のオリジナル。「青山あたりを散歩しながら立ち寄れる好きなショップのひとつです」



――ロインツの見方、イメージがたしかに変わりました。いろんな洋服と合わせてみたいと思わせてくれる靴ですね。

「旅先でレストランや美術館に行く計画がある方も、ロインツは軽いしちょっとしたフォーマルな場にはちょうどいい、とよくうかがいます。一方で、今日の私のようにデニムとももちろん合いますしね。
年齢層も本当に幅広くて、世代ごとそれぞれ素敵な着こなしをみなさんされています。70代の方も20代の方も、個性にあったファッションを楽しんでいらっしゃるなぁと、いつもお店に来ていただけるのを心待ちにしているんです。」

――リピーターの方もとても多いと思うのですが、はじめてロインツを知ったりご購入される方は、どのようにロインツに決められているのでしょうか? さまざまなブランドが並んでいるので、目移りしちゃいそうですが……。

「ロインツはご存じなくて、とにかく履きやすい靴を探しに来たという方は、いろいろ試した結果、ロインツを選ばれるケースが非常に多いです。先入観がないため、純粋に履きやすさだけを比べて選ばれているからでしょうか。
リピートされる方は、ロインツを履くまでは何を履いても痛いとあきらめていたけれど、ロインツは気付いたら1日歩けてた、と気に入ってくださる場合も多いです。
長くたくさん履いていただくことを前提に修理についてもよく考えられてつくられた靴なので、デザイン、履きごこちと合わせて総合的に考えると、本当にロインツは素晴らしい靴だと、みなさんに一度は足を入れていただきたい、と思っています。」

――ロインツの多面的な魅力がとてもよく分かりました。本日はいろいろ試させていただいて、ありがとうございました。

「エレガントでシンプル、地味ながら優秀な靴・ロインツをどうぞよろしくお願いします!」



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