ナチュラン選品「よしなもの」 ナチュラン選品「よしなもの」十三品目【 日本人の頭の形に合わせた「田中帽子店」の麦わら帽子 】

日差しが強くなるこれからの季節、お出かけ時の帽子はマストアイテムになってきます。夏が近づくと街で多く目にする麦わら帽子は、紫外線対策はもちろん、スタイリングのアクセントにもなってくれる便利なアイテム。
いつもの着こなしをちょっと格上げしてくれたり、コーディネートの幅が広がったりと、毎日のおしゃれも楽しくしてくれます。 今回はそんな夏の風物詩でもある麦わら帽子を、130年続く老舗の「田中帽子店」からお届けします。かぶり心地の良さや、ややお高めな価格の理由、選び方までご紹介。タイプの違う4種類をセレクトしましたので、どんな帽子を買おうか迷っている方や、2個めを探している方もぜひご参考ください。

130年続く、手仕事の技が生み出す帽子たち

明治期より130年にわたり帽子を作り続ける田中帽子店は、埼玉県東部に位置する春日部市に工房を構えています。現在は六代目の田中優さんが継承し、職人気質な四代目の祖父と共に昔と変わらない丁寧な手仕事で帽子を作り続けています。海外製品や量産の商品と大きく違うところは、日本人の頭に合わせて設計、製造している点です。それが抜群なフィット感と良質なかぶり心地を生み出しています。さらに長年培ってきた技術により、素朴な麦わら素材でも洗練された見た目に仕上がります。 天然草ならではの自然な麦のいい香りがする田中帽子店の麦わら帽子は、一見シンプルに見えますが、時代の流行を敏感に取り込んだデザインで長年愛されています。

おしゃれだけではない、意外と知らない機能性

麦わら帽子には他の帽子とは違う良い点が揃っています。麦わらの素材は通気性が良く、帽子内の熱を逃がしてくれるので蒸れにくいと使われています。ツバが大きいものほど温度を下げてくれる効果があり、約90%以上もの紫外線をカットできるといわれています。
年々進んでいる温暖化への熱中症対策や、湿度の高い日本の気候にも適した帽子と言えます。普段使いはもちろん、旅行やレジャーなどにも最適です。使う場所や目的あったデザイン選びもおすすめです。

ナチュランがセレクトした4つの商品をご紹介します

・Anne(アンヌ)短つば女優帽
丸いシルエットに深く広いツバの付いたデザイン。
陽射しをカットしてくれるので汗ばむ季節に活躍します。後ろ側にも短めのツバが付いているので首元までしっかりガード。大き目のリボンが女性らしさを引き立てます。
・Lily(リリー)エッジアップ
巻き上がったツバと丸いクラウンが特徴のエッジアップハット。 麦わらならではの優しいカーブのラインがエレガントさを加えてくれます。ツバ先が上がることによって顔周りを明るくし、きちんとした印象も与えてくれます。フェミニンにもマニッシュにもマッチするデザインです。
・Casablanca(カサブランカ)
くるんと内側に丸まった大きなツバが特徴のカサブランカハット。
丸みのあるやわらかなシルエットが女性らしさと、優雅な雰囲気を与えてくれます。細めのリボンと短くカットした結び目がすっきりと洗練された印象に。
・Marin/f(マラン・フェム)カンカン帽
女性用帽子の定番アイテムでもあるカンカン帽。
細い麦で作ることで上品に仕上げ、職人の熟練した手仕事も感じられる一品。深めに被ったり少し乗せるように斜めに被ったりと被り方は自由自在。ラフなスタイルだけでなくナチュラルなワンピースコーデなどにもマッチします。

ネットで買うのは不安……という方に選ぶときのポイントを伝授!

帽子はかぶればかぶるほどその人に馴染んでいくもの。ですが、そもそも実際に手にとれないネット通販では、何を基準に選べばいいのでしょうか。麦わら帽子に関わらず使える、選び方のポイントを簡単にお教えします。

・自分の頭のサイズを測る
そもそも自分の頭囲が何センチあるか測ったこともないんだけど。
別に大きくも小さくもないからMかLくらいで入るのでは?という方、いらっしゃいませんか?
できれば、これを機にしっかり測っていただくことをおすすめします。他にも、お手持ちの中にちょうど良いサイズの帽子があってタグにサイズの記載があれば、それを参考にしていただくのもいいかと思います。
測り方は耳の付け根より1cm上を通るようにメジャーをぐるっとさせます。計測したサイズよりも5mm~1cm程度大きめを選ぶのがポイントです。
(髪の量や長さでサイズは多少変わります。手作りの帽子は1つ1つ多少の個体差があるので、ご了承ください)
ちなみに……田中帽子店の麦わら帽子には上の図のように調整テープが付いていて、納品時から約1cmほどサイズを小さくすることができます。納品時のサイズから大きくすることはできませんが、多少の調整ができるので選ぶときの参考にしてみてください。ヘアアレンジ次第で微調整できるのも便利なポイントです。
見慣れないうちはこれでいいのかな?と普段と違う自分の姿に不安になりますが、帽子を斜めにしたり、軽くのせる、深目にかぶるなど。1番ベストに思えて、自然に見えるポジションを探ってみてください。すると新しい自分が発見できるかも知れません。

ひとつの帽子ができるまで

明治・大正・昭和・平成と受け継がれてきた伝統ある田中帽子店の製造工程を少しご紹介。最初に触れた価格の部分も、これを見ていただければ納得がいくこだわり仕様です。 製造は大きく分けて5工程に分類されています。
工程1.ベテランの職人が織りなす 帽体縫い
麦わら帽子の元はその名の通り藁(わら)。それを数本ずつ編んで平らなテープ状にしたものを頭の部分からクルクルと円を描くようにミシンで縫っていくのですが、職人さんが縫っていく姿は気持ちがいいほどスピーディで、マジックのよう。ただの麦わらのテープはみるみるうちに帽子の形になっていきます。 ひとつ間違えれば歪んでしまう難しい工程ですが、ベテランの職人が持つ高度な手感覚により実現します。
工程2.仕上がりを左右する大事なひと手間 寒干し
縫い上げた帽体を空気が乾燥した冬の時期に天日にさらして干し、湿気を取り除く作業。帽子の編み目がきゅっと引き締まり、このひと手間が型崩しにくく長く使える帽子を作ります。春先の出荷を待つ麦わら帽子たちが、屋外一面に並び日差しを浴びる様子は、春日部の冬の風物詩になっているそうです。

工程3.帽子にデザインを吹き込む 型入れ
1、2の工程を経た帽子はある程度の形や大きさになってはいますが、まだ最終形状とは言えません。個人で麦わら帽子を作る際などはこの工程は加えず、ふわりとした質感の帽子を作ったりすることはありますが、ピシリとした形の帽子や細かいデザインの形状をつくっていくにはこのプレスの工程が欠かせません。
工程4.かぶり心地に関わる 内縫い
内側部分の縫い合わせ作業。主に汗止めやテープ式のサイズ調節などを付ける、実用面で大切な部分となります。直接、それも長時間肌に触れる部分だからこそ、最大限の注意をはらい作業をしています。

工程5.最後の工程 飾りはリ
ここでやっと帽子制作最終段階である装飾に入ります。頭周りのリボンなどの装飾もひとつひとつ手作業で行います。全体のバランスが決まる大切な工程で、仕上がりをチェックする場でもあります。

長く使っていただくための、お手入れと保管方法の手引き

麦わら帽子はかぶる時期が限定されています。しまっている間に形が崩れている!?なんてことが起きないようにお手入れ方法と保管方法をご紹介します。
~お手入れ~
・汗ジミなどを防ぐために、使ったらチェックを!
帽子の内側にある汗止めテープの部分がシミになりやすいので、使用後はできるだけ早いうちにお手入れをしてください。 水でぬらし固く絞ったタオルを当てて、シミ抜きをするようにトントンと汗をたたき出します。その後、下部の保管方法にある影干しにて乾かしてください。
変形や傷みの原因となりますのでドライヤーなどで一気に乾かすのはNGです。
帽子の内側に少量の消臭・除菌スプレーを使用することもおすすめ。臭いも気にならなくなり、清潔に使っていただけます。その際たくさんかからないようにお気を付けください。

・軽くついた汚れの落とし方
消しゴムで軽くこすって落としてください。また、洋服ブラシで定期的にブラッシングをし、ほこりを取るのもおすすめです。むりやり強い摩擦をかけて汚れを落とそうとすると破損の原因になります。

・水にぬれてしまった時は
天然素材の為、水にぬれることは厳禁なのですが、急な雨などでやむなく濡れてしまった場合は形を整えて保管方法にある「陰干し」にてじっくりと時間をかけて乾かしてください。無理に乾燥させるのは破損の原因になるのでご注意ください。
~保管方法~
・お店で見るようなツバを下にした置き方で保管している方が大半かと思いますが、実は逆さまが正解。少し面倒かもしれませんが、下の図のように厚紙を筒状にしたものに頭部分をすっぽり入れて置いておくと、型崩れしにくく通気性も確保されます。 吊ったり掛けたりするのは×。長期保管には向いていません。

・陰干し
麦わら帽子など天然草素材を使用したものは湿気を嫌います。直接太陽の当たらない、風通しの良い場所で影干ししていただくのがベストです。
箱や紙袋など通気性の良いものに収納し、ほこりがかぶらないようにするのもポイント。ただし、ビニール製などの通気性のない袋に入れると湿気がこもり、カビが生える原因になりますのでお控えください。
※急激な乾燥により割れる可能性もありますのでご注意ください。

毎年欲しくなる定番アイテムだから、今年は少し奮発してずっと使えるいいものを手に入れてほしいと思います。手作りだからこその馴染みの良さは、たとえば革靴が自分の足に合っていくようなうれしさや、心地よさと似ています。長持ちさせるには日々のお手入れが大切ですが、その分愛着も増して特別な一品になってくれるはずです。
実際に手にとっていただいた際は、田中帽子店の職人さんたちの丁寧な手仕事を感じていただければ幸いです。

今回のよしなもの

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