読み物

Mayamoonさん連載【緑が伝えてくれること】10月前半/近い未来への贈り物

writer Mayamoon

絵描き、詩人、ガーデナーとして活動するMayamoon(マヤムーン)さんの、緑がつないでいく12カ月の記録。

自宅のお庭や市民農園で育てるお花やハーブ、野菜たちは、心の平和を保つために大切なことを伝えてくれるようです。

植物の成長が目まぐるしかった夏が過ぎ、日々の料理や保存のための調理など、台所仕事も楽しい季節。10月前半のお庭におじゃまします。


フォカッチャ

庭で元気なローズマリーの香りを嗅いだら、久しぶりにフォカッチャを焼こう!と思いたつ。
私の作るフォカッチャは蒸して潰したジャガイモを入れる。
フォカッチャにジャガイモを入れるともちもちとした食感になりそれが大好き。
ジャガイモは7月に畑で採れたものをストックしてある。

生地をこねるのは大変なのでいつもホームベーカリーにおまかせ。
強力粉、水、塩、砂糖、イースト、蒸して潰して冷ましたジャガイモをホームベーカリーに入れて一次発酵まで。
私はイーストの代わりに無添加の白神こだま酵母のドライのものを使う。
一時発酵が終わったら、成形して二次発酵。
最後に庭のローズマリーをちらしてオリーブオイルと粗塩をかけてオーブンで焼く。
パンは焼いている間とても良い香りがして幸せな気持ちになる。

できたて熱々を頬張るとどこのパン屋さんよりうちのパンがおいしい気がする。
涼しくなってきてオーブン調理も気軽にできるようになってきた今日この頃。
時々パン作りを楽しもうと思う。


江戸風情

早朝に庭に出ると肌寒いくらいの涼しさ。
鳥の声と虫の気配だけが庭を包んでいる。
今年は朝顔の種をプランターにまいたのだけれど、この時期になっても毎朝花を咲かせている。
江戸風情という朝顔で、青紫と白の絞りの模様が美しい。

この朝顔は変化朝顔とも呼ばれ、江戸時代に発生した突然変異の朝顔だそう。
一つの苗からいろんな模様の花が咲き、絞り模様がない単色の花も咲く。
お昼頃には青紫の花が赤紫に変化することも。
朝顔は真夏の花というイメージがあるけれど、種をまくのが遅かったのか、この品種がそういうものなのか分からないけれど、秋になってからも楽しめている。

色合いも絞りの模様も花によって表情が全部違っている。
自然がこんなに綺麗な色合いを生み出す不思議に心を奪われる。
自然の色の美しさは私の創作活動のインスピレーションになっている。
それが身近にあるからこそ絵を描いたり、詩を書いたり、表現することができているなと感じる。


秋の手仕事

夏は畑の植物の成長が早く、次から次へとやることがあり、目まぐるしく過ぎていく。
秋になるとそれがようやく落ち着いてきて、夏に採れたものを保存する時間が作れるようになる。

秋の夜長にダイニングテーブルの上で、ゆったりした気持ちで手仕事をする。
まずは採れた生姜の泥を落として、皮をむいてスライス。
すりおろしたものと一緒に小さなサイズにしてラップで包み冷凍しておく。
これをやっておくだけで、ちょっと味付けに生姜を使いたい時にとても便利。

庭に伸び放題だったレモングラスも刈り取ってドライに。
カットして個包装してシールを貼って、人におすそわけできるようにしておく。
この時しっかり乾燥させて乾燥剤を入れておかないと、カビが生えることもあるので要注意。(過去に全部ダメにしたこともある。笑)

十六ささげの種をさやから取って、瓶に詰める。
種が大きいものは来年用にまくためにとっておき、残りはお米と一緒に炊いてささげご飯にする。
家で自分のペースでする秋の手仕事が私はとても好き。
近い未来の自分への贈り物をしているような感覚になる。

【写真提供】Mayamoonさん

作家プロフィール

Mayamoon(マヤムーン)

絵描き・詩人

絵描き、詩人として表現活動を続ける。オンラインコミュニティ「ノートと種まき」を運営するほか、暮らしにまつわる手仕事のワークショップ講師としても活動。庭で花やハーブを栽培、市民農園で無農薬、無肥料の家庭菜園を行い、植物との暮らしを発信している。instagram:@mayamoon0000

〈お庭の取材記事はこちらから〉

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