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【岡本典子の新月花屋・11月】少しずつはじめる、クリスマスへのカウントダウン。

writer 石川理恵

新月は、気持ちをあらたにする日。

ふだんは時間に追われがちな人も、この日ばかりは自分のために花を飾ってみませんか。植物の力がきっとやすらぎをあたえてくれます。

ここは新月だけオープンする小さな花屋。

店主・岡本典子が、出合った花の魅力や花づきあいについて語ります。

小さく束ねて、生花のクリスマスオーナメント

11月に入ると、私の毎日はクリスマスにむかって動きはじめます。

リースの納品や企画展の開催で、仕事がもっとも忙しいこの時季。私は自宅でも、早いうちからクリスマスの支度を進めて気分を高めています。

最初にするのは、家のあちこちに飾り付けをすること。たとえば、スワッグよりももっと小さく草花を束ねてワイヤーでくくれば、オーナメントの出来上がり。

花や実をワイヤーでつなげば、オーナメントにも、ガーランドにも

リースやスワッグをつくっている最中に折れてしまった花や実も、ワイヤーでつないでオーナメントに仕立てます。

もみの木に見立てて使う花材と言えば、コニファー ブルーバード、コニファー ブルーアイス、ヒムロスギのおもに3種類。そのなかから今日は、緑の深いコニファー ブルーバードを合わせました。春っぽさを感じるような黄色い花も、そういったグリーンと組み合わせれば、まるでツリーに灯されたライトのようなクリスマスらしい雰囲気に。

ワイヤーでつなげるときは、几帳面に等間隔にしなくてもいいのです。むしろばらばらだったり、ワイヤーがくねくねしていたりするほうが、動きがあってかわいい。

壁や天井からいっぱい吊してもたのしいですし、ワイヤーをのばして横向きにすればガーランドのようにも飾れます。

聖なる夜にぴったりのクリスマスリース

わが家用のクリスマスリースは、あまり色を入れずにつくるのが好きです。花の魅力は、当然ですが色だけではありません。その植物が持つ素材、質感を見ながら、重ね合わせていく。人間でも、地味に見えて魅力的な人っています。そんなことを思いながら仕上げたリースは、聖なる夜にぴったりの静かな雰囲気に落ち着きました。

こうして部屋のあちこちが、クリスマスらしくなっていくのは、とってもわくわくすること。壁にゆれるオーナメントをながめながら、一年のなかでも特別なイベントに向かう時間をより長く味わっています。

撮影/安永ケンタウロス
スタイリング/岡本典子
聞き手・文/石川理恵

作家プロフィール

岡本典子(おかもとのりこ)

花生師 ハナイケシ

植物をこよなく愛し、メディアや広告、展示会などで植物を通した表現を手がけるほか、アトリエ「Tiny N」を不定期オープン。著書に『花生師 岡本典子の花仕事』(誠文堂新光社)、『花生活のたね』(エクスナレッジ)など。instagram:@hanaikeshi

石川理恵(いしかわりえ)

編集者・ライター

雑誌や書籍でインタビューを手がける。著書に『時代の変わり目をやわらかく生きる』(技術評論社)、『自分に還る 50 代の暮らしと仕事』(PHP 研究所)他。東京・豊島区のアパートの一室に、小さな週末本屋をオープン。instagram:@rie_hiyocomame

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