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エッセイスト・小川奈緒さん連載【だから暮らしはおもしろい】vol.21 書いて思考を整理して、迷いなく進む一年に

writer 小川奈緒、illustrator 小池高弘

家づくりや暮らしにまつわる多くの書籍を手がけ、音声メディアVoicyでも人気のエッセイスト・小川奈緒さんによる、毎日をちょっと楽しく、豊かにしてくれる連載コラム【だから暮らしはおもしろい 】。

毎月第1・3月曜日に更新中です!

前年の達成感を糧に清々しい気持ちで新年を始める

あけましておめでとうございます。

昨年はあっという間だった、と感じる一方で、一年という時間の中で取り組んだことはたくさんあり、自分のがんばりを褒めてもいいな、と思いながら年を終えることができた。

正月が明けてすぐにヨガインストラクター資格のための講座を受講し、春には取得した。

仕事の肩書きを10年ぶりに変え、自宅ワークショップを精力的に企画して、Voicyの平日配信を休まず続けた。

そのフォロワー数が1万人を超えた記念イベントを開催、さらにVoicyFESにも出演。

来春発売の新刊の執筆と撮影を行いながら、コラボ商品の開発をしたり、講演も行なった。

中学生の子どもに毎日ごはんをつくって、家をそうじして庭をきれいにして、家の古くなった部分を直す大がかりな工事もして、秋の終わりに義母を見送った。

楽しいことばかりではない、体力も精神面もハードに感じることが多かったけれど、その時々でやれる限りのことはやったと思う。その実感はきっと、今年の糧となるだろう。

使いやすい手帳で「今取り組むべきこと」がクリアに

新年を迎えた仕事机には、昨年までより一回り大きい、新しい手帳が置かれている。

手帳は、手書きが肌に合うという以外、さしてこだわりもなく、シンプルなマンスリータイプを何年もリピートしてきたけれど、最近の仕事もプライベートもさまざまな予定が複雑に入り組んだスケジュールに合わせて、もっとたくさん書き込めるものに変えることにした。

その手帳選びは昨年秋にじっくり時間をかけて行い、好きな色のレザーカバーと、自分の目的に合うレフィルを別々に買って組み合わせる、という形で決着がついた。

選んだ手帳は12月始まりで、すでに使い始めているけれど、とてもいい。

マンスリーをめくると、1日ごとにたっぷり書き込めるウィークリーページがあって、プロジェクトの進行を一覧できるガントチャートや、月毎のイベントや目標を書き込む欄もある。

とくに1日ごとのスペースがゆったりとってあるのがよくて、そこにTo Doリストや備忘録を書き込むと、忙しない頭の中が整理されて、その日やるべきこと、逆に急いでやらなくてもいいことがクリアになり、心が落ち着く。

手帳ひとつでこんなにも心への作用が変わるんだなぁ。

みんなが手帳選びにこだわる理由、秋から手帳売り場がにぎわう理由がやっとわかった気がする。

行動の指針となる今年の一文字を発表

書くことにまつわる新年の恒例行事に、「今年の一文字」がある。その年の行動や判断の指針となる一文字を決め、周囲に発表するのは今年で3年目。

実は昨年秋から浮かんでおり、他に有力候補も出てこないまま、そのまま決定することにした。

それは「拡(かく)」。
拡大、拡張、ひろげる、ひろくする。


前年は「継」を掲げ、「継ぐ」を意味するヨガを学び直し、家の綻びを継ぎ、人と人を継なぎ……そのことに喜びと達成感を感じながら過ごした。

一本一本の糸を結び合わせていくような意識で過ごした一年を終え、今年は、自分の活動を通して、喜んでくれる人をより増やす、そのために広く届ける、自分自身のエネルギーを拡大させて、活動領域も広げていく……そんな意識を持ちたいと思う。

この一文字を、新しい手帳の見返し部分に大きく書いて、一日一日を大切に過ごしていこう。

今年もよろしくお願いします。

作家プロフィール

小川奈緒(おがわなお)

エッセイスト、編集者

築47年の縁側つき和風住宅に暮らしながら、イラストレーターの夫・小池高弘と中学生の娘と暮らす。最新刊『すこやかなほうへ 今とこれからの暮らし方』(集英社)、近著『ただいま見直し中』(技術評論社)など著書多数。instagram:@nao_tabletalk

小池高弘(こいけたかひろ)

イラストレーター

のびやかで抜け感のある線画で、書籍や雑誌の挿画、オーダー作品などを手掛ける。小川奈緒との夫婦作品に『心地よさのありか』(パイ インターナショナル)、『家がおしえてくれること』(KADOKAWA)などがある。instagram:@takahiro_tabletalk

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