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【旅と日常のつながり】第7回 アクセサリー作家 山本亜由美さん/旅の途中もあとも。全力投球で楽しむ

writer 加藤郷子

非日常がつまっている「旅」と、日常があふれている「暮らし」。

そんな旅と暮らしの関係を、暮らしをのぞかせていただきながらひもとく連載。

今回はアクセサリー作家、山本亜由美さんのお話。花、植物、自然が、旅のテーマになることが多く、その経験のすべてが、作品づくりにも、暮らしにも影響を与えています。

どこへ行っても、気になるのは植物

お部屋の窓辺
▲どの旅先でも植物が気になる山本さんだけあって、家にも花や鉢植えがいっぱい。

「旅の楽しみを知ったのは、30代半ばから。それ以前は、子どもの頃の家族旅行も含め、あまり行っていない気がします」と振り返る山本さん。

仕事にも気持ちにも余裕が出てきた35歳を過ぎたころから、北海道、鳥取、島根、大阪、京都、そして会津など、あちこちへ。コロナ禍で行けなくなっていましたが、最近、解禁。先日は香川に旅をしました。

国内旅は、展示のお誘いがきっかけになることがほとんど。山本さん自身が旅先を決めることは、あまりないのだそう。作品をつくって送るだけでなく、できるだけ現地に赴いて店頭に立ち、お客さまとの交流を深めるのが山本さん流の展示会への参加の仕方。

つまり仕事の出張ではありますが、展示の合間や前後に近辺を旅し、しっかりその土地を満喫してくるので、これはやっぱり、山本さんの旅の形のひとつです。

定例になっている展示会もあるので、何度も通う街もちらほら。「毎回来ていただくお客さまたちからおすすめをうかがったり、ときには案内していただいたり。主催者のかたにあちこち連れて行ってもらうこともあります」

どこを旅しても、山本さんがいちばん気になるのは、自然。山や川、森など雄大な場所はもちろん、街を歩いていても目がいくのは、個人宅の庭先だったり、観光地の植栽だったり、公園の片隅の草花だったり。キョロキョロしながら見て回るのだとか。

「同じ植物でも地方によって生え方が違いますし、東京と違って少し電車に乗れば手つかずの里山の風景が広がります。珍しい花が咲いてないかな? と目を皿のようにしています(笑)。海外でも同じ。街路樹や壁のツタにも、その国らしさを感じますね」

海外旅は、友人に便乗することが多いのだそう。例えば、パリに行く友人がいたら、その時期ならきっと桐が咲いているからと同行を決め、さらにクロッカスの時期だからスイスもくっつけよう、という具合に旅程ができあがります。

山本さんにとって、いつだって旅の隠れテーマは『植物』。旅で見たものは、植物をモチーフにすることが多いアクセサリーづくりや、ふんだんに植物を使った展示空間のイメージの源泉になっています。

▲自宅のダイニングテーブルの上に巨大なドライの植物を飾っている。

取材・協力

山本亜由美(やまもとあゆみ)

アクセサリー作家

植物や動物をモチーフにしたアクセサリーで独自の世界観を表現。展示空間のインスタレーションでも多くの人を魅了する。料理上手としても知られ、そのおもてなしの食卓は、おいしいだけでなく、ヴィジュアルの美しさにも定評がある。Instagram:@leonardo_abc_

作家プロフィール

加藤郷子(かとうきょうこ)

編集者・ライター

出版社勤務を経て、独立。料理まわり、暮らしまわりの記事や書籍を編集、執筆している。編集を手がけた書籍に『北欧の日常、自分の暮らし』(桒原さやか著)、『日本の住まいで楽しむ 北欧インテリアのベーシック』(森百合子著)など。おうちで通える料理教室『Tabe/Tqu(タベツク)』の運営スタッフでもある。instagram:@chocozai

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