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【おしゃれの見つけ方】第14回 金子敦子さん/50代から60代へ。落ち込むこともあるけれど、元気をくれるのがおしゃれ
writer 齋藤萌
「心地いいおしゃれの見つけ方」をテーマに、自分らしい着こなしやおしゃれのルールを持っている人たちをご紹介しています。
第14回目は、ブログやSNSで日々のコーディネートを発信し、多くのファンを獲得している金子敦子さんです。親しみやすく等身大、けれど気が利いている金子さんのファッションを、真似したいと思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな金子さんの、おしゃれへの心構えやお気に入りのアイテムについてお伺いしました。
着るものがわからないと悩んだあの日。おしゃれと向き合おうと決めた
体型や肌に変化を感じた50代からおしゃれに悩み、今の自分に合ったコーディネートを模索し始めた金子さん。その当時の悩みやおしゃれへのチャレンジを紹介したブログは人気となり、今もなおSNSや書籍で発信を続けています。
そんな金子さんが大切にしているのが、今の自分から一歩外に出るために必要な「挑戦しよう」という気持ちだそうです。
「ブログをはじめた頃は本当に自分のおしゃれがわからなくて。新しい服が欲しくてデパートに行ったのは良いものの、エスカレーターの鏡に映った自分の姿を見た途端に『こんな格好では洋服売り場には行けない』と思い、泣きそうになりながら帰ったこともありました。当時は本当に悩んでいたんです。
そこでおしゃれになって毎日コーデに悩まない暮らしがしたい、少しでも前に進みたいと思い、真剣におしゃれと向き合うようになりました」
「雑誌やインターネット、SNSなどで自分の好きなコーディネートを探しては、色なのかフォルムなのか、どこを好きだと思ったのか、好みの傾向を調べるようになりました。
さらに自分の枠を一歩出てみることも大切だと思っています。最初の挑戦は極太のパンツでした。今でこそ普通になりましたが、当時はあまり穿いている方がいなかったんです。
インスタグラムで同世代の方が素敵に着こなしていたのに勇気をもらい、憧れて注文してみました。けれどいざ家にパンツが届いて穿いてみたら『私にはおしゃれすぎる』と感じてしまい、戸惑いましたね。
でも娘が『お母さん、今までで一番かわいいと思う』と言ってくれたんです。ブログに掲載してみたら共感してくれる方も多く、いくつになっても自分の好きなものを着て良いんだ、と勇気をもらえる出来事でした」
年齢やライフスタイル。変化があった時が、アップデートのタイミング
「50代からおしゃれの試行錯誤を始めて、現在は60代に入りました。年齢を重ねたことでまた体型が変わってきたなぁと感じています。
お気に入りの服が入らない、似合わないなど、かなしい現実に落ち込むこともありますが、それをカバーして気分を明るくしてくれるのが、私にとってのおしゃれなのだと思います。
おしゃれをもっと楽しむためには、今の自分を知ること、変化を受け入れ、装いを少しずつ変えてゆくことが大切だと思っています。
今の自分を知るために鏡を見るのも大事ですが、おすすめは動画で360度撮影してみることです。洋服のラインや着丈などが自分に相応しいか確認できるのはもちろんのこと、姿勢やネックラインなどの確認もできます。
動いている自分って、鏡で見るのとは全然違っているんですよ。動画を参考に、着丈や身幅、袖丈などを測って、今の自分に合うベストなサイズを探しています」
インしなくても決まる。上質な素材の白シャツは強い味方
おしゃれをすることを通して、日々の明るい気持ちを作り出している金子さん。ブログやSNSで見せてくれる元気な笑顔も、源はおしゃれなのかもしれません。
さて、ここからはそんな金子さんが気に入っているアイテムたちをご紹介します。
「ここ数年集めているのが白シャツ。着るだけで顔が明るくなりますし、爽やかだから清潔感もあり印象が良いです。素材や袖丈など違うものを数枚持っています。
シンプルなもののため、素材にはこだわりたいと思っています。今のお気に入りはHUIS(ハウス)というブランドの遠州織物です。今日着たシャツ(下の写真)は、細番手の糸を旧式シャトル織機を使って高密度にゆっくり織り上げたコットンリネン生地。驚きの軽さとやわらかさです。
デザインは、スッキリ見える首のあき具合と、ほどよい着丈(65cm前後)、そしてゆったりとした身幅(60cmくらい)にこだわっています。インすると良いとよく言われますが、私にはインが難しくて……。インしなくてもスッキリ見える着丈にこだわっています」
取材・協力
金子敦子(かねこあつこ)
主婦
50代からはじめたブログ『命短し恋せよ乙女★ 50代の毎日コーデ』が人気となり、現在はSNSや書籍など、さまざまなメディアで等身大のおしゃれを発信する。愛称は「あっこたん」。著書に『今日より明日がもっと楽しい ヤッホー! 60歳』(扶桑社)、『あっこたんの毎日が楽しくなる50~60代の手作り服』(ブティック社)など。Instagram:@55akotan
作家プロフィール
齋藤萌(さいとうめぐみ)
編集者・ライター・フォトグラファー
「土屋鞄製造所」「北欧、暮らしの道具店」など、3社にてWebメディアの編集・ライターを経験し、2021年に独立。暮らしまわりやものづくりに関わる取材・執筆が得意。またフォトグラファーとしても活動している。instagram:@megum_isaito