読み物

大人こそ取り入れたい!麦わら帽子の魅力を滝口和代さんに聞きました(前編)【似合うをさがして】

writer ナチュらぎ編集部

各分野に精通したおしゃれ賢者にお会いして、「似合う」をみつけるためのヒントをいただく企画です。

第3回目は、夏の定番、「麦わら帽子」に注目。麦わら帽子は英語でストローハット。日本では麦わら(ストロー)をはじめとする天然素材で作られた帽子全般を、麦わら帽子と呼んでいます。

実用的でありながらも、おしゃれ効果が絶大なアイテム。麦わら帽子をもっと素敵に被れたら、暑い夏が少しだけ涼しく、楽しくなりそうです。

そんな麦わら帽子をテーマにお話を聞いたのは、フリーランスとして多方面で活躍する滝口和代(たきぐちかずよ)さんです。

滝口さんの日々のコーディネートを紹介するインスタグラムを拝見すると、小物の取り入れ方がとても素敵なんです。なかでも麦わら帽子は、とくに目を惹く存在。

帽子のおしゃれを楽しむヒントを求めて、今回は仕事場のアトリエにお邪魔し、実用だけでない、麦わら帽子の魅力をじっくりたっぷりうかがってきました。

洋服も帽子も、背景にあるストーリーに惹かれる

「あらためて数えてみたら、50個以上持っていました。自分でもびっくりです」と所有する帽子の数を笑顔で教えてくれた滝口さん。

取材にあたってその一部をご自宅から持ってきていただきました。ヨーロッパのヴィンテージからなじみのお店で買ったもの、値段も高いものから手頃なものまでがずらり。

箱に収納された帽子

「帽子が大好きなので、ピンときたものを見つけるとついつい買ってしまいます。天然素材が好きということもあり、なかでも麦わら帽子は本当にたくさん持っています」

お話を聞いていると、どうやら滝口さんにとって帽子は、実用性はありつつも、その時の気持ちや好きな世界を表現する意味合いが強いよう。そのことを象徴する、こんなエピソードを教えてくれました。

「以前ヨーロッパの古い文献で、男性がツイードのコートにカンカン帽を被っている写真を見たのですが、それがとっても素敵だったんです。真似したくなって、まだ寒い2月に、厚手のニットにカンカン帽を被ってお出かけしたこともありました(笑)」

たくさんの帽子

「ファッションはトレンドを気にするよりも、ルーツを辿って、成り立ちや物に宿るアイデンティティを知ることのほうがおもしろいと感じるタイプ。

帽子も古くは正装や農作業など、人の営みとともに生まれたものですよね。そこで育まれた精神性や、デザインの意味に惹かれるんです。背景を知って、そこから感じる気持ちを着こなしにも反映させたり、創作のインスピレーションをもらったりしています」

ドラマチックなフォルムに一目惚れしたつば広ハット

リボン付きのつば広ハット
▲帽子:FERRUCCIO VECCHI

「と言いながらも、これは思いっきり造形の美しさに惹かれたものです(笑)」と最初に見せてくれたのは、リボン付きのつば広ハットです。

▲電車の中などでは、かごバッグに入れて移動も

「ここまでつばが広いと日よけ効果も絶大ですし、なにより気分が高まります。リボン付きで、首や肩にさっと結べるところも好き。

この帽子は、日々の子どもの送迎にも使うし、海に行くときも被ります。麦わら帽子は乾きがいいので多少濡れても意外と平気だし、手で編まれた帽子はすごく丈夫。『エイジングも楽しんじゃえ』と、暮らしの中でたくさん使っています」

つば広ハットのコーディネート
▲ブラウス:fofofofa、パンツ:CURRENTAGE

大好きなベレー帽は、素材を変えて夏もずっと活躍

ストロー素材のベレー帽

次に見せてくれたのは、先ほどとはうってかわってミニマルなストロー素材のベレー帽です。

「こちらは日本のハットメーカーのCOMESANDGOESのもの。ベレー帽が好きだけれど夏は被れないのかなと思っていたときに見つけました。もう10年くらいになるのですが、エイジングで色が薄くなる感じもかわいくて、被れば被るほど愛着が湧いちゃうんです。

軍用帽子として広まった側面を持つベレー帽は、私にとって少し背筋が伸びるような凛々しさを感じるアイテム。なので、着こなしに格好よさをプラスしたいときに被ります」

ベレー帽のコーディネート
▲トップス:fofofofa、パンツ:NEEDLES
帽子を被った後ろ姿

「帽子を被るときはダウンヘアか、下にボリュームをつくったまとめ髪をよくします」

こちらは2つに分けてからくるりと結わいたお団子ヘア。無造作なニュアンスが絶妙です。

旅の気分をくれたのは、ベールをまとった麦わら帽子

ベール付きの麦わら帽子

「夢の帽子です」と滝口さんが教えてくれたのは、黄色いベール付きの麦わら帽子。

「コロナ過に入れ替え制で行われていた展示会で一目惚れしたMuhlbauerの帽子です。旅行も自由にできなかったあの時期、気持ちを上げたくてカラフルなコーディネートをよくしていました。この帽子を見つけたとき、旅のような気持ちの高まりを感じて、『旅の夢をみせてくれる帽子だ!』と思ったんです。

黒の洋服に差し色としても使えますし、黄色のベールは麦わら帽子の色となじんで派手すぎないので、こんなふうにチェック柄のオールインワンと組み合わせても調和するんです」

ベール付きの麦わら帽子のコーディネート
▲オールインワン:fofofofa

物選びの目線、コーディネートの楽しさ、滝口さんのお話にワクワクしっぱなしの取材スタッフ陣。滝口さんの帽子のおしゃれが人を惹きつける秘密に、少しだけ触れられたような気がしました。

後編では、お手入れ方法や小物の合わせ方、ナチュラン別注帽子の装いも紹介していただきましたので、どうぞお楽しみに。

撮影/菊地和歌子

>>後編を読む

取材・協力

滝口和代(たきぐちかずよ)

フリーランス ディレクター・PR

自然素材のアパレルブランド「nest Robe(ネストローブ)」や「fofofofa」などフリーランスでさまざまなブランドのPRやディレクションを務める。自身のInstagramで発信する日々のコーディネートも大人気。Instagram:@takiguchi_kazuyo

読み物カテゴリー一覧
ページトップへ