読み物

vol.8 自分だけのいま

チークのダイニングテーブルにひじを乗せる。

手のひらを空に向けて、あごを乗せる。

なんともなしに、人差し指で頬のうえあたりをさすった。
ちょっと、ユルすぎ?
「まァ、今くらいはいいでしょ」
自分だけの居間で、肩の力を抜きつつ、そんなことを独りごちる。

ヒマしている方の手をおもむろにぶらつかせ、指の腹をテーブルにそっとすべらせた。それから、カップのふちを撫でる。
そこはかとなくひんやりした。
カップに注いでいたダージリンティーは、もう半分もない。しばらく放置しているうちに、すっかり冷めてしまっていた。

「ふぅ……」
あごを手のひらから離し、頭に巻いたローゲージターバンの位置を、指で整える。ウール糸が柔らかくて、透かし編みの凸凹した感触が指に残った。

昼下がりのリラックスタイム。
ランチの片付けも、洗濯物も一段落して、ほっとひといき。

【作家プロフィール】
ななくさつゆり/小説家・ライター
眺めるように読める詩や小説、読む人のこころにふれる、情景が浮かぶようなストーリーを作る。

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