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Mayamoonさん新連載【緑が伝えてくれること】6月/水無月のささやかな楽しみ

writer Mayamoon

【小さなベランダ&庭のある暮らし】の第2回にもご登場いただいたMayamoon(マヤムーン)さんの新連載がスタートします。

絵描き、詩人であり、ガーデナーでもあるMayamoonさんの、緑がつないでいく12カ月の記録。

自宅のお庭や市民農園で育てるお花やハーブ、野菜たちは、心の平和を保つために大切なことを伝えてくれるようです。

植物がどんどん茂り、成長や実りの喜びを感じられる季節。緑豊かな6月のお庭におじゃまします。


玉ねぎの収穫

市民農園を10年ほど前から借りていて、無農薬、無肥料栽培で家庭菜園を細々と続けている。

そんなに手をかけていないのに玉ねぎはいつもたくさん採れる。
玉ねぎは畑に長くいる野菜で、秋に苗を植えて冬を越したらそのままほうっておいても成長して、収穫の時期を迎える。畑で一番手のかからない野菜だ。毎年100個は採れるので半年ほど自給できる。

採れた玉ねぎはぶら下げて保存しておく。
農家だと軒下に干して保管できるけど、なにせマンション暮らしなので家のありとあらゆる場所にぶら下げている。
寝室でも頭上で玉ねぎが揺れている様子はちょっとシュール。

採れたての新玉で玉ねぎ麹を作る。
みじん切りした玉ねぎに塩と麹を混ぜて60度で6時間保温。我が家では使わなくなったヨーグルトメーカーで作っている。

お酢とオイルと混ぜてドレッシングにしたり、煮物や炒め物の味付けに使ったり。
びっくりするほどおいしくて、これがあるだけで味付けに困らない。

スライスしたみずみずしい玉ねぎにこの玉ねぎ麹をかけて晩酌のお供にする。

一日の終わりの密かな贅沢。


ドクダミの蜂蜜漬け

毎年この時期、庭はドクダミのジャングルになる。
ちょうど満開になった頃を見計らって1日ドクダミ仕事。
たくさんあるので抜くだけで汗だくになる。

まずは洗って水気を切り、花びらだけ取って蜂蜜に漬ける。
しばらく置いておくと蜂蜜の味がほのかに柑橘系の爽やかな味になる。
毎朝ひとさじ蜂蜜を舐めているのだけど、普通の蜂蜜がなんとなく重たいなと感じるときにこれを舐める。

葉っぱはホワイトリカーに漬けてチンキにする。
一年ほど寝かして化粧水として使っている。
さらに、虫刺されにも入浴剤にも使える。
コットンにたっぷり含ませてお風呂上がりにローションパックをするのも日課。

ドクダミは本当にたくましい。
毎年毎年同じところで花を咲かせる。
十薬と呼ばれるくらい効能があるといわれているのに、一般的には雑草扱いされている。
そんな扱いにもめげず粘り強く生きている。

日々色々なことがあるなかで、もう無理かなぁ……となんとなく諦めそうになった時、私はいつもドクダミを思い出す。


紫陽花のお手紙

庭の紫陽花が満開。

大ぶりな紫陽花はブーケにして友人たちへの手土産にする。

紫陽花という字には紫が入っているけど、我が家で育つ紫陽花は青か白にしかならない。
ピラミッド型に咲く柏葉紫陽花の形は不思議。
何でこんな形になったのだろう。

雨上がりの朝日をキラキラと浴びた紫陽花は本当にきれいで心慰められる。
自然の色がこんなにも色とりどり美しくできていることに感動する。

切った紫陽花を花瓶に入れて時々眺める。
紫陽花の水揚げが上手くできず、すぐにしんなりしてしまうのがちょっと悲しい。
鮮やかな色は時がたつと色褪せてしまう。

少しの間だけでも庭の色彩を保存するために、花びらを分厚い本に挟んで押し花にする。
紫陽花の押し花は手紙に添えてお便りするのがこの時期だけの楽しみ。

なかなか会えない遠く離れた友人に庭の風を届けられること。
ささやかな季節のうつろいを切り取ることが私にとってはこの上ない喜び。

【写真提供】Mayamoonさん

作家プロフィール

Mayamoon(マヤムーン)

絵描き・詩人

絵描き、詩人として表現活動を続ける。オンラインコミュニティ「ノートと種まき」を運営するほか、暮らしにまつわる手仕事のワークショップ講師としても活動。庭で花やハーブを栽培、市民農園で無農薬、無肥料の家庭菜園を行い、植物との暮らしを発信している。instagram:@mayamoon0000

〈お庭の取材記事はこちらから〉

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