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【おしゃれの見つけ方】第4回 西麻布R店主・滝本玲子さん/スタイルは決めない。新しい「似合う」を取り入れて、おしゃれを楽しむ

writer 齋藤萌

「心地いいおしゃれの見つけ方」をテーマに、自分らしい着こなしやおしゃれのルールを持っている人たちをご紹介しています。

第4回目は、デザイン事務所を主宰している他、喫茶店や企画展などを行っている西麻布R(Rと表記することもあります)の運営など、枠を設けることなく多方面で活動している滝本玲子さんです。

「少しでも違う」と思ったら手に取らない。気に入ったものを長年使う

東京メトロ表参道駅から根津美術館の横を通り過ぎ、住宅やオフィスなどの並んだ静かな場所にある西麻布R。センスがよいのに気取らない、まるでオフィスか家にお邪魔させてもらったかのようなアットホームな雰囲気は、滝本さんの人柄をそのまま体現したかのようです。

滝本さんだからこそのセンスを感じさせるのは、空間だけではありません。その装いもまた、じっくりと時間をかけて自分らしい選択をしてきた人が持つ芯を感じさせます。そんな滝本さんに、服や装いに対する想いやこだわりについて伺いました。

「洋服は好きですし、着こなしをあれこれ考えるのも好きですね。素材にはあまり興味はなく、フォルムが美しいものが好み。

comme des garconsやPaul Harnden(ポールハーデン)などを買うことが多いです。

仕事でも洋服好きが高じてか、ここ10年ほどブランドのディレクターなど、洋服にまつわることに携わるようになりました。例えば2012年にはじめた『エプロン商会』は、エプロンも作業着ではなく、洋服のように楽しんで着たいという想いで立ち上げたんです」

滝本さんとフラワーデザイナーの市村美佳子さん、2人ではじめた「エプロン商会」は、美しい花柄などのプリントで有名なロンドンのLiberty社などの生地を大胆に使ったエプロンの制作・販売を行っています。

「自分が身につけたいと思うエプロンがなかった」という経験からはじめたというこのプロジェクト。ないなら自ら作ってしまおうという妥協のなさは、滝本さんのもの選びの姿勢にも通じています。

「どんなものでも、気になってしまう部分がひとつでもあったら無理に手に取らないんです。例えば長年使っているこのPaul Harndenの鞄も、フォルム・素材・ディテール、どこをとっても違和感がなかったもの。

鞄の中には表のデザインが素敵でも裏地が好みではない、と感じてしまうものもあります。なので愛用の鞄はどれも裏地がないんです」

▲愛用のPaul Harndenのバッグ。裏地がなく、革のみのシンプルな作り。

「細かな部分にも妥協しない分、物持ちはよいんですよ。例えば数年着ていない洋服があっても、なるべく処分はしません。

今の気分に合わないかもしれないけれど、年を重ねてからまた手に取ることが多いですから」

▲ノートパソコンを入れて持ち歩いているというcomme des garconsのバッグ。

日頃から着回しを楽しむ。大のジャケット好き

もの選びに慎重な印象を受ける滝本さん。その分あまり量を持っていないのかなと思いきや、大のジャケット好きで、ジャケットは何着も持っているそうです。

「色はブラックやネイビーが多いですが、それぞれ丈の長さや襟の形など、デザインが異なります。スカートやパンツなど、下に着るものやインナーに合わせてジャケットを変えて、コーディネートを楽しんでいます」

「今年気に入っているのは、universal utility(ユニバーサルユーティリティ)のジャンパースカートにFUMITO GANRYU(フミト ガンリュウ)のジャケットの組み合わせ。

ブラックとネイビーの合わせや、スカートとジャケットの長さのバランスが気に入っています」

取材・協力

滝本玲子(たきもとれいこ)

西麻布R店主

1983年よりデザイン事務所 「merge」 を主宰。雑貨バイヤー、店舗企画等に携わる。2011年に西麻布にて喫茶店Rをオープンし、2020年に「西麻布R」に店名を変更。器やファッション、アートやデザイン系の企画展を多数開催している。また、フラワーデザイナーの市村美佳子さんとの「エプロン商会」では、美しい花柄やビンテージ生地でのエプロンの制作・販売を行う。Instagram: @merecoto

作家プロフィール

齋藤萌(さいとうめぐみ)

編集者・ライター・フォトグラファー

「土屋鞄製造所」「北欧、暮らしの道具店」など、3社にてWebメディアの編集・ライターを経験し、2021年に独立。暮らしまわりやものづくりに関わる取材・執筆が得意。またフォトグラファーとしても活動している。instagram:@megum_isaito

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