読み物
【髪とおしゃれ】エッセイスト・広瀬裕子さん(後編)/髪色も一色としてコーディネート。シルバーヘアのおしゃれ術
writer ナチュらぎ編集部
広瀬裕子さんの「髪とおしゃれ」のお話。前編ではシルバーヘアを選ぶきっかけや完成するまでの経過をご紹介しました。
つづく後編では、シルバーヘアで楽しむおしゃれのお話を中心にお聞きしていきます。
メイクと小物できちんとした印象を加えるように
2年かけてシルバーヘアになった広瀬さん。髪色の変化とともに、変わったこと、変わらないことがあるそうです。
変わったことのひとつが、メイクです。
広瀬さん
「55歳頃からファンデーションを使わない生活をしていたのですが、シルバーヘアになって、再びファンデーションとリップを使うようになりました。
髪を染めない、というのが引き算だとしたら、何かを足すことでバランスをとっているのかもしれません。
あと、髪が白くなったことで、きちんとした部分を意識的につくるようになりました」
メイクのほか、合わせる小物選びにも変化があったそう。
「ハイブランドにはあまり興味がなかったのですが、髪の色を変えている途中、こちらのバッグにたまたま出合い購入。バッグがもつきちんとした雰囲気にひかれました」
「シルバーヘアには白いパールよりグレーのほうが似合うのではと、アクセサリー作家の友人が贈ってくれたグレーパールのピアスです。
白い髪になってからは、色に対してより意識的になったように思います」
変わらない、少ない服でのおしゃれ
「コーディネートは2色か3色までと決めているのですが、白い髪も1色として数えるようになりました。上下黒の服でも、髪が白いと重くなりすぎないんです」
「逆に変わらないのは、少ない服での暮らし。洋服は、ここ数年でものすごく減らしたんです。トップスもボトムスも、それぞれ数枚ずつしかもっていません。
シルバーヘアへの移行期は服を買わないようにしていたのですが、それは白い髪になったら着たい服も変わるかなと思ったから。ですが、今のところ買いたい気持ちにはならず、少ないまま過ごしています。
『たくさんあるけど着る服がない』と悩むこともなくなりました。いつもの服に、小物や素材できちんとした雰囲気をプラスした装いが、今の私には合っていると感じています」
髪もおしゃれも、「今」の暮らしに合う選択を続けていく
「物を増やしたくないという気持ちが年々強くなり、物選びの基準が厳しくなっているかもしれません。一生使うと思って買っても、結局一生は使わないことも多いので、大切にしているのは今の暮らしに合っているかどうか。
髪色も同じで、どういう暮らしをしていきたいかを考えたら、染めないという選択が今の自分にはしっくりときました。
でも、これからもずっとシルバーヘアと決めているわけでもないんです。どういう60代を迎えるかはまだわかりませんが、とりあえずやりたいことがあったらやってみようと思っています。人生思い通りにいかないこともありますが、悲観していても仕方がないので。『今』にしっかりと向き合って、心地よさを見つけていくのがいいと思います。
今後は、毛先にパーマをかけるのもいいなと思うし、白い髪にブラウンを入れるとミルクティーのような色になるようで、そういうのもいいかもねって美容師の薫森さんと話しているんですよ」
撮影/河合信幸
取材・協力
広瀬裕子(ひろせゆうこ)
エッセイスト
執筆のかたわら、ホテルや店舗、レストランなどの空間設計の仕事にも携わる。東京、葉山、鎌倉、香川を経て、現在は東京在住。『整える、こと』、『55歳、大人のまんなか』(PHP研究所)など衣食住をテーマにした、暮らしにまつわる著書多数。Instagram:@yukohirose19