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Mayamoonさん連載【緑が伝えてくれること】11月前半/自分を取り戻す場所

writer Mayamoon

絵描き、詩人、ガーデナーとして活動するMayamoon(マヤムーン)さんの、緑がつないでいく12カ月の記録。

畑で過ごす心温まる時間に、ミモザの葉のラッピングで楽しむ台所でのひととき。なにげない毎日が特別に思えるような11月前半のお庭日記です。


畑で深呼吸

久しぶりに畑へ。
青い空にゆっくりと雲が流れている。
目を閉じるとまぶたに太陽の光が当たって気持ち良い。
乾いた空気と蝶の気配を感じながら深呼吸する。
どこか遠くに行ってしまっていた自分を取り戻す。

ここのところ雨が降らずにいるので土がカラカラ。
サラダミックスがもう収穫できるくらいの大きさになっている。
間引いて隙間を作ってあげる。

夏にたくさん採れたシナモンバジルはもう花が咲き始め、そろそろ片付けたほうがいいと分かっているけど、可愛くてそのままにする。
こうやって片付けるのが遅くなり、いつも次の野菜を植える時期を逃してしまう。

小さい芽キャベツがポツポツできている。
何度見ても芽キャベツのできる様子は不思議で可愛い。

何をするわけでもなく畑にいるだけで乾いた心は満たされる。


あるものでクッキー

何も予定がない日。
ここのところ忙しかったので1日中家にいられるのが嬉しい。
洗濯物を干して、掃除機をかけて、たまっている家事をする。
全部終わって小腹がすいてきたのでおやつを作ることに。

家にあるのはオートミールと小麦粉とりんごジュース。
りんごジュース風味のオートミールクッキーを作ってみる。
りんごジュースにメープルシロップと菜種油を混ぜて、そこに小麦粉とナツメグとシナモン、オートミールを加えてまぜる。
ある程度固めて形を整えて焼く。
適当に作ったわりにはうまくできた! 

たくさんできたので人におすそ分けできるように、庭のミモザの葉っぱでラッピングする。
台所で一人、可愛い可愛いと独り言を言いながら過ごす午後が最高に楽しい。


サツマイモ掘り

そろそろサツマイモの収穫の時期。
試し掘りしてみたら大きいのがゴロゴロでてきて嬉しい。
今年は加賀野菜の五郎島金時という品種を植えた。
ブランド芋で普通に買ったら結構お値段がするので、家庭菜園でここまでできればコスパがいい。

サツマイモは何度も植えているけど葉っぱにばかり栄養がいってしまい、実が全然太らない時もある。
掘ってみないと土の中でどのくらいの大きさになっているか分からない。

実が収穫できなくても私はサツマイモのツルも食べるので別にいいかなと思っている。
ツルは薄皮をむいてきんぴらにしたり、煮物にしたり。
よく食糧難の戦時中に食べていたと畑のおじさんたちが話してくれる。

採れたてのサツマイモを畑のおじさんたちにおすそ分けする。
「おっ、すごいな〜!大きいなー!」
とみんな褒めてくれる。
まるで褒められた子どものように得意気な顔をしている自分。

畑は自然と人との小さな交流があって、平和で心温まる場所。

いつでもそこに行けることに心底幸せを感じる。

【写真提供】Mayamoonさん



作家プロフィール

Mayamoon(マヤムーン)

絵描き・詩人

絵描き、詩人として表現活動を続ける。オンラインコミュニティ「ノートと種まき」を運営するほか、暮らしにまつわる手仕事のワークショップ講師としても活動。庭で花やハーブを栽培、市民農園で無農薬、無肥料の家庭菜園を行い、植物との暮らしを発信している。instagram:@mayamoon0000

〈お庭の取材記事はこちらから〉

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