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Mayamoonさん連載【緑が伝えてくれること】12月後半/小さなかけらが輝きだす

writer Mayamoon

絵描き、詩人、ガーデナーとして活動するMayamoon(マヤムーン)さんの、緑がつないでいく12カ月の記録です。

冬の冷たい空気がおりなす、この時期だけのご褒美のような景色。今年最後の更新となる、12月後半のお庭日記が届きました。


レモン塩麹

せわしなく過ぎていく師走。
心落ち着けてまずはソファに山盛りになっている洗濯物を畳む。
視界には入ってきているけど、ずっと忙しくて手がまわらなかった洗濯物の山。
どんどん崩れてなくなっていくのがすっきり嬉しい。

国産の無農薬レモンが手に入ったので塩レモン麹を作る。
みじん切りしたレモン(フードプロセッサー使用)に塩と麹を混ぜてヨーグルトメーカーで発酵。
6時間ほどで出来上がる。

レモン風味の塩麹はさっぱりおいしくて料理の味付けに便利。
スープに入れたり、炒め物の味付けにしたり。
酢と油を加えればドレッシングにもなる。
ちょっとした手作り調味料が冷蔵庫に入っているだけでなんとなく豊かな気持ち。
年末で焦る気持ちも落ち着いてくる。
今夜はこれを鍋に入れて温まろう。


朝の畑

この時期の朝の畑は凍える寒さ。
でも冬の朝だけのご褒美がある。
それは雑草に降りる霜の美しさを見られること。
緑の葉っぱがほんのり白くなっている。
歩くとザッザッと気持ちよい音がする。
冷たい空気で白くなる息。
階段のように1本の光が畑に差し込み、霜に当たりキラキラ輝く様子。
ちょっとずつ霜が溶けて水になって流れる気配。
この朝の美しさはまるで夢の世界のよう。
この空気を体中で感じていると、私のなかのまだ眠っている小さなかけらのようなものが輝きだす気がする。

植え付けた玉ねぎはようやく根付いたみたい。
こんなにヒョロヒョロした芽が大きな玉ねぎになるのが不思議。
大根の葉っぱは間引いてお味噌汁の具にする。
紫のブロッコリーの葉っぱに水滴がついてきれい。
冬の朝の畑でしか見られない光景がここにはある。


寄せ植え

冬から春にかけて庭を彩る寄せ植えを作る。
ビオラとアリッサムを植え込んでいく。
ビオラはアンティークカラーのくすんだ色のものも入れる。
パッと目を引く黄色や赤など派手な色の方が冬の庭では映えるのだけど、アンティークな雰囲気も落ち着いていて好き。
先月埋めた球根がもう芽を出している。
静まり返った庭の土の下では生き物が春の準備をしている。

今年もあと数日で終わる。
我が家の玄関にはクリスマス用に作ったスワッグが飾ってある。
街はクリスマスが終わって一気にお正月モードに切り替わる。
でも家の中だけは徐々に季節の流れを感じられたらいいかなと思う。
手帳を見返しながら今年一年を振り返り、たくさんの人に助けられて今があるなぁと感じる。
人だけではなくて植物にも支えられてきた。
特別なことはなくても、今年一年を感謝して終わることができること。
これこそが幸せだなぁと感じる。

【写真提供】Mayamoonさん

作家プロフィール

Mayamoon(マヤムーン)

絵描き・詩人

絵描き、詩人として表現活動を続ける。オンラインコミュニティ「ノートと種まき」を運営するほか、暮らしにまつわる手仕事のワークショップ講師としても活動。庭で花やハーブを栽培、市民農園で無農薬、無肥料の家庭菜園を行い、植物との暮らしを発信している。instagram:@mayamoon0000

〈お庭の取材記事はこちらから〉

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