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Mayamoonさん連載【緑が伝えてくれること】2月前半/二度と戻れなくてもそばにいる

writer Mayamoon

絵描き、詩人、ガーデナーとして活動するMayamoon(マヤムーン)さんの、緑がつないでいく12カ月の記録です。

毎年この時期に咲くというクリスマスローズのブーケに、充実感たっぷりの味噌仕込み。手仕事のある暮らしを楽しむ、2月前半のお庭日記です。


藤編みの魔法瓶

冬の朝、起きてすぐに白湯を飲む。
昨日の夜に鉄瓶で沸かしてポットに入れておいた白湯。
ガラスのカップ越しに揺れる湯気がきれいでうっとり見とれてしまう。 ヒヤシンスの水耕栽培は日に日に大きくなっている。

鉄瓶で沸かしたお湯は柔らかくておいしい。
貧血気味なので鉄分もとれたらいいのだけど、その効果は特に感じない。
鉄瓶の取り扱いに関してはどれだけ注意していても、ドジな性質なので時々ヒヤッとさせられる。
とにかく火傷に注意。

藤編みのタイガーの魔法瓶のポットは祖母の家で使っていたもの。
保温はそんなによくないけれど、朝飲む頃には熱すぎずちょうどいい温度になっている。
何よりこのたたずまいが好き。祖母の家の台所に置かれていた様子を今も覚えている。

祖母が住むマンションの台所には小さな勝手口があり、そこからベランダに出て遊んだこと。
都会なのに空が近くて不思議に思ったこと。病院が近くにあり夜中に唸る救急車の音に、今このとき誰かが大変なことになっているのを想像して怖かったこと。

もう二度と行くことのできないあの場所に、このポットは一瞬で連れていってくれる。


編み物とクリスマスローズ

去年ずっと編んでいたレッグウォーマーがついに完成した。
毛糸は実家に眠っていたもので、フランスのデッドストック(ただ古いだけだけど)。
編み物初心者、一人では何も分からないので月に一度先生に習っている。
冬はレッグウォーマーがかかせないので自分で作れて嬉しい。
今年は1年かけてベストを編もうともくろみ中。

庭にクリスマスローズが咲きはじめる。
足元で下を向いて咲くクリスマスローズ。
上からだとあまり見えないので切って花瓶に移す。
花の色が紫やピンクなども欲しいと思って植えてみたけど、結局淘汰されて白しか残らない。

友人のお土産にクリスマスローズのブーケを作る。
葉っぱがよい香りのするラベンダーも入れる。
毎年2月になると咲いてくれるクリスマスローズに
「今年もおかえり~」
と声をかける。


味噌仕込みの1日

この日はスケジュールを1日空けて。
普段は食べない朝ごはんもたっぷり食べて。
エプロンと三角巾をしたら味噌の仕込み。

味噌作りは根気が必要。
豆を茹でるのがとにかく時間がかかる。
前日から豆を水に浸し、圧力鍋2台でとりかかる。
なるべく早く終わらせようと多めに煮てしまうと、途中でブクブクと蒸気ノズルから煮汁が溢れだしてしまうから注意。
せっかちな私はいつも失敗するけど。

煮た豆は潰して麹と塩と混ぜ合わせ、だんご状にする。
それをホーローのストッカーに空気が入らないようにえいっ~っと叩き入れる。
この作業一人でやっていると変だけど、私は声を出してやる。
結構スッキリする。

表面をならして薄く塩をかけて床下で眠らせる。
暖かくなってきたらカビが生えていないか時々チェックする。
はぁー、今年も無事自家製味噌が作れた。
夜ご飯を作る気力はもう残っていない。

【写真提供】Mayamoonさん

作家プロフィール

Mayamoon(マヤムーン)

絵描き・詩人

絵描き、詩人として表現活動を続ける。オンラインコミュニティ「ノートと種まき」を運営するほか、暮らしにまつわる手仕事のワークショップ講師としても活動。庭で花やハーブを栽培、市民農園で無農薬、無肥料の家庭菜園を行い、植物との暮らしを発信している。instagram:@mayamoon0000

〈お庭の取材記事はこちらから〉

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