読み物

Mayamoonさん連載【緑が伝えてくれること】9月前半/うつろう季節を体中で感じる

writer Mayamoon

絵描き、詩人、ガーデナーとして活動するMayamoon(マヤムーン)さんの、緑がつないでいく12カ月の記録。

自宅のお庭や市民農園で育てるお花やハーブ、野菜たちは、心の平和を保つために大切なことを伝えてくれるようです。

長く感じた今年の暑さもあと少し。少しずつ秋の気配を感じられるようになってきた、9月前半のお庭便りです。


黄色いゴーヤ

ゴーヤはこの時期にもまだ収穫できる貴重な夏野菜。
薄くスライスして塩もみして食べるのが好き。

採れたてのゴーヤをスパッと半分に切ると、時々種が赤く完熟しているものがある。
この真っ赤な種、見た目は不気味だけど、口に含むとほんのり甘い。
そんなにおいしいわけではないけれど、毎回味を確かめてしまう。

緑のゴーヤを収穫せずに置いておくと黄緑色、黄色、オレンジ色と色が変化する。
オレンジ色になると実がはじけて真っ赤な種が飛び出す。
そうなる前に黄色いゴーヤをジュースにする。
ゴーヤとバナナに牛乳と砂糖を入れてミキサーにかけるだけ。

黄色いゴーヤは全然苦くない。
同じ野菜なのに全く別物のようになるのが不思議。
世間ではなかなか登場しない黄色のゴーヤ。

私たちの身近に出回る野菜は、一番の食べ頃だけが用意されていて、じつはまだその先があるということを改めて感じる。
いつかその美しく熟した黄色いゴーヤが、日の目を見る日がくるといいなと思う。


畑デトックス

秋冬の野菜の準備をしに畑へ行く。
トンボをよく見かけるようになり、秋だなぁと感じる。

夏野菜の片付け、雑草取り、土を耕し、畝をたてる。
まだ残暑が残るこの時期、この作業はサウナ以上に汗だくになる。

息を切らしながら時々水を飲みつつ、区切りのよいところまで終わらせる。
これを私は「畑デトックス」とよんでいる。

いろんなことを考えすぎて、頭の中が休まらず疲れてしまう。
そういう時に畑デトックスは役に立つ。

土に触れて体を動かして草を取る。
終わってしまった夏野菜に
「元気に育って実をつけてくれてありがとう」
と声をかける。

草むしりをして積み上げられた草とスッキリしていく畑を見ると、心も少し軽くなる。
空は青く澄みわたり、トンボが自由に飛んでいる。
夏から秋の変化を体中で感じて、服も靴もドロドロなのに気分は爽快だ。


最後は手打ちそば

夏休みに訪れた長野で2種類のそばの種を買った。
信濃一号そばとダッタンそば。

そばを育てるのは初めてでよく分からないけど、早速種まきをする。
初めての野菜を育てるのはとてもワクワクする。

芽が出るのか、どんな花が咲くのか、手入れはどんな風にするのか、この環境で育ってくれるのか。

最初に育て方をチラッと調べるけれど、大まかなことが分かれば、あとは自分のカンに頼る。
うまく育てばうれしいし、失敗してもまたリベンジできる楽しみがある。

種まきから一週間後に畑に行ったら、もう芽が出ていて驚く。
そばは90日で収穫できると聞いていたけどこんなに早いとは。

もしそばが収穫できたらそば茶にしたい。
でもそば殻からそばの実を取り出す作業が大変そう。
できなかったらそば殻の枕を作ろうと思う。(誰も使わないかもだけど……笑)

まだ芽が出たばかりなのに、自分の育てたそばで手打ちそばを作れる日が来るかも……と、少しだけ期待している自分がいる。
妄想は膨らみ、こんなことを考えている時間が一番楽しい。

【写真提供】Mayamoonさん

作家プロフィール

Mayamoon(マヤムーン)

絵描き・詩人

絵描き、詩人として表現活動を続ける。オンラインコミュニティ「ノートと種まき」を運営するほか、暮らしにまつわる手仕事のワークショップ講師としても活動。庭で花やハーブを栽培、市民農園で無農薬、無肥料の家庭菜園を行い、植物との暮らしを発信している。instagram:@mayamoon0000

〈お庭の取材記事はこちらから〉

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