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Mayamoonさん連載【緑が伝えてくれること】10月後半/実り深まる秋の日に

writer Mayamoon

絵描き、詩人、ガーデナーとして活動するMayamoon(マヤムーン)さんの、緑がつないでいく12カ月の記録です。

青く広がる空に、清々しくおいしい空気。「秋は大好きな季節」というMayamoonさんの、実り豊かな10月後半のお庭におじゃまします。


シソの実

毎年こぼれ種で増えていくシソ。
夏が過ぎ、秋になると花穂がたくさんできる。
庭でまだまだ元気なミントと一緒にブーケにするとかわいい。
シソの実が大きく膨らんできたら摘み取り、実をこそげとってばらす。
プチプチとした食感が楽しめるシソの実。
佃煮、塩漬け、醤油漬けにすれば長期保存もできる。
シソの実の天ぷらはこの時期だけのお楽しみ。

私が一番好きなのは塩漬け。
あく抜きすると苦味が抑えられるので、一度サッと熱湯にくぐらせる。
あとは塩で漬けるだけ。
これを炊きたてのごはんにのせて食べると無限にごはんを食べられる。
ポテトサラダに入れてもおいしい。

シソは葉っぱはもちろん実まで長い時期楽しめる。
野生化してジャングル状態にもなるけど、余すことなく使えば本当にありがたい自然の恵みになる。


畑のアート

気持ちのよい秋晴れの日。
畑仕事もはかどる。
夏にまいたそばの花が咲いていてとてもきれい。
白くてかわいい花は可憐。
そば殻ができているのもあり、そばがこうやって育つことをこの目で見て知ることができて嬉しい。

ダッタンそばと普通のそばの種をまいたけど、ダッタンそばのほうはうまく育たず全滅した。
同じ土地で同じ作業をしていても、こうも違いが出ることが不思議。

里芋に水をあげたら葉っぱに水滴が乗っていて、それが美しくて見入ってしまう。
水をはじく様子はいつまで見ていても飽きない。

自然こそアートだなぁと感じる。

虫に食われすぎていた苗にカバーをかけてトンネルを作り、復活するかなーと期待しつつ様子を見ている。
苗についていた幼虫が孵化したみたいで、トンネルの中で蝶々が飛んでいたので逃がす。
畑のおじさんたちと少し話をしていたら日が暮れてきて、家路を急ぐ。
帰り道にカレーの匂いがする家の前を通り過ぎて、今夜はカレーを作ろうと決める。


紅生姜

今年は生姜がたくさんとれた。
半分は冷凍して、残りは紅生姜を作ることに。
生姜は薄くスライスする。
私は辛いのが苦手なので 2 回ほど茹でこぼす。
梅干し作りで出た梅酢を瓶に入れて保管してある。
茹でたあと水気を切った生姜をこの梅酢に漬けるだけで、紅生姜は出来上がる。

この梅酢はドレッシングに使ったり、煮物の味付けに少し入れたりして結構便利。
出来上がった紅生姜はお好み焼きを焼く時にたっぷり入れる。
細かく刻んで卵焼きに入れるのもおいしい。
紅生姜の鮮やかな赤が美しくて料理に使うとパッと目をひく。

毎日いろんなことが起きて迷ったり悩んだりするけれど、こうやって手を動かしていると一旦考えていることを脇に置いておける。
目の前のことをコツコツやっていく以外にできることはないなぁーと、紅生姜を作りながら思う秋の夜。

【写真提供】Mayamoonさん

作家プロフィール

Mayamoon(マヤムーン)

絵描き・詩人

絵描き、詩人として表現活動を続ける。オンラインコミュニティ「ノートと種まき」を運営するほか、暮らしにまつわる手仕事のワークショップ講師としても活動。庭で花やハーブを栽培、市民農園で無農薬、無肥料の家庭菜園を行い、植物との暮らしを発信している。instagram:@mayamoon0000

〈お庭の取材記事はこちらから〉

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