読み物

【岡本典子の新月花屋・12月】クリスマスのテーブルに、小さな森をつくる。

writer 石川理恵

新月は、気持ちをあらたにする日。

ふだんは時間に追われがちな人も、この日ばかりは自分のために花を飾ってみませんか。植物の力がきっとやすらぎをあたえてくれます。

ここは新月だけオープンする小さな花屋。

店主・岡本典子が、出合った花の魅力や花づきあいについて語ります。

ポンポンと置くだけの、がんばらない飾り方

12月のおもてなしって、いつもより少しだけ特別な気持ちになりませんか? 本当はあれこれと飾り付けをしたいけれど、お料理の準備をしているだけで精一杯になりがちです。

そんなとき、私はテーブルの上にグリーンの枝を、そのままサササーッと並べてしまいます。生けたり挿したり束ねたりしなくても、たちまちクリスマスらしい雰囲気に。

テーブルに植物を飾るときは、向かい合って座る人の会話を妨げないよう低めにまとめます。3〜4種類のグリ−ンを大きめに枝分けして並べたら、立体感が出せました。

姫リンゴや木の実を転がし、アジサイやチランジアのドライを潜ませて、思わずのぞきこみたくなる小さな森のように仕立てます。

木の実にリボンを結ぶと、オーナメントに

リースを飾れないとしても、天井からゆらゆらするものがあれば、空間が少し賑やかになります。木の実にリボンを結び、それだけで吊してもかわいいですし、グルーガンで葉っぱや実をつけてクリスマスらしくしても。このオーナメントは、プレゼントに添えても喜ばれそうです。

LEDライトをやさしく灯すアイデア

キャンドルに火を灯す代わりに、LEDライトをひと工夫。そのままテーブルに並べるのは明るすぎるから、グラスに入れて、その上に木の実をかぶせました。もれてくるあかりにニュアンスが生まれて、思わず見つめてしまいます。

心に余裕がない……と思っていたはずなのに、楽しいテーブルが出来上がるに連れ、豊かな気持ちになっていました。簡単なあしらいでも見劣りしないのは、きっとグリーンや木の実といった自然の素材の力。清涼感のある香りをほのかに感じながら、生花であることの贅沢を思うのでした。

撮影/安永ケンタウロス
スタイリング/岡本典子
聞き手・文/石川理恵

作家プロフィール

岡本典子(おかもとのりこ)

花生師 ハナイケシ

植物をこよなく愛し、メディアや広告、展示会などで植物を通した表現を手がけるほか、アトリエ「Tiny N」を不定期オープン。著書に『花生師 岡本典子の花仕事』(誠文堂新光社)、『花生活のたね』(エクスナレッジ)など。instagram:@hanaikeshi

石川理恵(いしかわりえ)

編集者・ライター

雑誌や書籍でインタビューを手がける。著書に『時代の変わり目をやわらかく生きる』(技術評論社)、『自分に還る 50 代の暮らしと仕事』(PHP 研究所)他。東京・豊島区のアパートの一室に、小さな週末本屋をオープン。instagram:@rie_hiyocomame

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