[ 連載 ]松野家の暮らし

その2. お弁当と水筒

夏こそ、お弁当生活のススメ

2019年6月28日(金)
1945年創業。東京の下町・馬喰町で70年続く卸問屋であり、現在は荒物を扱う雑貨店として知られる『暮らしの道具 松野屋』。店主・松野弘さん、きぬ子さんの暮らしぶりから、便利に美しく使われてきた昔ながらの生活道具の魅力を倣っていきます。第2回のテーマは、『お弁当と水筒』。

使い続けるほど使う日常がたのしみに

開けるときの、わくわくどきどき(中身を知ってても)。おかずとごはんがもちろん主役のお弁当ですが、気に入って選んで、使うほど愛着が増していくお弁当箱で食べるからこその、たのしみとおいしさがあると思います。今回はふだん使いのお弁当箱と水筒から、ピクニックなど特別な日にその便利さを発揮する逸品、また差し上げ用にも素敵なストック品まで、ケにもハレにもおすすめの品々をご紹介していきます。

うれしおいし、お弁当箱の魔法

すり漆弁当箱/<3種類> 10,260円~

漆塗りの曲げわっぱ弁当箱は、木の殺菌効果と保湿吸収性、さらに漆の強力な殺菌効果もあり、夏こそ本当におすすめしたいお弁当箱です。すり漆特有の光沢から透けてみえる、木地の木目の美しさも、ごはんのおいしさを最大限に引き出してくれます。使ったら洗剤とスポンジで洗えばよいので、うつわなどと同じ扱いでだいじょうぶ。漆でコーティングされている分、白木よりも気軽です。

「お弁当のおかずやごはんは、できたてとはまた違ったおいしさが醍醐味だと思います。わっぱはタッパーのように密閉しないので、食材が自然と呼吸できて、お弁当ならではのおいしさを一段と引き出してくれるんです。漆のおかげで油染みもしないと言われていますが、使いはじめに気になる方は、経木を敷くと安心ですよ。見た目も風味も損ないません(きぬ子さん)」
天日干しコットン巾着(中)/3,024円

職人の手で天日干しされたコットンを使用した巾着にすっぽり入るぴったりサイズ。絞りをきゅっと閉じて、持ち手があるのでそのまま持ち運びできます。マチがしっかりあって安心の安定感。

ピクニックやBBQにもおすすめの経木

北海道産 しな経木(再入荷しました)/<2種類> 648円~

経木、ご存知ですか?知っていても使ったことはない方も多いでしょうか。経木は、針葉樹をとても薄く削った木の紙。木そのものに、おむすびなどをくるむような感覚です。おひつと同じようにほどよく水分をとりながら、木のほんのりやさしい香りをお米が吸い込んで、炊きたてを上回るおいしさを秘めています。撮影のときは、くるんでからも海苔のいい香りも一緒に漂っていました。

「最近はバーベキューに持っていく人も多いそうですよ。自然のものだから燃やしても害がないし、帰りの荷物も減るから便利みたい(弘さん)」

サンドウィッチもふんわりしっとり

篠竹弁当かご/<2種類> 7,128円~

網代の編み目が美しい、篠竹のお弁当箱。篠竹は、山野に自生する鈴竹とも呼ばれる、とても細い竹。昔ながらの手法で職人により丁寧に編まれた篠竹のかごは、通気性に富み、しなやかで弾力のある特性から、古くより優れた暮らしの道具として使われてきました。
突然ですが出身の京都できぬ子さんは昔、喫茶店を経営していました。サイフォンで淹れたコーヒーやサンドウィッチを出す、カウンター8席のお店。夏のサンドウィッチをおいしくつくるコツは、からしをちょこっと入れたバターと、卵焼き。

「パンにきちんとバターを塗ると、具の水分をはじいてくれるので、べちゃっとしません。少しのからしもポイント。抗菌作用がありますから、夏は特にいいですね。ピリッとした刺激も元気になります。夏の卵は、マヨ和えじゃなくしっかり火を通した卵焼きにしています(きぬ子さん)」

昔の当たり前が、いまの特別に

蝋引紙袋(再入荷しました)/<5種類> 756円~

商店街に並ぶお魚屋さんやお肉屋さん、お米屋さんでも昔は当たり前に使われていた紙袋。蝋が引いてあるので水をはじき、破れにくく、通気性もあります。昭和20年から続く小さな町工場でつくられているそうです。大きさと形のバリエーションは4種類。手提げ型もあって、よくあるクラフト紙の袋より、ちょっぴり特別な感じがします。マフィンやクッキーなど手作りお菓子のおすそ分け用に好評で、おむすびやサンドウィッチ入れにもおすすめです。写真は、きぬ子さん特製の人参ケーキ。素朴な甘さのなかに、シナモンとレモンの風味をさわやかにきかせています。

朝すこしの準備で、一日中ひえひえほかほか

スタンレークラシックボトル 1L/6,480円

冬の朝は、一番に鉄瓶でお湯を沸かして、とぽとぽと水筒へ。松野家では、スタンレーのクラシックボトルをポットのように使っています。温かさも冷たさも、一日中長持ち。夏は氷入りのルイボスティーをたのしんでいるそうです。アメリカ生まれのスタンレーですが、松野家の和の空間にもとってもなじんでいます。
家でも使えて、もちろん外にも持って行けるスタンレー。旅の宿泊先ではお湯を入れてもらって、お部屋でお茶を飲んだり。松野家の車旅行に欠かせない必需品。スタンレーのビンテージホルダーから着想を得てつくった、松野屋オリジナルのホルダーも好評です。クラシックボトル 0.47Lサイズ専用のホルダーです。

お弁当と水筒を持って、さあおでかけ

ヘビーキャンバススツールトートバッグ/14,040円

わっぱのお弁当箱は、傾けてしまったときの汁漏れが心配ですよね……。安定して持ち運べる、マチのあるトートバッグがおすすめです。形やサイズ、カラーバリエーションも豊富な松野屋の帆布トートもどうぞご覧くださいませ。

松野家の味をちょこっとご紹介

展示会などの催しものに参加するときは、お弁当をつくって持参している松野さん。メニューは、食材も味付けもシンプルが基本。
「金平はごぼうだけだし、調味料もいろいろ入れて複雑にするより、簡単な味のほうが好みです。夏のおかずは少しだけ味付けを濃くして、傷みにくく塩分もとれるようにしています(きぬ子さん)」

絶対に外せない卵焼き。松野家は甘くしない派。みりんもお酒も入れない、生醤油だけ。卵焼き用のフライパンでふんわり巻いてつくります。親子丼の日もあって、同じくわっぱにつめて、冷めてもしっとりおいしく。

人参ラペも定番メニュー。すりすりと千切りできる調理器を使って、ひたすらすりすり。塩コショウとオリーブオイルでこちらもやっぱりシンプルな味付け。前日につくってなじませておきます。

夏のお弁当に欠かせない紅一点。松野家は2年に一回のペースで梅仕事をしていて、この梅干しは2年もの。ざるに並べて、お庭で3日3晩の土用干しをしてつくっています。

普通のお弁当がおいしければ、毎日が豊かに

真竹弁当かご/10,800円

SNSをちらりとのぞくだけでも“作品”と呼べるようなお弁当がたくさん並んでいますが、そんなにがんばらず、ただただ普通のおかずとごはんをつめるだけでうれしい。それでも特別に感じられて、おいしく安心して食べられるお弁当箱を今回はご紹介しました。プラスチック製のタッパーなどと比べてたしかに高価な値段ですが、無理なく続けて使っていくことで、きっとその魅力がわかるはず。
『冷めてもおいしい』『夏でも食材が傷みにくい』木や竹のお弁当箱を、どうぞ毎日のたのしみに。

第1回もあわせてご覧ください