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【ほっとやすらぐ呼吸のはなし】「ゆっくり丁寧に息をはく」と、自分とまわりにやさしさが広がる

writer aya-works、illustrator 鈴木あり

ヨガインストラクター、美容ライターとして活躍するaya-worksさんによる、ほっとやすらぐための呼吸のおはなし。

ヨガ歴20年以上のaya-worksさんが辿りついた呼吸の気づき。今すぐできる緊張をゆるめる呼吸法と、呼吸を通して実感したという癒しのある生活のヒントをご紹介します。

呼吸の効果を感じるって難しい

さまざまなメディアで頻繁に取り上げられる「呼吸が大切」という話。皆さんも耳にしたことがあると思います。でも「呼吸って難しい」「呼吸を意識してみたけどよくわからなかった」と、その効果を感じられないままやり過ごしている方も多いよう。

当たり前に息を吸ってはいている私たちにとって「呼吸を感じる」「呼吸を意識する」というのはまるで雲を掴むような話。私自身20年以上毎日ヨガを実践していますが「呼吸の効果」を「体感」することはポーズの気持ち良さを体感するよりずっと難しいと思います。

「はく息」の意識で呼吸の本質に近づけた!

「呼吸によって自律神経が整う・睡眠の質が上がる・ストレスが軽減する・集中力が高まるetc……」。呼吸のさまざまな効果を耳にするたび、どうしてもその恩恵を得たいと切望する私は、時に挫折しながらも近くて遠い「呼吸」に今も向き合い続けています。

そんな私が呼吸の効果を体感する鍵が「はく息」にあると気づいたのは40代に入ってから。「どう吸うか」より「どうはくか」が大切。「はく息」を大切にするようになってから目には見えない「呼吸」の輪郭が感じられ、「呼吸の恩恵」を徐々に得られるようになってきたのです。

はいた分しか吸えない。だからゆっくりたっぷりはく

このコラムを読みながら試してみていただきたいのですが「はっ」と強く短く息をはいた後にゆっくり息を吸うことは難しいはずです。逆に「ふーっ」と細く長く息をはいた後は、ゆっくり息が吸えるのではないでしょうか? 吸う息の量や長さは、その前のはく息に左右されているのです。ゆっくりはけば、ゆっくり吸える。

一呼吸一呼吸を意図的に長くするためにも、腹式呼吸をするためにも、マインドフル瞑想をするためにも、まずは「ゆっくりはく」ことが大前提となるのです。

私たちは、無意識にゆっくり息をはく時がある

難しく考えなくて大丈夫です。私たちは湯船に浸かる時に「ハァ〜」っと、声を出しながらゆっくり息をはいています。お茶の時間に温かく香り高い紅茶を口から体内にゆっくり流して「ふぅ〜」っと、吐息を洩らしています。

ゆっくり息をはくことは誰にでもできること。そしてこの「ゆっくり息をはく」を意識的にすることが、呼吸の恩恵を得るための大きな一歩になるのです。

ゆっくりはきながら、緊張もゆるめていく

ゆっくりはく時に、できれば目を閉じましょう。椅子に座った状態で良いので、手は太ももの上に置き、自分の今できる範囲で「ゆっくり」「少しずつ」息をはいてみます。数回くり返し、ゆっくりはくことに慣れてきたら、はきながら目の奥の力を一緒に抜いていきます。抜けたなと感じるまで繰り返してください。

次は首・次は肩・次は胸……と、体の疲れている部分や硬い部分、無駄に力んでいた部分をゆるめていきます。1分でも3分でも良いですが、時間が許すなら仰向けに横たわり好きなだけやってみましょう。これだけで驚くほどスッキリ・リラックスするはずです。

ゆっくり息をはくことで、癒しが起こる

ゆっくり息をはくことを意識するようになってから、もう一つ大きな気づきがありました。それは「ゆっくり息をはいている人を見ると癒される」ということ。

カフェで、温泉で、ヨガのクラスで、仕事現場の休憩時間に……。それは三者三様ですが、誰かがゆっくり息をはいてしばしくつろぐ姿を目にすると、なぜかこちらまでスローダウンし癒やされるのです。

ゆっくり息をはく時、人は力んだ状態から解放され、同時に緊張感を手放すからでしょう。緊張している人を見るとこちらまで力が入ってしまいますが、ゆるんだ人を見るとほっとします。ほっと一息ついた人を見て、自分もほっとする。ほっと一息ついた人を見て、思わずにっこりしてしまう。それを自分から周囲へ、じんわり広げられる世界は素敵だと思います。

ゆっくり息をはく。とても小さなことですが、自分自身だけでなく周囲へのやさしさにもつながる偉大な効力を秘めています。今すぐできる「ゆっくりはく」をぜひ味わってみてください。


作家プロフィール

aya-works(アヤワークス)

美容ライター

  • 健康・美容関連の書籍と記事を多数執筆。2009年からヨガ講師としても活動している。著書に『寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ』(河出書房新社)、『年齢を重ねるほど「見た目」で得する人、損する人 人生が輝くスキンケア「肌再生プログラム」の6ステップ』(現代書林)などがある。公式サイト:Aya-works.com

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