読み物
【小さなベランダ&庭のある暮らし】第1回(後編) 料理家・ワタナベマキさん/家庭菜園、バーベキュー、テラスで広がる食の楽しみ。
writer 石川理恵
人それぞれの「自然とのつながり」をテーマに、この連載ではベランダや庭のあるお家を訪ねます。
第1回目の前編では、料理家のワタナベマキさんのテラスにおじゃまし、植物との付き合い方についてお話を聞きました。
後編では、テラスのある暮らしの楽しみについてうかがいます。
土いじりに集中するのが、気分転換に
昨年の春から、ワタナベマキさんは農園の一角を借りて畑をはじめました。
「自分で育てた野菜はみずみずしいけれど、本当においしく、濃い味に育てるのは難しいんですよね。農家さんはすごいなとあらためて思います」
種まきから収穫まで、畑仕事は自然のタイミングに合わせることが大切です。料理家として、旬の食材に向き合ってきたマキさんの暮らしは、これまで以上に四季とよりそう営みになりました。
「土いじりは気分転換になる」と話すマキさん。自宅マンションのテラスでは、畑よりもう少し気軽に家庭菜園を楽しんでいます。イタリアンパセリ、バジル、大葉、山椒、唐辛子など、料理の香りや風味づけに「ちょっとあるとうれしい」ものを育ててみたとか。
「今、残っているのは大きくなりすぎたイタリアンパセリだけですが(笑)。暖かくなったらまた何を植えようか、いろいろ試してみたいです」
バーベキューはいちばん簡単な料理!
もうひとつ、テラスで気軽に楽しんでいるのは、バーベキューです。休日の夕方、空がまだ明るいうちから電気グリルを出して、少し早めの夕ごはんにするのが家族の定番に。
「肉や野菜を焼くだけですが、高校生の息子にはやっぱりそれがおいしいみたい。バーベキューはいちばん簡単な料理だと思います」
素材を活かし、作りやすさを考えながら、シンプルなレシピを提案しているマキさんがいうのだから、確かにそうかもしれません。作る人も食べる人も、楽しい気分でおいしく味わえるバーベキュー。寒い季節には、テラスで焼いた料理を室内に運んで食べることもあるそうです。
マキさんにとってテラスは、キッチンの延長でもあるよう。料理にそえる大葉を摘みとったり、グリルでサッと肉を焼いたり、キッチンとテラスを行ったり来たりしながら、風通しのいい毎日を送っています。
撮影/川しま ゆうこ
取材・文/石川理恵
取材・協力
ワタナベマキ
料理研究家
旬の食材を活かしたレシピを提案。オンライン料理教室も好評。『時間をかけて作りたい料理』(Gakken)ほか著書多数。Instagram:@maki_watanabe
作家プロフィール
石川理恵(いしかわりえ)
編集者・ライター
雑誌や書籍でインタビューを手がける。著書に『時代の変わり目をやわらかく生きる』(技術評論社)、『自分に還る 50 代の暮らしと仕事』(PHP 研究所)他。東京・豊島区のアパートの一室に、小さな週末本屋をオープン。instagram:@rie_hiyocomame