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【小さなベランダ&庭のある暮らし】第1回(前編) 料理家・ワタナベマキさん/忙しい毎日だからこそ、植物と暮らしたい。

writer 石川理恵

人それぞれの「自然とのつながり」をテーマに、この連載ではベランダや庭のあるお家を訪ねます。

第1回目は、料理家のワタナベマキさんのテラスにおじゃましました。

東京の中でものどかなエリアに住むマキさんの植物との付き合い方や、四季を大切にする暮らしについて、前編・後編に分けてお伝えします。

テラスに繁るのは、冬を越えた丈夫なハーブたち

▲日の当たる場所に置いたローズマリーは、冬の屋外でも元気いっぱいだったとか。ローリエ、ユーカリ・ポポラス、オリーブも丈夫に育っています。

「前の家のベランダは、いつの間にか増えた植物でギューギューでした」と笑うワタナベマキさん。ちょうど1年前、テラスのある現在のマンションに引っ越してきて、植物たちはのびのびと葉を広げられるようになりました。リビングからテラスを眺めると、緑の向こうに空が抜けています。

「私はキッチンが仕事場で家にいる時間が長いから、暮らしの中にやすらぎが欲しいんです。ただ、植物を育てるのはぜんぜん得意じゃなくて、買うときはいつも『丈夫なのをください』とお願いしているぐらい(笑)。枯らしてしまうこともあるけれど、ぜんぶ葉っぱがなくなっても、しばらくしたら『あ、また生えてきた』なんてことがたびたびあるから、植物ってすごいなと思います」

▲上の写真、左からローズマリー、ユーカリ・ポポラス、ローリエ、オリーブ。テラスからハーブを摘みとったら、花瓶に活けて室内に緑を添えたり、料理に使ったり。

身近な自然に触れるのは、心と体がゆるまること

▲シェフレラの自由な枝ぶりが、本や絵を飾っているコーナーのアクセントに。

鉢植えの観葉植物、花瓶に挿した切り花や枝もの、ドライフラワーなど、室内にも「植物があるとうれしい」と話します。天井から吊したり、棚の上に置いたり、高い位置にも飾ることで立体感が生まれているようです。

木の家具の温かみと植物の組み合わせはどこか自然を感じさせ、窓の外に広がるテラスの緑と相まって居心地のよい空間に。

「緑の中に身を置くと、そのあいだは10分でも気持ちが休まります。植物が呼吸してくれるから、空気がきれいに流れるような気持ちよさがあるのかも」

仕事や家事で忙しいと、頭の中は次の段取りでいっぱいです。けれども緑に触れたり、空を眺めたり、五感が受け取るものを切り替えてみれば、おのずと体もオフモードに切り替わるのでした。

▲暖かい日はテラスにチェアを置き、原稿書きをすることも。家の中のあれこれを一瞬忘れて集中できる良さがあります。

後編はこちらから

撮影/川しま ゆうこ
取材・文/石川理恵

取材・協力

ワタナベマキ

料理研究家

旬の食材を活かしたレシピを提案。オンライン料理教室も好評。『時間をかけて作りたい料理』(Gakken)ほか著書多数。Instagram:@maki_watanabe

作家プロフィール

石川理恵(いしかわりえ)

編集者・ライター

雑誌や書籍でインタビューを手がける。著書に『時代の変わり目をやわらかく生きる』(技術評論社)、『自分に還る 50 代の暮らしと仕事』(PHP 研究所)他。東京・豊島区のアパートの一室に、小さな週末本屋をオープン。instagram:@rie_hiyocomame

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