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【旅と日常のつながり】第4回 整理収納コンサルタント・本多さおりさん/旅は、日常から脱出するためにある 

writer 加藤郷子

旅がなければ、やってられない!

大人だけののんびり旅を満喫していた本多さんですが、子どもが生まれて元気に走り回るようになると、まったく違う旅が始まりました。高級なホテルは、まわりの人に気をつかってかえって気疲れするので、気持ちを切り替えたのです。

近場を中心に、キャンプ場併設のホテルや休暇村を利用したり、一棟貸しのバンガローを活用したり。子どもをレジャーに連れていく延長で、別のタイプの旅を楽しむようになりました。

「子どもたちにたくさん旅を体験させててエライね、なんて言っていただくこともあるんです。でも、そんな立派な目的じゃないんですよ。子どもたちと家にずっといるのが、私が無理なんです!」

旅に出なければ、暮らしが回せない。パワフル&やんちゃ盛りの子どもたちとの日々には、それくらいの切迫感が! 「子どもが家でのんびりしてくれるなら、それはそれでうらやましいです」と苦笑します。

▲旅に欠かせない3種の神器。子どもたちがこれがなければ落ち着かないというブランケット「パシーマ」と、ゲーム機(宿のテレビにつなげるためのコードも一緒に)、お気に入りの香りでほっとできるルームスプレー。

旅に出るほうが大変、かえって疲れちゃうという声もありますが、そこは持って行くものを考え抜き、旅する場所を吟味することで、なんとかすると考えている本多さん。

仕事柄、日々、これは本当に必要かを見極めながら暮らしているので、旅に持っていくものを選ぶときも同じ。究極にミニマムでもなく、かといって過剰にも持たず。必要なものを適正な量だけ持って出かけます。持って行くものをつどつど見直しながら、ベストな解を探し、快適に旅ができるようになっていきました。

▲まるで旅館のような雰囲気の本多さん宅。旅で得た知見がリノベーションに生かされています。

「家でも旅でも、子どもを遊ばせてごはんを食べさせ、お風呂に入れて寝かせるというところは変わらない。でも、家事はしなくていいし、子どもに気持ちを集中できます。やっぱり旅があるから、私は日常をがんばれます」

ときには、お母さん業をお休みするため、ソロ旅としてホテル滞在をすることもあるといいます。夕飯を子どもたちに食べさせ、あとは夫に託し、近所のビジネスホテルでチェックアウトまで。本当に短時間なうえ、旅というにはかなり近場ですが、そのリフレッシュ効果は、絶大なのだそう。

旅と暮らしの関係性。そのときどきのライフステージによって変わるものですが、本多さんは、旅から多くのものを受け取りながら上手に日常に取り入れています。

旅のおすそわけ写真①

旅のおすそわけ写真②

旅のおすそわけ写真③

撮影/松元絵里子(本多さおりさん提供分以外)
取材・文/加藤郷子

取材・協力

本多さおり(ほんださおり)

整理収納コンサルタント

保育園年長、小学2年生の男子2人と、夫との4人暮らし。オンラインの収納相談を行うかたわら、収納や片づけ、子育て、もの選びなどに関する書籍を執筆。「生活重視ラク優先」がモットー。近著は、まさに旅がテーマで、『旅は暮らしの深呼吸』(集英社クリエイティブ)。ほかに『あるものを活かして愛着のある部屋に育てる』『私をあたらしくする51のこと〜暮らしと自分アップデート』(ともに大和書房)など、著書多数。Instagram:@saori_honda

作家プロフィール

加藤郷子(かとうきょうこ)

編集者・ライター

出版社勤務を経て、独立。料理まわり、暮らしまわりの記事や書籍を編集、執筆している。編集を手がけた書籍に『北欧の日常、自分の暮らし』(桒原さやか著)、『日本の住まいで楽しむ 北欧インテリアのベーシック』(森百合子著)など。おうちで通える料理教室『Tabe/Tqu(タベツク)』の運営スタッフでもある。instagram:@chocozai

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