読み物

【旅と日常のつながり】第2回 エッセイスト・柳沢小実さん/暮らしが好き。だからこそ旅に出る

writer 加藤郷子

旅先だからって、衝動買いはしない

▲台所道具は、旅先でよく購入するアイテム。「使えるものに惹かれます」
▲The観光地で選ぶことが多いというマグネットは冷蔵庫の側面に。

いつもとは違う環境であり場所だから、出会える人だったり、ものだったり、考え方だったりが新鮮。柳沢さんが自身のライフテーマだと考えている「暮らしの研究」的視点からも、気づきがたくさんあり、旅で得た知恵やアイデアを暮らしに持って帰ることも多いのです。

「例えば、家事への考え方。日本では家事は、きちんとやらねばと考えがちですが、海外ではそうとも限らない。やらないのもありだよね、という気づきをもらった気がします」

旅先で購入した「もの」が暮らしにもたらす変化も大きく、インテリアとして彩りをプラスしてくれたり、キッチンで実用的に働いてくれていたり。

旅先で得た気づきも、買ったものも、どれもが日常の暮らしに少しずつ変化を与えてくれています。

シンプルに暮らす柳沢さんのもの選びは、かなり慎重。旅先でもそれは変わらず、もっと買っておけばよかったと後悔することがたびたびあるそうですが、それも含めて旅の思い出。

厳選して買ってくるから、旅から持ち帰ったものは、しまい込まれたまま忘れられるなんてこともなく、暮らしで活躍してくれるのです。

出かける前も、出かけた後も。どちらも旅の延長にある

せっかくの旅ですから、帰国後に旅の思い出を暮らしの中に取り込むだけでなく、行く前から楽しむのが柳沢さん流。旅に出ることを決めたら真っ先に、1冊のノートを用意。シンプルなノートに、まず旅程を書き入れ、見開きごとに日付を入れてスタートします。

▲旅ノートには、スタンプやシールを使い、気持ちを高めるように準備をします。
▲本棚の一角には旅ノートがずらり。その上には旅のガイドブックが。

ノートには、やりたいこと、行きたい場所、買いたいものをどんどん記入。さらに洋服のコーディネートや持って行くものリストまで。

やりたいことをとりこぼすことないようにする準備ですが、どこへ行こうか、何を食べようか、そのときはどんな服を着る? などと考えるのは、ワクワクする時間。

1冊のノートを作ったところから、旅が始まっているのです。

自宅に戻ったら、厳選に厳選を重ねた自分へのおみやげをインテリアにプラスしたり、キッチンに食材や器、調理道具を置いて日々の食生活を豊かにしたり。暮らしのなかで旅はずっと続きます。

「日常の暮らしに還元するために、私は旅に出るのかもしれません」

自分の家、そして自分の暮らしを大切に慈しんでいる柳沢さんならではの、旅の楽しみ方です。

▲旅先で購入した半調理品やお菓子などは専用ボックスの中へ。

旅のおすそわけ写真①

旅のおすそわけ写真②

撮影/松元絵里子(柳沢さん提供分以外)
取材・文/加藤郷子

取材・協力

柳沢小実(やなぎさわこのみ)

エッセイスト

整理収納アドバイザー1級の知識も活かし、暮らしに関する書籍を数多く執筆。旅好きが高じて、旅の本も上梓している。旅グッズの商品開発にも携わる。近著に『わたしのごほうび時間 大人のゆったり旅』(大和書房)、『私らしい暮らしとお金の整え方』(主婦の友社)など。Instagram:@tokyo_taipei

作家プロフィール

加藤郷子(かとうきょうこ)

編集者・ライター

出版社勤務を経て、独立。料理まわり、暮らしまわりの記事や書籍を編集、執筆している。編集を手がけた書籍に『北欧の日常、自分の暮らし』(桒原さやか著)、『日本の住まいで楽しむ 北欧インテリアのベーシック』(森百合子著)など。おうちで通える料理教室『Tabe/Tqu(タベツク)』の運営スタッフでもある。instagram:@chocozai

読み物カテゴリー一覧
ページトップへ