その8. 料理と道具
古きよき台所道具
2020年3月13日(金)
1945年創業。東京の下町・馬喰町で70年続く卸問屋であり、現在は荒物を扱う雑貨店として知られる『暮らしの道具 松野屋』。店主・松野弘さん、きぬ子さんの暮らしぶりから、便利に美しく使われてきた昔ながらの生活道具の魅力を倣っていきます。第8回のテーマは、『おいしい料理にはいい道具あり』。
松野屋食堂、開店!
お料理上手のきぬ子さんの夢は、おでん屋さんを営むこと。手際よくぱぱっとつくられたお惣菜が並んでいくさまをみていると、ぜひ開いてほしい!という思いに。(味見をさせていただきさらにその思いは強く……!)
そこで、ナチュラン限定『松野屋食堂』オープンします♪ おいしく要領よくできあがるお料理は、昔ながらの台所道具に支えられています。
おいしさづくりを手伝う道具
アルマイト両手鍋/<2種類> 1,100円~
レンコンがくつくつと炊かれる心地よい音、ふわっと広がるおだしとお醤油の香り。熱伝導率のよさに優れたアルマイトの鍋のなかで、みるみるおいしそうに色づいていく、レンコンのごろごろ炒め煮。
現代の台所から遠ざかりつつあった昔ながらのアルマイト鍋が、また人気を取り戻しています。軽くて扱いがよく、火の通りが早い。お料理をこなすほどにその魅力がわかるようです。レトロな佇まいも懐かしさと新しさを感じます。
日本で誕生したアルマイトは、そろそろ100歳を迎えます(大正13年生まれ)。数年前は韓国で一人前のラーメンをつくるのにちょうどよいと、小さなアルマイト鍋が大流行しました。最近では、軽くかさばらないのが持ち運びにも適していると、アウトドアでの料理に使う人も増えているそうです。
モダンでスタイリッシュな様式美
デザインのように全面にほどこされたパンチングなど、いまどきのキッチンツールのようなルックスですが、こちらも懐かしのアルマイト製。高台が高めなので、一回り大きい鍋に水を張り、そのまま火にかけて蒸し器としてもお使いいただけます。野菜を蒸してそのまま食卓へ。横からみたフォルムもとてもきれいなので、みせる収納ざるとしてもおすすめです。
香りや食感をゆたかにする、すり鉢
山椒すりこぎ/<3種類> 660円~石見焼すり鉢/<3種類> 2,200円~
島根県西部で作られる石見焼のすり鉢。地元の土、地元の来待石を砕き水で溶いた釉薬だけを用い、クシ目と呼ぶ内側の溝を一つ一つ手作業でつけています。石見焼は1300度以上という高い温度で焼成し陶器でありながら磁器並みに硬く丈夫。この特性は鋭く欠けにくいクシ目にも活かされており、すり鉢にとても適しています。胡麻をすって、胡麻和えを作ったら、そのまま盛り鉢として食卓に並べても素敵です。
すりこぎは、鹿児島県の霧島山麓で採られた山椒の木でつくられています。堅く磨耗に強く、また抗菌作用があるとも言われることから、古くからすりこぎにつかわれてきた山椒の木。ごまや木の実をすったり、お味噌汁やお鍋に味噌を溶くときにも便利です。のちほど味噌こしと一緒に使っている様子をご紹介します。
病みつきになる、すりたてのおいしさ
松野家の『ほうれん草の白ごま和え』は、炒りたてすりたての白ごまが漂わせる香ばしさがポイント。目分量のお醤油、みりん(酒と砂糖でもよし)と調えるだけで、箸がとまらないおいしさに。
ぴたっと吸い付くようにつまめる細箸
ひのき漆箸5膳セット/1,650円
ひのきの美しい木地を活かすように、薄く漆が引かれた角箸。細くて軽くて滑りにくく、どなたの手にも馴染むようつくられているので、お客さま用としても重宝します。
品よく落ち着いた色味の朱色が、食卓に彩りをそえてくれます。ほうれん草と小皿、漆箸のコントラストが一層、食欲をそそります。
おいしさのひみつは“鬼の歯”
竹鬼おろし/2,310円
その名は『鬼おろし』。いかつい名前の由来は、鬼の歯のようなギザギザの刃から。こんなに粗くて大根おろしができるの?と思ってしまいますが、ざくざくと心地よくすれてしまうのです。
竹の産地・大分県でつくられる竹鬼おろしは、自然の形状をそのまま活かした見た目の美しさだけでなく、大根おろしが一段とおいしくなってしまう、魔法の道具。
熱伝導率が低い竹のおかげで、風味を損なわず、粗めの刃は繊維を壊さず、歯ごたえがあり水分がたっぷりの、ふわふわ大根おろしが完成します。みぞれ鍋や焼き魚、唐揚げなど、季節ごとの味覚を一層ひき立ててくれますよ。
竹は自然と落ち着いた色味へと変わっていきます。使わないときでも、見える場所にかけておきたい台所道具のひとつ。やさしい天然素材の鬼おろしは、子供のお手伝いにもぜひお使いいただきたい逸品です。
こちらも竹と職人の手仕事でできた秀作
真竹を使用してひとつひとつ竹を細かく割いて編みこんで手作りされている味噌こし。柄の部分にも使われた竹の、自然な丸みがやさしく手になじみます。茹で上がった食材をすくい取ったり、水切りするのにも便利。一人前くらいのざるそばやおうどんなら入るそうなので、盛り付けて食卓にだせば目でもたのしめます。
お味噌は手作りの手前味噌。とってもふくよかなよい匂いがしました。大豆を水に一晩つけて煮て、麹と塩をまぜ、味噌玉に。空気が入らないよう、容器にぱんっぱんっと打ち付けるように放り込むのがおいしいお味噌になる秘訣。上部が空気に触れないよう、酒粕を塗る作り方もあるそう。味噌溶きには、一番小さな山椒すりこぎを使って。
元祖?気持ちよく使える便利グッズ
おろし金の目に詰まった、生姜やわさび、ゆず皮などをきれいに落とす、これぞ便利グッズの元祖?と思わせるスクレーパー(へら)。絶妙な厚さに削られた穂先が細く割かれていて、しなやかでコシがあり、薬味などをお料理に直接ふりかける時にも重宝します。すり鉢の溝にはまったごまも、ささっときれいに集められるので、使うこと自体もたのしみに。
絶対液だれしないひみつ
しょうゆさしの最大の悩み、液だれ。松野屋のしょうゆさしは抜群のキレで、絶対に液だれしないと評判です。
注ぎ終わったあとに傾きを戻すと、最後の一滴が注ぎ口の溝を伝って、すっと本体に吸い込まれていきます。本体と蓋をつなぐ締め口をぴたりと合わせるため、若干大きめに作っておいてから、仕上げに細かな砂利のようなもので研磨することで密閉力を増しているそう。ガラス以外の素材を一切使わずに、美しさとお手入れのしやすさが追求されています。
その8. 料理と道具
古きよき台所道具
2020年3月13日(金) 1945年創業。東京の下町・馬喰町で70年続く卸問屋であり、現在は荒物を扱う雑貨店として知られる『暮らしの道具 松野屋』。店主・松野弘さん、きぬ子さんの暮らしぶりから、便利に美しく使われてきた昔ながらの生活道具の魅力を倣っていきます。第8回のテーマは、『おいしい料理にはいい道具あり』。
松野屋食堂、開店!
お料理上手のきぬ子さんの夢は、おでん屋さんを営むこと。手際よくぱぱっとつくられたお惣菜が並んでいくさまをみていると、ぜひ開いてほしい!という思いに。(味見をさせていただきさらにその思いは強く……!)
そこで、ナチュラン限定『松野屋食堂』オープンします♪ おいしく要領よくできあがるお料理は、昔ながらの台所道具に支えられています。
おいしさづくりを手伝う道具
アルマイト両手鍋/<2種類> 1,100円~
レンコンがくつくつと炊かれる心地よい音、ふわっと広がるおだしとお醤油の香り。熱伝導率のよさに優れたアルマイトの鍋のなかで、みるみるおいしそうに色づいていく、レンコンのごろごろ炒め煮。
現代の台所から遠ざかりつつあった昔ながらのアルマイト鍋が、また人気を取り戻しています。軽くて扱いがよく、火の通りが早い。お料理をこなすほどにその魅力がわかるようです。レトロな佇まいも懐かしさと新しさを感じます。
日本で誕生したアルマイトは、そろそろ100歳を迎えます(大正13年生まれ)。数年前は韓国で一人前のラーメンをつくるのにちょうどよいと、小さなアルマイト鍋が大流行しました。最近では、軽くかさばらないのが持ち運びにも適していると、アウトドアでの料理に使う人も増えているそうです。
モダンでスタイリッシュな様式美
デザインのように全面にほどこされたパンチングなど、いまどきのキッチンツールのようなルックスですが、こちらも懐かしのアルマイト製。高台が高めなので、一回り大きい鍋に水を張り、そのまま火にかけて蒸し器としてもお使いいただけます。野菜を蒸してそのまま食卓へ。横からみたフォルムもとてもきれいなので、みせる収納ざるとしてもおすすめです。
香りや食感をゆたかにする、すり鉢
山椒すりこぎ/<3種類> 660円~石見焼すり鉢/<3種類> 2,200円~
島根県西部で作られる石見焼のすり鉢。地元の土、地元の来待石を砕き水で溶いた釉薬だけを用い、クシ目と呼ぶ内側の溝を一つ一つ手作業でつけています。石見焼は1300度以上という高い温度で焼成し陶器でありながら磁器並みに硬く丈夫。この特性は鋭く欠けにくいクシ目にも活かされており、すり鉢にとても適しています。胡麻をすって、胡麻和えを作ったら、そのまま盛り鉢として食卓に並べても素敵です。
すりこぎは、鹿児島県の霧島山麓で採られた山椒の木でつくられています。堅く磨耗に強く、また抗菌作用があるとも言われることから、古くからすりこぎにつかわれてきた山椒の木。ごまや木の実をすったり、お味噌汁やお鍋に味噌を溶くときにも便利です。のちほど味噌こしと一緒に使っている様子をご紹介します。
病みつきになる、すりたてのおいしさ
松野家の『ほうれん草の白ごま和え』は、炒りたてすりたての白ごまが漂わせる香ばしさがポイント。目分量のお醤油、みりん(酒と砂糖でもよし)と調えるだけで、箸がとまらないおいしさに。
ぴたっと吸い付くようにつまめる細箸
ひのき漆箸5膳セット/1,650円
ひのきの美しい木地を活かすように、薄く漆が引かれた角箸。細くて軽くて滑りにくく、どなたの手にも馴染むようつくられているので、お客さま用としても重宝します。
品よく落ち着いた色味の朱色が、食卓に彩りをそえてくれます。ほうれん草と小皿、漆箸のコントラストが一層、食欲をそそります。
おいしさのひみつは“鬼の歯”
竹鬼おろし/2,310円
その名は『鬼おろし』。いかつい名前の由来は、鬼の歯のようなギザギザの刃から。こんなに粗くて大根おろしができるの?と思ってしまいますが、ざくざくと心地よくすれてしまうのです。
竹の産地・大分県でつくられる竹鬼おろしは、自然の形状をそのまま活かした見た目の美しさだけでなく、大根おろしが一段とおいしくなってしまう、魔法の道具。
熱伝導率が低い竹のおかげで、風味を損なわず、粗めの刃は繊維を壊さず、歯ごたえがあり水分がたっぷりの、ふわふわ大根おろしが完成します。みぞれ鍋や焼き魚、唐揚げなど、季節ごとの味覚を一層ひき立ててくれますよ。
竹は自然と落ち着いた色味へと変わっていきます。使わないときでも、見える場所にかけておきたい台所道具のひとつ。やさしい天然素材の鬼おろしは、子供のお手伝いにもぜひお使いいただきたい逸品です。
こちらも竹と職人の手仕事でできた秀作
真竹を使用してひとつひとつ竹を細かく割いて編みこんで手作りされている味噌こし。柄の部分にも使われた竹の、自然な丸みがやさしく手になじみます。茹で上がった食材をすくい取ったり、水切りするのにも便利。一人前くらいのざるそばやおうどんなら入るそうなので、盛り付けて食卓にだせば目でもたのしめます。
お味噌は手作りの手前味噌。とってもふくよかなよい匂いがしました。大豆を水に一晩つけて煮て、麹と塩をまぜ、味噌玉に。空気が入らないよう、容器にぱんっぱんっと打ち付けるように放り込むのがおいしいお味噌になる秘訣。上部が空気に触れないよう、酒粕を塗る作り方もあるそう。味噌溶きには、一番小さな山椒すりこぎを使って。
元祖?気持ちよく使える便利グッズ
おろし金の目に詰まった、生姜やわさび、ゆず皮などをきれいに落とす、これぞ便利グッズの元祖?と思わせるスクレーパー(へら)。絶妙な厚さに削られた穂先が細く割かれていて、しなやかでコシがあり、薬味などをお料理に直接ふりかける時にも重宝します。すり鉢の溝にはまったごまも、ささっときれいに集められるので、使うこと自体もたのしみに。
絶対液だれしないひみつ
しょうゆさしの最大の悩み、液だれ。松野屋のしょうゆさしは抜群のキレで、絶対に液だれしないと評判です。
注ぎ終わったあとに傾きを戻すと、最後の一滴が注ぎ口の溝を伝って、すっと本体に吸い込まれていきます。本体と蓋をつなぐ締め口をぴたりと合わせるため、若干大きめに作っておいてから、仕上げに細かな砂利のようなもので研磨することで密閉力を増しているそう。ガラス以外の素材を一切使わずに、美しさとお手入れのしやすさが追求されています。
若いスタッフから発案された“現代のかっぽう着”
昔ながらの割烹着がもつ雰囲気を残しながら、いまの暮らしに使いやすい、すっきりとした“かっぽう着”がつくりたいと、松野屋の若いスタッフから発案されできあがったオリジナルのかっぽう着。松野さんが細かな部分に修整を加えて、丈夫で使いやすく長く着られるひとしなに仕上げました。後ろ手で留めやすいよう、首元はボタン、腰まわりはリボンで結ぶ仕様に。
腰回りの前横後ろ、ぐるりと付けた大きめポケット。右前のみダブルポケットにして、動きやすさを損なわず、いろいろ仕舞い込める工夫がなされています。
デザインはとにかくさっぱりとシンプルに。エプロンとの最大の違いは、腕をすっぽりと覆えるところ。腕まくりも簡単なうえ、袖口は平ゴムなので締め付けも感じにくいです。