【ブランド探訪】nop de nod/好きと似合うは両立できる。
大人の悩みにこたえる、実体験からのものづくり
かわいいものや、心ときめくものはずっと好き。だけど年齢を重ねると、お気に入りだった柄物やよく着ていたシルエットの服が「なんだか似合わなくなってきた」そんな経験ありませんか?
『POU DOU DOU(プードゥドゥ)』のお姉さんブランドとして2018年に誕生した『nop de nod(ノップドゥノッド)』は、その「なんだか似合わない」という大人世代のモヤモヤに、ピタッとこたえてくれるデザインが、ナチュランでも大人気。
オリジナルのチェック柄をはじめとしたプリントやパッチワークなど、「好き」にときめきながらも、年齢を問わず「似合う」洋服が見つかると評判です。
今回は両国にあるショールームにおじゃまして、nop de nodの立ち上げ当初からデザインを担当する宮永理妙(みやながりさ)さんに、「大人に似合うかわいい」を生み出す、ブランドの魅力のひみつをうかがってきました。
「好きだけど着られない」実体験がブランド誕生の決め手に
▲nop de nodの名前は、姉妹ブランドPOU DOU DOUを逆さまにしてひらめいたもの。名前の由来にも遊び心が感じられます。
宮永さん:
「はじまりは『大人に向けた新しいブランドをやろう』という専務のひとことでした。それから、大人の方に着てもらえる服ってどんなものだろうと、改めて考えたんです」
22歳で入社して以来、長年POU DOU DOUのデザイナーとして活躍してきた宮永さん。ガーリーテイストなナチュラル服が人気のPOU DOU DOUですが、50代を過ぎた頃から、「自分は着られないけど」と思いながらデザインすることが増えていたといいます。
宮永さん:
「新ブランドの企画がはじまったのが53歳の頃。まさに自分自身もおしゃれ迷子でした。POU DOU DOUの洋服がずっと好きで今も好きだけれど、年齢を重ねたことで着たいのに似合わなくなった、そんな『自分と同じ思いを持つ大人のための服を作ろう』、そう決めました。だからnop de nodの洋服には、リアルな自分の実体験が反映されているんです」
大人のおしゃれに必要なのは、ほんのちょっとの違和感をなくすこと
POU DOU DOUと共通するかわいらしさは備えつつも、大人が無理なく着られるnop de nodの洋服たち。この二つのブランドを分ける明確なデザインの線引きは「じつはないんです」と宮永さんは話します。
宮永さん:
「あえて言うならシルエット、でしょうか。若い人って何を着てもかわいいんです。でも大人はそうはいきません。ギャザーの分量が少し多いだけで太って見えるなど、ほんのちょっとの違いで似合うかどうかが大きく左右されます。
その違いにこだわるため、nop de nodの洋服はすべて実際に自分で着て違和感を見つけ、調整を重ねています。例えばブラウスの襟は小さめがかわいいけれど、詰まりすぎると大人世代には窮屈。余裕のある着心地とすっきり見えを両立するバランスを計算しています」
丸襟や鳥モチーフなど、POU DOU DOUのデザインを引き継ぎながらも、細かい部分を大人仕様に調整。「自分が着て似合うかどうか」を基準に修正を重ねることで、nop de nodならではの大人向けの洋服が生まれていくのだそう。
宮永さん:
「また、ひとくちに『大人』といっても、体型はもちろん、骨格や顔、肌の色など、その人の雰囲気によっても似合うものって変わりますよね。そのため、必ずタイプの違うスタッフ何人かに試着してもらうようにしています」
▲オリジナルの柄も含む、これまで使ってきたたくさんの生地見本!写真左はEC担当チーフの立川美穂子さん。
宮永さん:
「色展開も『似合う』を見つけていただくために大切なポイントです。例えば、淡い色を組みわせたパネルチェックは、やさしい色合いが似合う方に向けて開発。
敬遠する方が多い鮮やかなブルーも、紺と青をミックスしたシャンブレー(※霜降り状のムラが生まれる平織り生地)にすることで派手過ぎず、着やすい色味にしています。
若い頃に着ていたような鮮やかで明るい色は、大人には派手かな、と躊躇しがちですよね。私も30代を過ぎてからは、黒などの暗い色の服を選びがちでした。
でもこうした工夫で、大人が無理なく着られる色味を開発できたことで、『これなら私でも着られる!』と、自分自身50代半ばから明るい色をまた着るようになったんです」
▲「明るい色を再び着られると、大人のおしゃれがぐんと楽しくなります」と宮永さん。
本物を知ってから崩すことがマイルール
デザイナーとして30年以上のキャリアを持つ宮永さん。今回特別に見せてくれたのは、これまで手掛けた洋服のデザインメモや掲載誌のスクラップ、旅先でのアイデアが詰まったノートや参考にしてきた書籍など、貴重な資料の数々。
▲若かりし頃の宮沢りえさん着用のチェック柄スーツ。取材スタッフ陣からも思わず「かわいい!」と歓声が。今見ても惹かれるのは、デザインに普遍性があるから。
宮永さん:
「母が洋裁をしていて、近所の親戚の家は洋裁教室という環境だったため、幼い頃から洋服づくりは身近でした。学生時代も、パッチワークの絵をよく描いていましたね。柄や生地を組み合わせて、新しいものを作るのが昔から好きなんです。デザイナーになっても、新人の頃はチェック柄の図案ばかりをずっと任されていました」
「トラッド・古着・メンズ・軍モノやマリンといった伝統的なものが好きというのが根底にあります。本物をきちんと知ってから崩す、というのがこだわり。そうすることで新しさの中にも普遍性のある、長く愛されるデザインが生まれると思うんです」
隠れスワンや鳥モチーフ、さりげない遊び心が愛着を生むポイント
ドットやボタニカル柄のどこかに隠れたスワンモチーフ、さりげない鳥柄のレース。nop de nodの服を語るのに欠かせないのは、遊び心のあるデザインです。
宮永さん:
「フランス語で鳥の鳴き声を意味するPOU DOU DOUでは、鳥モチーフのデザインを多く取り入れていました。nop de nodではそれを受け継ぎつつ、お姉さんブランドなのでスワンがいいかなと考え、アイコンに。スワンの図案はPOU DOU DOUの現チーフデザイナーによるものです。
自分しかわからないようなさりげないデザインの遊びが、愛着を生むポイントになってくれたらいいなと思って作っています」
▲「隠れたスワンモチーフは年々難易度があがっていて(笑)、『ウォーリーをさがせ!』より難しいかも」と、EC担当チーフの立川さん。見つけられるとテンションが上がります。
変化していく大人世代のお悩みにこたえられるブランドへ
当初は数型から小さくやっていこうと思っていたnop de nodですが、スタートから5年が経ち、今ではPOU DOU DOUと肩を並べる人気ブランドへと成長。ターゲットは大人に絞っていたはずが、実際は少し違ったよう。
宮永さん:
「親子で来店され、同じアイテムを母と娘で一枚ずつ購入される方もいるんです。大人世代に向けて作ったものが、実際は世代を超えて多くの方に届いているというのはうれしい誤算でした」
最初に想定していたのは50代。でも今、下は20代から上は70代以上と、幅広い層のファンがいます。最近では身長が低めの方がすっきりと着たいという、小さめサイズの要望も多いそう。
宮永さん:
「大人世代はとくに、身長が低めでバランスに困っている方が多いんですよね。あと、身長って歳をとると縮むこともあって……!これも実体験からわかっているので、切実な悩みだと思っています。
そんなこともあり、長年ご好評いただいているPommeパンツ(りんごのような丸みのコクーンパンツ)も、Sサイズを展開しようと計画中です」
どうしたって変化していく体型や印象に寄り添ってくれるというのは、なんという頼もしさ。いくつになってもおしゃれが楽しめるnop de nodの洋服は、これからも大人世代の強い味方です。
■ デザイナー宮永さんご提案!
新作「オーガニックコットンボーダーカーディガン」の着まわしコーディネート
モデル : EC担当スタッフ大木弓依さん 身長163cm
▲ オーガニックコットンボーダーカーディガン ¥9,900 / Pommeリネンコットン裾ダーツ9分パンツ ¥13,200
「少しだけ立ち上げたネックラインのおかげでインナーも見えず、首まわりがすっきり。一枚でトップスとしても使えます。裾をあえてリブで絞っていないので、定番のPommeパンツともバランスよく合わせられますよ」(宮永さん)
▲ 変わりセーラーカラーリネンシャツ ¥15,400 / リネンジャンスカ ¥15,400 ※ともに2月中旬~末頃発売予定
「大好きなセーラーカラーをのぞかせてアクセントにしました。意外と見られている後ろ姿にも自信がつきます」(宮永さん)
▲ オーガニックコットンボーダーカーディガン ¥9,900
ノーカラータックづかいリネンワンピース ¥19,800 ※2月下旬~3月上旬頃発売予定
「こちらは色違いのカーディガンを使って。赤×ベージュは、華やかさとやさしさを備えた、似合う方が多い組み合わせです。足もとは白のスニーカーで抜け感を出すのがお気に入り」(宮永さん)