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【旅と日常のつながり】第6回 スタイリスト 久保百合子さん/「BTS推し」からはじまった旅も、最終的には自分流

writer 加藤郷子

どの旅先でも、“宝探し”を続けている

「地方に住んでいた頃、憧れていた東京を雑誌を片手に歩き回った旅と、基本的には変わらないのかもしれません。『宝探し』をするみたいに、街を夢中で歩き回ってました。

今もやっぱり、旅先で宝探しをしている気がします。宝=モノという意味ではなく、そこでしかできない体験を含めた宝探しです」

▲韓国の手仕事であるポジャギ。光を通すと美しいのでカーテンに

だから旅に出る前には、食べたいもの、見たい建物や美術館、行きたいショップなどを、どんどんリストアップ。仕事柄、旅好きの食いしん坊の友人知人が多いので、情報も自然に集まってきます。

「事前に抜かりなく調べて、やりたいことをコンプリートしたいという気持ちはあるんです。でも、バスを乗り間違えてあたふたしたり、早起きして行くつもりの場所に寝坊して行けなかったり。結果的にできなくても、それも旅。失敗も楽しいです」

道がわからなくなった挙げ句に路地に迷い込んで、現地の人しか行かない店を見つけ、その空気感に酔いしれる。衛兵交代の儀式を飽きることなく、毎回見学する。電車の乗り換えの自分なりの攻略法を見つけることだって、お宝。そんなふうに、旅先でいつも宝探しを楽しんでいます。

もちろん、食材や調理器具、食器まで、モノとしてのお宝もたくさん見つけて、自分へのお土産にし、旅前同様、帰宅後もまた、旅を日常に取り入れながら暮らします。前と後、どちらも楽しみながら、久保さんの旅のループは、これからもずっと続くのです。

▲「現地で食べる韓国料理って、本当においしいですよ〜。辛くないやさしい味のものもいっぱいあります」
▲ソウル土産の調味料や、塩壺などが、台所に並ぶ様子。
▲作りおいている韓国常備菜でビビンパプ。たんぱく質がなくても、大満足の味わい。
▲旅の後には、必ず、旅ノートを作る。「めんどうくさくて、辛いんですけど」と言いながらもやめられない習慣。

旅のおすそわけ写真①

旅のおすそわけ写真②

撮影/松元絵里子(久保百合子さん提供分以外)
取材・文/加藤郷子

取材・協力

久保百合子(くぼゆりこ)

フードスタイリスト

雑誌や書籍などで、料理まわりのスタイリングを手がける。そのときのテーマや料理家のスタイル、そして料理そのもののことを考えて世界観を作り上げる力に定評がある。夫と2人暮らし。Instagram:@cubocin

作家プロフィール

加藤郷子(かとうきょうこ)

編集者・ライター

出版社勤務を経て、独立。料理まわり、暮らしまわりの記事や書籍を編集、執筆している。編集を手がけた書籍に『北欧の日常、自分の暮らし』(桒原さやか著)、『日本の住まいで楽しむ 北欧インテリアのベーシック』(森百合子著)など。おうちで通える料理教室『Tabe/Tqu(タベツク)』の運営スタッフでもある。instagram:@chocozai

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