その7. 番外篇
暮らしと心を整える、こつこつ掃除を助ける道具
2020年3月6日(金)
おうちで過ごす時間が増えている方も多いと思います。そんなときだから、ゆっくり体を休めたり、映画をみたり料理をしたり、お部屋でたのしめることを見つけたいですね。かんたんなお掃除も気分転換におすすめです。換気をする短い時間でぱぱっと手軽に掃き掃除が済ませられるほうきやブラシなど、『暮らしの道具 松野屋』には、美しく便利な昔ながらの掃除道具が揃います。連載『松野家の暮らし』でおなじみの松野きぬ子さんに、お手製雑巾のつくり方も教わりました。
松野家いちおしのブラシ
ブタ毛チャンネルブラシ/1,210円
松野家に取材でお伺いするたびに、これすっごくいいんだよ!とおすすめされ続けてきたブラシ。満を持してのご紹介です。
Jの字にカーブした先端まで、ブタ毛がしっかりとついているので、サッシや蛇口まわりのコーナー、境目などすみずみまでブラシがピタッと密着するさまは、掃除していてとっても気持ちがよいそう。硬めの毛質でしっかりと汚れをかき取ります。鉄製ハンドルはフックがけもできて、松野屋らしい質実剛健とした暮らしの道具です。
有能ブラシはほかにもたくさん
鋳物刷毛/1,980円
この刷毛はもともと、鉄瓶などの鋳物づくりに欠かせない道具のひとつで、繊細な仕事を助けるために工夫された穂先はとても柔らか。松野家では柄が長い特徴も活かして、高いところや狭いスペースの掃除によくつかっているそう。
高いところにあって溝が多い掛け時計も、気付いたときに手早くさっさ。吊るすための赤い紐が柄の先に付いていて、とても愛らしいルックス。インテリアとしても素敵にお部屋を彩ります。
馬毛油筆/660円
いまパソコンでこのページをご覧いただいている方、キーボードの汚れ気になりませんか?パソコンのキーボードやコーヒーミルなど、隙間に入り込んだ細かなものを取り除くお手入れにおすすめのブラシ。柔らかな馬毛で、たいせつなものを傷つけずに掃除がはかどります。
すきま時間で、こまめにこつこつ
松野家では家の外にも中にも、いろいろなフックに、ほうきやちりとりなどの掃除道具が掛けられています。ちょっと時間ができたら、さっさ。思い立ったらすっすと、すぐに小掃除をはじめられる暮らし方が、自然と備わっています。
掃除が苦手という人にこそ、試してほしい
「もう、さすがに掃除しよう」と、しぶしぶ気合いを入れてはじめれば、意外とたのしいし綺麗になればうれしい掃除しごと。及び腰になるのは掃除そのものより、掃除機を引っ張り出したりしまったり、終わったあとの片付けが億劫で……という方が少なくないようです。そんな掃除にまつわる面倒なあれこれ。ほうきを使って一掃してみませんか?
やる気になったときに、時間を選ばずすぐ使える
和ぼうき 東京型/7,560円
夜遅い時間に限って、「いまなら掃除したい気分なのにな」と思ってしまう、ちょっぴりあまのじゃくな方にも、ほうきはぴったり。音に気を遣うマンションなど、現代の暮らしにこそ実は便利に使える道具です。よしやるぞ!と思ったときが、掃除どき。軽くてスリムでぴんと美しい佇まいのほうきは、掛けたり立てかけたり、インテリアとしても素敵にお部屋を彩りますから、すぐ小掃除に取り掛かかれる軽やかさも魅力です。
東京ちりとり/648円
一本一本、丁寧な手しごとでつくられたほうきは、あたりがやわらかで、小さなチリを逃しません。きちりと編まれた“ほうきもろこし”は抜け落ちしにくく、草が持つ油分で畳がつややかに。東京型という名前は、かつて東京向けの出荷が主だった頃の名残で、相撲の土俵にも使われているといいます。同じく東京が名前についたちりとりを相棒にすれば、掃きしごとがよりはかどります。
掃くだけでつやつや。棕櫚のほうき
シュロ長柄ぼうき/7,020円
愛すべき価値ある道具のひとつとして、棕櫚(シュロ)のほうきもはずせません。長くつくられ使われ続ける歴史のなかで研鑽されてきた機能美にあふれています。吊るした様子、掃いている姿も風景として絵になり、大切にしていきたいと思わせる魅力があります。掃きごこちは適度な弾力と密度のあるコシにより、ホコリが舞いにくく細かなチリを集めやすい特長をもちます。棕櫚も繊維がもつ油で、掃くほどに床を自然とつややかに仕上げてくれます。
細くしなりのある素材は、カーペットに絡まった毛や細かなチリを、しなやかに掻き出す力も。耐久性にも優れ、棕櫚そのものが劣化してしまうことはないそうですが、使用頻度が高くすり減ってきた場合は、外用にしても。江戸時代以前から「一生に3本あれば足りる」といわれ、1本で20年以上は使える逸品です。使いはじめは多少の棕櫚粉が出ますので、新品のうちは使う前に外などで穂先を払って粉を落としてから使ってください。
トタン文化ちりとり/540円
素朴でシンプルなトタンでつくられた昔ながらのちりとり。屋根にも使われるトタンはサビに強く、軽量で扱いやすい素材です。こちらも置いておくだけで絵になる佇まいです。
ほうき生活の手はじめにおすすめ
孫ほうき/2,700円
本格的なほうきを買う前に、そのよさをちょっと体験できる孫ほうき。机や食卓で、消しゴムのカスやパンのくずを手早く掃いたり、玄関先やお手洗い、台所など入り組んだ部分の小掃除に力を発揮します。松野家では、珈琲豆を挽いたあとの小掃除に。
飾り気のない潔さにみる荒物の実力
シダ庭ぼうき ロング/1,944円
フタ付ダストパン/4,320円
丈夫なシダのほうきは、庭や玄関の小掃除におすすめです。一掃きでまたたく間に落ち葉やごみが集合するので、掃くことがたのしみに。使い勝手のよさに加え、削ぎ落とされたシンプルなつくりは長年に渡り愛用する人を増やし続けて、柄を伸ばしたロングバージョンも誕生しました。お部屋用の和ぼうきや棕櫚ぼうきも含めて、自然素材のほうきは、使い込むほどに手に馴染み、よい風合いへ育っていきます。
ちりとりは、大阪の町工場で職人がつくる、フタ付きのトタン製。便利なスタンドタイプです。
作業服として考え抜かれたエプロン
コットンリネンロングエプロン(3色展開)/9,350円
ひざまずく動きも多い掃除仕事。丈が長いこのエプロンは、すっぽり覆って汚れや摩擦から服や脚を守ってくれます。ダブルステッチとカンヌキミシンをほどこし、ポケットには力布もつけることで、引っ張られて糸がほつれたりポケットが取れたりしにくい工夫も。ペンやハサミを無造作に入れても突き抜けないように、ポケット底が二重にしてあります。さらに、背中のリボンをバッテンにすることで疲れを感じにくくしたり、前でリボンが結べるよう長めにしたり、いたれりつくせりのオリジナルエプロンです。(魔法瓶のパイオニアといわれるドイツ発祥のメーカーにユニフォームとして採用されているそうです)
折りたたみ式なのでお部屋のすき間にも
さびにくく丈夫なステンレスを使用した折りたたみ式ハンガー。コンパクトにできるので、お部屋の干したいスペースに合わせてサイズ調整していただけます。フック部分に付いたストッパーは、外で使うときには、風が強い日などの落下防止に役立ちます。小さいサイズは18個のピンチ付き。35個のピンチが付いた大きいサイズも好評です。
暮らしの道具をこしらえてみる
最後に、きぬ子さんから教わった、お手製の雑巾についてご紹介します。きぬ子さんも以前は折りたたんだタオルを雑巾や台拭きにしていたそうですが、お義母さまから習った雑巾の勝手がとてもよく、自分でつくり使うのはもちろん、イベントなどでワークショップをおこない、そのよさを広めています。
タオルは粗品や、温泉・旅館で用意されているような大きさと薄さのものがおすすめ。タオルを半分に切って、補強のため間にはさむ手ぬぐいも同じ大きさにカット。
「着古した浴衣なんかでもいいですよ。バケツに引っ掛けている右側の雑巾は、木綿の浴衣でつくりました。(きぬ子さん)」
マチ針を2箇所くらい打ったら、あとはひとすら運針。縫い目は細かいと雑巾が固くなってしまい絞りにくいので、ざくざく縫ってよし。
「荒いかな、くらいで大丈夫。糸も切れやすくなってしまうので。ちょっと不揃いなくらいは気にせず、玉止め玉結びもしなくていいです。最初と最後にそれぞれ一針、返し縫いをしておしまい。」
つくりたては台拭きに使って、どんどん下に、最後は外へ。松野家の無垢の木でつくられた70年ものの縁側も、日々お手製雑巾できゅっきゅと手入れされています。
使い捨てシートでは味わえない、水拭きしたあとのさわやかな達成感。フローリングでもきちんと固く絞った雑巾で手早く済ませれば、水拭きしても問題ありません。いろいろ心配ごとが多いこの頃ですが、目の前のできることをこつこつおこなっていけば、暮らしも心も少しずつ落ち着くはず……。古くから愛される道具の力を頼りに、はじめてみませんか?