「電話のマナー」大人のマナースタイルvol.27

昨今は、身近な人とのやりとりから、子どもの学校・園の連絡までも、SNSなどを使うことが多くなりました。それでもリアルにやりとりができる電話は、大切なコミュニケーション手段のひとつには変わりありません。
特に相手の声を聞くとホッとしたり、元気が出たりすることも多いですね。電話での会話のやりとりは、SNSにはない良さがたくさんあります。

今回は、日常的に何気なく使っている電話のマナーをお届けします。大人の電話マナーを身につけ、さらにコミュニケーション上手を目指しませんか。


電話の特性

① 声だけのやりとりである。
家族や仲の良い友人との電話は、気楽に話ができますが、子どもの学校関係で、先生や他の保護者と話をすることもあるでしょう。電話は相手がどの様に感じているのか表情が見えません。 それだけに行き違いや誤解を招く可能性があります。

② 一方的に相手の時間に割り込む
相手の状況が読めないのが電話の特性です。相手は車の運転中か、買い物中かもしれません。 あるいは、家族で和やかに過ごしているところかもしれません。
体調が良い時か悪い時かも分かりません。
電話をかける時には、こちらの都合で「一方的に時間に割り込む」という意識を持ちましょう。

③ 周りの音が入りやすい
電話は集音声があるので、想像以上に周りの音が入りやすいものです。 雑音のない場所を選んだり、テレビなどの音は消しましょう。
特にハンズフリーで話す場合には、より雑音が入りやすいので、周囲の音には気をつけて、 なるべく良い環境をつくりましょう。相手に伝わりやすくなります。

④ 記録が残らない
電話は、録音しない限り記録が残りません。 必要な時には行き違いにならないようにメモをとることが大切です。 重要な連絡事項がある時には、相手に「今、メモは取れますか?」と尋ねてから、伝える心配りがあると良いでしょう。
また「あらためてのちほど、書いてSNSで送ります」と、記録が残る形でフォローすれば、とても親切ですね。

⑤ コストがかかる
昨今の電話料金は、時間に制限なくかけられるサービスなどもありますが、基本的に、「電話はコストがかかる」と考えましょう。
コストとは、電話代だけのことではありません。時間もコストです。相手は出かける支度をしているところかもしれません。こちらが話したいことがあると、つい相手の時間を奪っていることを忘れがちです。 また相手は切りたくても、なかなか切り出すきっかけがつかめないこともあります。電話は手短に必要なことを伝え、だらだらと長く話さない方が良いケースもあることを忘れないようにしましょう。

一般的な電話マナー

メモの用意をする

色たわいもない話の場合は必要ありませんが、連絡事項や話し合って何かを決める場合には、いつでもメモがとれる状態で筆記用具がそばにあると安心です。相手の意見を聞いて何かを決める時は、かける側であっても必ずメモの用意をしましょう。

電話をかける時間帯

緊急の場合以外は、朝早い時間や夜遅い時間は避けましょう。相手を驚かせてしまいます。一般的には、朝9時~夜9時までの間で、夕食の時間帯をはずすと良いという考え方があります。
子どものいる家庭では、夕方はとても忙しく、夕食後は一家団欒の大切な時間かもしれません。また小さいお子さんのいる家庭では、寝かしつけの時間帯も考慮する必要があります。家庭によって生活サイクルは違うので、あらかじめSNSで「電話で話したいので、可能ですか?今日は何時頃なら、都合が良いでしょうか」と尋ねるのも良いでしょう。「親しき中にも礼儀あり」で心配りを忘れないようにしましょう。

落ち着いた環境

こちらから電話をかけるのに、周りが騒がしいと、受けた相手もあまり良い感じはしません。
静かな落ち着いた環境をつくってからかけましょう。

名乗りと挨拶

必ずかけた側のこちらから名乗り、挨拶をしましょう。
相手の携帯電話に名前が出る場合には、安心して出てもらえますが、登録されていない場合もあるでしょう。相手の状況に関わらず、必ずこちらから名乗って挨拶をしましょう。

ひとこと添える

電話をかけた時に、名乗りと挨拶の次に、ひとこと配慮の言葉を添えましょう。
そこで相手の状況を確認すると良いでしょう。相手の状況によっては、時間だけ決めてあらためてかけ直すことも必要です。

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「おはようございます。○○です。朝早くから申し訳ありません。今お電話大丈夫でしょうか?」

「おはようございます。○○です。お忙しい時間帯に申し訳ございません。少々お話したいのですが、今よろしいでしょうか?」

「こんにちは。いつもお世話になっております○○です。お忙しいところ申し訳ありません。今、お電話でお話してもよろしいでしょうか?」

「こんばんは。○○です。夜分恐れ入ります。PTAより緊急連絡網が回ってきたのですが、今、お伝えしてもよろしいでしょうか」

「こんばんは。夜遅くにお電話して大変申し訳ございません。いつもお世話になっております。今○○の件で、お話したいのですが、お時間5分ほど、よろしいでしょうか?」

復唱と確認

大切な事柄は、繰り返して確認しましょう。
「○○ということですね」「○月○日はご参加でよろしいですね」と復唱することで、間違えを防ぐことができます。

電話の切り方

一般的なマナーでは、電話をかけた方が先に切るのがマナーです。
目上や敬う相手の場合は、どちらが先にかけたかは関係なく、相手が切ったのを確かめてから自分の電話を切りましょう。固定電話で自分が先に切る場合、受話器を乱暴に置くと、「ガチャン」という音が相手の耳元で聞こえます。フックを手で押して切ってから、静かに受話器を置きましょう。

携帯電話のマナー

ルールを守る

公共交通機関や病院や図書館などの公共の場での使用は避けましょう。
また、車の運転中の使用は違法行為です、社会的ルールを守ることが大切です。電話をして良い場所への移動、車は停止するか、ハンズフリーを使用しましょう。

レストランでの電話

基本的に食事中に電話をかけたり、かかってきた電話に出るのは、避けた方が良いでしょう。
レストランで着席のままでの電話は、他の人に迷惑がかかり、マナー違反です。食事の途中で席を立って電話しに行くのも、食事マナーの観点から見ると、おすすめできません。
急ぎの場合やどうしてもという場合には、デザート前の食事まで食べ終わってから、席をたって、邪魔にならないところで手短に済ませましょう。
居酒屋やファミリーレストランなどでは、席をはずして電話をすることも可能なので、お店や相手の状況に応じて臨機応変に対応できると良いですね。

マナーモード設定

公共の場や子どもの学校・園内では、マナーモード設定にしておきましょう。
マナーモード設定をつい忘れるということがあるので、いつもマナーモードにしておき、呼び出し音が必要な時に解除するという方法をとる人も多いようです。

バイブ音に注意

電車の中やレストランでは、マナーモード設定にするのはあたりまえですが、映画館や音楽鑑賞の劇場などでは、バイブの振動音も意外と耳障りで不愉快に感じる人も多いです。電源をオフにするか、バイブの振動もオフ設定にしましょう。

大きな声で話さない

電話で話す時に、つい大きな声が出てしまう人がいます。声が大きすぎると、聞きたくない内容を聞かされることになり、あまり気持ちの良いものではありません。人のいないところで電話をするなど、常に周囲への配慮をしましょう。

危険を避ける

歩きながらの携帯電話の使用は、人に迷惑をかけたり危険が伴います。
道順を聞くなど、歩いている時に電話が必要になる場合もあるでしょう。道の邪魔にならないところで一度立ち止まって、話をしましょう。また、自転車に乗りながら電話をするのも大変危いのでやめましょう。

電話美人声になるには

姿勢を良くする

発声には姿勢が大きく影響します。背筋をしっかりのばすと胸が開き、安定した声が出ます。猫背だと呼吸が浅くなり、声が出にくくなります。

第一声に気をつける

電話では声の第一印象で人間関係に影響が出ます。
電話で好印象なのは、「明るく元気な声」「優しく丁寧な話し方」です。
暗く小さい声でボソボソ話すと「電話するのが嫌なのかな?」「私のこと嫌いなのかな」と余計な心配や誤解を招きかねません。電話は、「感じがいい、悪い」が、聴覚でダイレクトに伝わります。まずは第一声を明るく元気にすると、良い印象をもってもらえるでしょう。

笑顔で話す

口角を上げることで、声のトーンは1音から1.5音あがり、明るい声になります。
  高い声で話そうとすると甲高く、逆に聞きづらくなることがあります。地声のまま、笑顔で話すことを心がけると、自分の声を生かした感じの良い声になるでしょう。

ハキハキとゆっくり丁寧に

電話は聞きとりやすさが重要なので、ハキハキと口をややしっかり開けながら話しましょう。
早口にならないように、ゆっくり丁寧に話すと相手に伝わりやすくなります。なかった色にもチャレンジして前向きに楽しみましょう。

母音を意識する

日本語の特徴として、母音の発音が明瞭だと、言葉全体がきれいに正確に聞こえます。母音を意識して話すだけでも、音がクリアになり、聞こえ方が格段に良くなります。

豆知識:電話のはじまり

電話は、1876年(明治9年)にアメリカのグラハム・ベルが発明しました。
その14年後、はじめて日本でも東京~横浜間での電話サービスがスタートしました。
初期の頃の電話代は大変高価で、特別なものでした。
電話をかけるには、電話機についているハンドルを手で回し、交換手を呼び出します。
そして相手の電話番号を口頭で伝え、通話を申し込みます。交換手は手動で線をつなぎ、ようやく通話ができました。
約150年前にはじまった電話が、日本の情報化時代の幕開けです。
そして昭和に入り、電話は庶民にも広がっていきました。

まとめ

電話は、「相手の生活に割り込む」という意識、「コストがかかる(電話料金・時間コスト)」という意識がとても大切です。
また、声の感じが暗かったり言葉遣いが悪いと、相手を不愉快な思いをさせたり、心配をかける可能性もあります。その他、外出先での電話は、社会的ルールを守ることも必要です。
電話はSNSにはない良い面もあり、「声でつながれる」とても大切なコミュニケーションツールです。SNSが苦手な高齢者も多いです。おじいちゃんおばあちゃんにお孫さんの声を聞かせると、とても喜んでくれるでしょう。
安心安全に使用すること、相手への思いやりを忘れずに、気持ちの良い使い方で、ぜひこれからも上手に電話を生活の中で活用していきましょう。

監 修

監修いただいたのは、【日本サービスマナー協会】認定マナー講師 江頭美鈴先生です。

日本サービスマナー協会 認定マナー講師 江頭美鈴さん
江頭 美鈴さん

日本サービスマナー協会 認定マナー講師

マナーは、相手を思いやる気持ちが基本にあり、人と人とのつながりに潤いを与えてくれます。マナーの基本を知り、心豊かに日々を過ごせたら素敵ですね。イメージコンサルタントとしても、ブラッシュアップのお手伝いをしております。

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