大人のマナースタイル「書き文字のマナー」

手書きの文字は、書いてくれた方の人柄や温かみが伝わります。デジタルに頼りやすい時代だからこそ、
心をこめて、自分の文字で相手に思いを届けてみてはいかがでしょうか。
今回は、手紙や贈り物をおくるときに必要な、「書き文字マナー」に焦点をあててお届けします。


達筆である必要はありません。自筆文字を大切にすることで、相手の心にも残るでしょう。
ちょっとしたコツを覚えて、ぜひチャレンジをしてみてください。


封筒の宛名の書き方  

郵便が届いたときに、はじめて目にするのは封筒の表裏です。
宛名は、差出人の第一印象と言っても過言ではありません。正しい書き方で良い印象を与えられるように心がけましょう。

大人のマナースタイル「書き文字のマナー」

マナー

・見やすく書くということが、とても大切です。郵便局の人や受け取る人が見たときに、分かりやすいことが一番重要。
小さすぎる文字や、読みにくい文字にならないように気をつけましょう。
・基本的には楷書が読みやすく好ましいです。
・相手が目上の方や手紙の内容によっては、番地なども「―」で略さずにビル名やマンション名も必ず書きましょう。
・縦書きで番地などを書く場合は、漢数字を用います。横書きでの数字は、算用数字を使いましょう。
・住所のマンション名などで、英字を使用する場合がありますが、縦書きの場合は、一文字ずつ縦に書きます。
・郵便番号枠がない場合は、枠がある封筒と同様の位置に郵便番号を書きます。横書きの場合は、住所の上に郵便番号を書きましょう。枠があれば、横書きの場合でも、枠内に書いてかまいません。その際は、向きに違和感があり迷うかもしれませんが、縦書きと同じ記入の仕方が正解です。

文字のバランス

表書き

・封筒の隅まで文字がいかないように、上下左右1㎝ほど余白にします。
・住所は、封筒の3分の1くらいのスペースにおさめましょう。
・住所の改行をするときは、2行目3行目の書き出しを1行目の書き出しより、少し下がった位置からはじまるようにするとバランスが良いです。
縦書きは封筒の右側3分の1、横書きは、封筒の上側3分の1に書きます。
・住所が1行で収まらない場合には、改行しても良いです。
・相手の名前は、住所より大きい文字で中心に書きバランスをとります。
・郵便番号枠がない場合、和封筒では、上から1㎝の余白を残し、切手と同じ高さで書きましょう。洋封筒は、住所の上に書きます。
・縦書きの場合、住所は郵便番号枠の右端のラインに揃え、上から1文字下げたあたりから書き始めると、美しく見えます。
・横書きの場合は、左端から1㎝~2文字分くらいスペースをあけ、住所を書き始めると良いでしょう。
・番地以降は行を変えましょう。番地以降は建物名が入ることが多いですが、その他の場合も改行します。
大人のマナースタイル「書き文字のマナー」

裏書き

・和封筒で縦書きの場合

封筒の裏に郵便番号枠がない場合は、差出人である自分の住所と氏名は、封筒の中央に書きます。郵便番号は、封筒の裏のつなぎ目をまたいで中心に書きます。
つなぎ目の右側に住所、左側にやや大き目に名前を書きます。住所と名前の文字の下部が揃うと美しく見えます。
郵便番号枠が左側にある場合には、郵便番号枠の一番右端下から、住所を書き始めます。自分の名前はやや大きめに書きます。この時にも住所と名前の下部が揃うと美しく見えます。封かん日を入れる場合は、漢数字で左上にやや小さめの文字で書きましょう。
最後に「〆」などの締め文字を開け口に書きましょう。
大人のマナースタイル「書き文字のマナー」

・洋封筒で横書きの場合

郵便番号枠があってもなくても同じ形で書きます。
郵便番号枠がない場合の書き出しは、封じ口の下の中央寄りから書き始めます。
郵便番号の左端に揃えた下から住所を書きます。住所の下に、住所の最後の文字と名前の最後を揃えることを意識し、名前を住所より少し大きめの字で書きましょう。封かん日は、左上に小さく書き込みます。
洋封筒に締め文字は不要ですが、書いても失礼にはあたりません。
大人のマナースタイル「書き文字のマナー」

締め文字などについて

・一番使用されるのが、「〆」です。「〆」は「締」が簡略化したもので、「×」ではありませんので、注意しましょう。しっかりした印象にしたい場合には、「締」を使用すると良いでしょう。
・よりフォーマルな文書や重要書類には、とじるという意味の「緘(かん)」を用います。
・「封」は封じるという意味で、「締」より丁寧な印象です。
・「蕾」「莟」は、まだ開いていませんという意味。女性が用いるのが通例なので、大人の女性らしさを表現したい時には、おすすめです。

切手のマナー

分かっている様で今一度確認したいのが、切手を貼る位置です。
基本的には、縦書き横書き問わず、封筒を「縦長で見たときに左上」になるように貼ります。まれに横書 き封筒をそのまま横長で見て、左上に貼っているケースがありますが、これは避けましょう。
郵便の消印作業は、機械で行っています。その際、縦書き横書きどちらも「縦長で見たときの左上」に消印が押されるようにセットされます。読み取れずにはじかれた封筒は、手作業で消印を押すので、時間がかかる可能性があります。
「どのような封筒も縦長で見たときの左上」または、「和封筒は左上、洋封筒は右上」と覚えておくと良いでしょう。
毎日大量の作業をなさっている郵便局の方々のため、また自分の出した郵便が少しでも迅速に届くよう、正しい位置へ切手を貼りましょう。

縦書きと横書きの違い

縦書き封筒を横書きで使用する場合

縦書き用の封筒を横書きにして使用するケースもあります。基本的には、洋封筒の横書きと同じ要領で書きます。
郵便番号枠がある場合は、郵便番号のみ縦書きと同様の向きで入れます。郵便番号枠がない場合は、住所の上に書きます。
切手の位置は、どのケースも封筒を縦長にしたときの左上なので、間違えないように気をつけましょう。

横書き封筒を縦書きで使用する場合

慶事の招待状や弔事では、横書きの洋封筒を縦にして使用する場合があります。
慶事は、右からふたをかぶせる「右封じ」です。封じめは「寿」がふさわしいでしょう。
弔事や法事の案内は、左からふたをかぶせる「左封じ」です。封じめは、なしか「〆」で良いでしょう。

熨斗について

のし・のし掛け

熨斗(のし)とは、贈答品の包装の際、右上に貼る飾りです。日本の贈答の特徴ともいえるでしょう。
もともと贈り物は、神様への供え物という思想に原点があると言われています。
古来、熨斗は長寿をもたらす縁起物として、鮑(あわび)をひも状に削ぎ、干して半乾燥を繰り返し、きれいな紙で包み贈りました。熨斗掛けとは、水引を結び、熨斗を添えることです。
現在は、印刷されたものを活用するケースが多いです。おめでたいものにつけるので、弔事にはつけません。

水引の種類

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蝶結び(花結び)

蝶に見える形。水引の結び方では、最もよく使われます。
何度でも結び直せることから、出産や入学、お年玉、お中元やお歳暮など、繰り返してもよいお祝いやお礼の際に使います。

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結び切り(真結び)

結び目の先が上になるように結んだもの。簡単にほどけないように、水引を中心に固く結ぶ方法です。一度結ぶとほどけないことから、繰り返すことのないようにとの意味もこめられています。
主に紅白10本は、「夫婦は2人で1つ」という意味で紅白5本ずつを1組にします。
一般的なのは、紅白5本の結び切りです。丁寧さを表現したいときは7本。奇数を用いますが、9本は苦を意味するので避けます。「重ねて起きてほしくない」という意味を込めて、お見舞いや全快・快気祝いなどに使用されます。
お悔やみ全般には、黒白を使用します。熨斗はつけません。

大人のマナースタイル「書き文字のマナー」
あわび結び(あわじ結び)

結び切りの一種で、両端を引っ張ると、さらに中心が固く結ばれるのが特徴です。
輪のような結び目が「あわび」に似ていることから、その名が付いたと言われています。
基本的には、結び切りと同じような意味合いですが、その複雑な結び方から、「末永く続くように」との意味がこめられています。
見た目も華やかなので、特に結婚式のご祝儀でよく使われます。

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梅結び

梅の花のように見える結び目で、あわび結びの変形。
厳しい冬を乗り越え、新春に咲く花として、運が上向きであることを意味します。
「松竹梅」は縁起物としても広く知られており、結婚やお祝い事などにも用いられる水引です。

のしの書き方

水引の上には「表書き」と呼ばれる「御結婚祝い」「御出産祝い」などの用途を書きます。
水引の下には「名入れ」で送り手をします。
どちらも毛筆、または筆ペンを使い黒文字で太い文字で書くことがおすすめです。
(なければサインペン、フェルトペンでも良い。ボールペンはNG)
弔事の場合は、涙で墨がにじむという意味から薄墨で書きます。
連名で送る場合、右から順に年齢や地位が上の人の名前を書きます。特に順位がない場合は、右から五十音順で書いていきます。連盟の場合には、基本的に3名までです。4名以上の場合は、代表者1名のみ名前を書き、その左側に「他○○一同」と書きます。夫婦の場合は、夫、妻の順です。

字を美しく書くコツ

字に対して、コンプレックスをもっている方もいるかもしれませんが、コツを覚えれば、大丈夫です。
書く機会が少なくなっていますので、チャンスをみて意識的に増やしましょう。

文字が美しく見えるコツ

・丁寧に心をこめて書く。
・文字が蛇行すると、読み手に不安定さを感じさせてしまいます。まっすぐ書けるように縦書きの場合、中心線がずれないようにする。横書きの場合、下線を意識する。
・「横画の最後はきちんと止める」横画は、長いことが多いので目立ちます。止めると安定した文字に見えます。「折る部分は折る」だらしなく見えないように、角を作る意識を持って、折る部分はしっかり折りましょう。
「くっつけるところはくっつける」くっつける部分の間にスキマがあると、全体的にバラバラな印象になります。
さらに、「はらいはしっかりはらう」止めとはらいを使い分けるきれいに見えます。
大人のマナースタイル「書き文字のマナー」

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監 修

監修いただいたのは、【日本サービスマナー協会】認定マナー講師 江頭美鈴先生です。

日本サービスマナー協会 認定マナー講師 江頭美鈴さん
江頭 美鈴さん

日本サービスマナー協会 認定マナー講師

マナーは、相手を思いやる気持ちが基本にあり、人と人とのつながりに潤いを与えてくれます。マナーの基本を知り、心豊かに日々を過ごせたら素敵ですね。イメージコンサルタントとしても、ブラッシュアップのお手伝いをしております。

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