大人のマナー「傘のマナー」

みなさんは、お気に入りの傘を持っていますか?
雨の日のお出かけは、大好きな傘をお供にすると、気分が明るくなります。その一方で大切な「傘のマナー」については意外とできていないことがあるかもしれません。傘の扱い方で、その人の思い遣りや心配りがどの程度なのかということも周囲に伝わります。

また、ちょっとした配慮あるしぐさは、大人のエレガントさを感じさせ、素敵に見せてくれます。お子さんがいらっしゃる方は、子供のお手本になるといいですね。

今回は、雨の日を少しでも気持ちよく過ごすための、「傘のマナー」についてお届けします。
ぜひこの機会に雨の日のマナーについてチェックしていただき、快適に爽やかに過ごしましょう。

傘の扱い方  

雨の日は、普段の荷物に加え傘が必要なので大変ですね。
それぞれが人に迷惑のかからない傘の扱い方を心得ておけば、みんなが快適に過ごせるでしょう。
今一度、傘の扱い方を確認していきましょう。

大人のマナースタイル「傘のマナー」

持ち方

開いているとき

・ハンドル部分(手元)がUの字に湾曲している傘は、湾曲部分が内側に向くように持ちましょう。
風などの影響で傘が持ちにくくなった場合にも自分側に傾く可能性が高く、周囲の人に迷惑をかけにくいので安心です。安定して傘を持つためにも内側にハンドルの先がくる様に持ちます。

閉じているとき

・閉じた傘は、地面に対して垂直に真っすぐ持ちましょう。肘を曲げて持つのがポイントです。垂直が保たれやすく安全な持ち方です。しかも背筋も伸びて美しく見えます。

・傘を横にして本体部分を掴み持ち、地面に対して平行または斜めに持つと人にあたりやすく危険です。特にハンドル部分が斜め前方下に向き、石突きと呼ばれる傘の先が後方上にとがった形で出ると、ハンドル部分で小さな子供に引っかけたり、石突きでうしろの人にあたったりと前後共に危険です。

・周りの安全性が確実に保てない場合には、傘を腕にかけないようにしましょう。特にバッグなどを腕にかけている場合、加えて傘を一番外側でかけると、先端がかなり身体から離れ、人にあたる可能が増えます。腕にかける癖のある人は見直しをしましょう。

開き方

・はじめに、傘を斜め下に向けて開きます。傘を上向きにして開くと、「露先(つゆさき)」と呼ばれる親骨の先端のとがった部分で、周囲の人を驚かせてしまったり、けがをさせてしまうかもしれません。 また、傘が濡れている場合には、水滴が周りに飛び散りやすいものです。 迷惑にならないように、人のいない方に向けて下方で少し開いてから、上向きにし、静かに開いていきます。

さし方

・幼児のように、傘を肩にかけて歩くのは控えましょう。見た目にも良くないですが、何よりも後ろを歩いている人にとって、傘が邪魔で前方への視界が妨げられます。身体の中心で真っすぐに立ててさしましょう。

歩き方

・複数で歩くときに、特に狭い場所では傘をさしたまま並んで歩かないようにしましょう。
狭い道ではなくても、並んで歩いていると、うしろから追い越したい人の進行の妨げになります。

・充分に配慮しているつもりでも傘がぶつかるということも往々にしてあります。ぶつかってしまった場合には、自分から会釈をすると共に、ひとこと「失礼しました」という言葉を添えましょう。

・閉じた傘は、振り子のようにぶらぶら振りながら歩かない様にしましょう。
・リュックタイプのかばんの後ろにかけるのは、両手が空いて便利かもしれませんが、うつむいたときに、石突き部分の傘の先端が、人にあたる場合があるので避けた方が良いでしょう。

水滴の落し方

・傘を閉じたあと、持ち手のすぐ下にある、揃った露先をまとめて握ります。周囲に人がいないことを確認してから、石突きを下にして上下にトントンと軽く振ります。傘の先端から優しくしずくを下に落としていくイメージです。
・子供がする様に傘をくるくる回したり、バサバサと大きく振ったり、開閉を繰り返して水滴を飛ばすのは大人のマナーからはかけ離れた所作なのでやめましょう。

閉じ方

・閉じる前には、必ず周囲を確認しましょう。さした状態のまま、片腕を上にあげて少しずつすぼめていきます。そのあと静かに斜め下に向けて降ろし、完全に閉じます。横に向けて急いで閉じると、石突きである傘の先端が人に向く可能性がありますので、充分に配慮しましょう。

場面によってのマナー

大人のマナースタイル「傘のマナー」

すれ違うとき

・江戸しぐさで、「傘かしげ」というしぐさがあります。「かしげ」は「傾げ」と書きます。人とすれ違うとき、反対側に傘を傾けて雨のしずくが、他の人にかからないようにする思い遣りからくる振る舞いです。お互いに傘をかしげ、軽く会釈をしながらすれ違う所作は、とても粋です。
・閉じた傘を持ったまま狭い道ですれ違うときは、反対側にさっと持ちかえましょう。

建物に入るとき

・建物内に入る前に外に向けて、たたんだ傘の水滴を先述の人に迷惑がかからない方法でしっかり切りましょう。ベルトでまとめ、傘立てや傘袋があれば使用します。どちらもない場合には、タオルやハンカチで傘を拭いて携帯しましょう。
・雨の日は、ハンカチやタオルを普段より多めに持ってでかけると安心です。
・建物内の床を水滴で濡らさないようにしましょう。すべりやすくなり大変危険です。

階段やエレベーター

・石突きである傘の先端が地面を指すようにし、地面に対して垂直に真っすぐに持ちましょう。
・傘の真ん中をつかみ、地面と平行に持って歩いている人をたまに見かけます。
これは、「あとつつき」と言い、階段やエレベーターでは、うしろから登る人の目の前に傘の先端がくるので大変危険です。

電車やバスの中

・びしょ濡れになったままの傘を持って乗車しないように、外でしずくをとりましょう。バスの場合は、入口付近でもたもたしていると、逆に他の乗客などに迷惑がかかります。可能な範囲で軽くしずくをおとし、スムーズに乗車しましょう。水滴をとるときも、うしろに並んでいる人への配慮を忘れずに。

・電車やバスの中に入ったら、ベルトを留めて広がらないようにします。傘の先からしずくがたれるので、人の足などにかからないように気をつけましょう。最近は、濡れた傘を一時的に入れておく傘袋も人気がありますので用意しておきましょう。

・つり革をつかまるときに、腕に傘をぶら下げないようにしましょう。ゆらゆらして迷惑になります。
・電車、バス共に、身体からあまり離さずに、石突き(傘の先端)が人に向かないよう充分配慮が必要です。

傘の選び方

大人のマナースタイル「傘のマナー」

身長別の選び方

・傘のサイズが決まるのは、親骨とよばれる部分の長さです。親骨は、傘の中心から露先の長さです。円でいうと半径にあたる部分の長さが傘選びの時のサイズです。例えば一番小さな3歳くらいの子供用は38㎝です。身長80㎝~90㎝が目安です。

・目安として身長や肩幅で考えましょう。
女性の場合
50㎝:日傘やコンパクトさを優先したサイズ
55㎝:身長150㎝前後、小ぶりな傘、小柄な女性に合う、折りたたみ傘の一般的サイズ 
58㎝:身長155㎝~165㎝、標準的な女性向け長傘サイズ、形状も豊富
60㎝:身長165㎝~、やや高身長な女性向けサイズ、大雨の時には役立ちます

・いざというときの為に、かばんに入れておく携帯用の小さめサイズや大雨の日にも対応できる大き目サイズのものなど、用途に応じて何本か用意しておくのもおすすめです。


フォーマルシーンでの選び方

・結婚式:明るい印象の傘が好ましいです。奇抜なイメージの傘は避けましょう。
コンビニで売られている安価なビニール傘はチープなイメージなので、ビニール傘でも、しっかりしたものを選びましょう。スポーツブランド傘もカジュアル過ぎるものは避けた方が無難です。

・葬儀、告別式:ふさわしいのは黒い傘ですが、ない場合には派手な色柄やキャラクターものなど、明るすぎる印象の傘は避けましょう。ビニール傘でもOKです。

その他

折りたたみ傘の扱い方

・折りたたみ傘はコンパクトで便利ですが、傘立てに置けなかったり、扱いに気をつけなければいけない面もあります。飲食店などで、濡れたまま椅子の上に置くことのないようにしましょう。
・濡れたまま入れられる折りたたみ傘用の自前の袋や傘入れがあると便利です。袋に入れたら、そのままバッグに納めます。雨の日は、傘がきちんと収まる大きめのバッグで外出しましょう。

ワンタッチ傘

・ワンタッチで開く傘は片手で扱えるタイプもあり、荷物があるときなど、瞬時に開いてとても便利です。
ただし、開く際に勢いがあり、スピードのコントロールができないので、確実に人がいない場所で開きましょう。

ワンタッチ傘のおすすめをご紹介

大人のマナー「傘のマナー」

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傘立て

・建物の入り口に傘立てがある場合には、傘立てを利用しましょう。びしょびしょの状態でバンドを留めずに傘立てに突っ込むことのないようにしましょう。

豆知識:傘の歴史

傘の登場

傘は、約4000年前の古代エジプトやギリシャ、ペルシャなどの彫刻や壁画に描かれているそうです。これが最初の登場です。そして現在に至るまでその形状に大きな変化はありません。
当初の傘は、日よけのための傘でした。棒に天蓋のような布が張られ、開閉ができませんでした。現在の様に、開閉できるようになったのは、13世紀ごろと言われており、イタリアでつくられました。
そして、傘はイギリスやドイツを経て、日よけだった傘が現在のように、雨のときにも使われるように進化をとげます。

日本での傘の歴史

日本書紀に「百済聖王の使者が552年に欽明天皇へ仏具の傘を献上した」と書かれていることから、1400年以上前から日本での傘の歴史ははじまったとされています。
和傘は、竹を使った軸と、骨に柿渋、亜麻仁油、桐油等を塗った油紙を使ってつくられました。 そして明治時代以降は、洋傘が急速に普及していきました。
その後、1958年に浅草の傘メーカーが、ビニール傘を発明。1964年の東京オリンピックを機に世界へと知られるようになっていきました。

監 修

監修いただいたのは、【日本サービスマナー協会】認定マナー講師 江頭美鈴先生です。

日本サービスマナー協会 認定マナー講師 江頭美鈴さん
江頭 美鈴さん

日本サービスマナー協会 認定マナー講師

マナーは、相手を思いやる気持ちが基本にあり、人と人とのつながりに潤いを与えてくれます。マナーの基本を知り、心豊かに日々を過ごせたら素敵ですね。イメージコンサルタントとしても、ブラッシュアップのお手伝いをしております。

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