木々が色づき、街中が鮮やかに変わり、やわらかい日差しがふりそそぐ秋の日は、本当にここち良いものです。
自転車に乗って、サイクリングやポタリング、お買い物をするのもとても楽しい季節ですね。
自転車は、節約になるだけでなくエコにつながります。また、コロナ禍で三密を避ける点からも利用する人が増えてきました。
さらに、運動不足になりがちな人にとって、自転車を日常的に利用することは美容と健康のためにも効果的でしょう。
秋の穏やかなこの時期に、安全とマナーを守り、快適な自転車ライフを楽しみませんか?
今回は、身近で便利な乗り物である街乗り自転車にフォーカスしてお届けします。
自転車に乗るときの基本ルール
~安全利用五則
便利な反面、安全を心がけないと危険と隣り合わせになる自転車。自転車事故のうち、残念ながら命を落としてしまったケースは、ルールを守らなかったことが理由としてあげらるのが約8割だそうです。
この機会に命を守るためにもあらためて警察庁が発表している「自転車安全利用五則」を
確認していきましょう。
1.自転車は車道が原則、歩道は例外のみ通行可
道路交通法では、自転車は「車両」に入ります。歩道と車道が区別されているところでは、車道を使い ましょう。
以下の場合は、例外で自転車が歩道を使えるケースです。-
・歩道に「普通自転車歩道通行可」の標識があるとき。
・13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者などが自転車を運転しているとき。
・道路工事や連続した駐車車両などで、車両通行が危険な場合。
また、自動車などの交通量が多く危険を伴うとき。
2.車道は左側を通行
道路の左側の端を走りましょう。自転車での右側通行は禁止されています。
また、自転車専用の路側帯が設けられている道路もあります。工事などで通れない場合をのぞき、自転車専用レーンを使用します。
禁止されている車道の右側を走ると、左側を利用している他の自転車やバイクなどと衝突したり、すれ違うときに、道路の中央に飛び出して自動車とぶつかる危険もあるのでやめましょう。
3.歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
自転車が歩道を通行する場合は、車道寄りを使用し徐行(すぐに止まれる速度)しましょう。
また、歩行者の通行の妨げになる場合は、一回止まりましょう。
ベルを鳴らして歩行者に道を空けてもらったり、スピードを出して歩行者を追い越すこともルール違反で す。
4.安全ルールを守る
・夜間はライトを点灯する
安全を守る上では、自分の存在を自動車などに知ってもらうということが非常に重要です。
最近は、周囲が暗くなると自動点灯する自転車も増えてきました。夜間の無灯火運転は道路交通法の違反対象です。
薄暗くなってきたら、早めに自転車の前照灯、尾灯をつけましょう。尾灯がない場合には、反射器をつけることが必要です。
・飲酒運転禁止
お酒を飲んでフラフラしながらの運転は非常に危険です。自転車も飲酒運転は禁止されています。
「飲んだら乗るな」は自転車においても守りましょう。
・二人乗り禁止
幼児用座席に6歳未満の子どもを乗せるなどの場合を除いて、原則として禁止されています。
・並進(へいしん)禁止
「並進可」の標識があるところ以外では、2台以上並んで走ることは禁止されています。
・信号遵守
信号を必ず守りましょう。人や車がいないからといって信号無視をすると、思わぬ事故を起こすことも。歩行者・自転車専用信号機がある場合は、その信号に従いましょう。
・安全確認
交差点など、「止まれ」の標識がある場所では、必ず一時停止しましょう。
5.子どもはヘルメットを着用
6歳未満の幼児が一緒に乗っている車が事故にあった場合、約4割が頭部損傷のけがを負っています。
子どものヘルメット着用は大人の責任です。
13歳未満の子どもが自転車を運転するときや、幼児が同乗するときは、脱げない様に必ず正しくヘルメットを着用させましょう。
正しい自転車の選び方
自転車は、資格も年齢制限もなく誰でも手軽に使用できる乗り物です。
その反面、思いのほかスピードが出て、乗り手が加害者になる可能性もあります。
自己責任は自転車を選ぶ時からはじまっています。
便利な乗り物だからこそ、自分も他人も傷つけることのないように、慎重に選びましょう。
用途に合わせる
街乗り自転車でもどのような使い方をしたいかによって選ぶ自転車が変わってきます。
例えば日常生活での買い物などで使用する場合、しっかりとしたかごがついていて、前傾姿勢にならずにスカートでも乗れるシティサイクル。
電車などに自転車を持ち込みたい場合には、ひとりでも簡単に小さくできる折り畳み自転車。
自転車通勤なども含め、カッコよく走りたい場合には、クロスバイクなど。
その他、変速機がついているもの、チェーンガードや泥除けのあるなし、自分の用途に合わせて選びましょう。
自転車の大きさ
自分の身体の大きさに合った自転車を選びましょう。
街乗り自転車のサイズでは、サドルに座った時に、両足がきちんと地面につく大きさを選ぶことがとても大切です。足がすぐにつかないと大変危険です。
サドルの固さ
長時間、使用する場合に、座り心地が悪いと疲れやすくなります。自分に合うかどうかを充分に考えて選ぶことが大切です。
ハンドルの位置と高さ
サドルよりも5~10㎝高い位置にグリップがくるようにします。
少し余裕を持って腕が曲げられ、ブレーキ操作などができる位置に調整します。
ライトが明るいもの
自動ライトにするのか、自分で点けるものにするのか選びましょう。中には、購入時からライトが暗めの自転車もあります。必ずライトを点けたりお店の人に確認してから納得の上で購入しましょう。
フレームやタイヤ周り
安全性の高い自転車を選ぶことをおすすめします。フレームやタイヤ周りの強度が充分でない場合、走ったときに性能の低さから運転しにくさにつながる可能性があります。
安全性の高い自転車
自転車の安全保証マークがついた自転車もあります。
ブレーキをかけてから停止までの距離に違いがあったり、耐久性が違う場合もあります。
アフターケアも考えて、「取扱説明書」や「品質保証書」がついていた方が良いでしょう。信用のおける安全性の高い自転車を選びましょう。
当店おすすめの自転車
自転車のマナー
車の運転をしているときに、近くを走っている自転車にヒヤッとすることはありませんか?
自転車は小回りがきく分、マナーを守らないと、自動車や歩行者を驚かせたり、その置き方によって周りの人に迷惑がかかる場合があります。今一度、見直してみましょう。
スピード
自転車に制限速度があることはご存じでしょうか。 車道では、自動車の制限速度と同じです。歩道では、いつでも瞬時に止まれる徐行が義務づけられています。自転車は車道を走ることが原則ですが、やむを得ず歩道の乗った時には、特にスピードに注意しましょう。
ベル
安全のために自転車の存在を知らせるベルの使用は必要ですが、歩道は歩行者優先です。
歩道で歩いている人に対して、自転車が通りたくてベルを鳴らすのは、ルール違反でありマナー違反です。横を通るときには、自転車からおりて、軽く会釈をして通り過ぎるのが大人の振る舞いでしょう。
特にお子さんと一緒の人や高齢者には心配りをしましょう。
ながら運転
歩きながらのスマートフォンの使用は、世界的な問題とも言われていますが、自転車に乗りながらの使用も、それ以上に危険です。前方不注意につながり、とっさの判断や行動が難しい状態です。
また、イヤホンやヘッドホンをつけ、音楽を聴きながら自転車に乗るのもやめましょう。車の音などをはじめ、周りの情報が遮断されてしまいます。
ながら運転が引き起こす事故は、「自分では大丈夫だと思っていた」という軽率な判断が大きな要因になることが多いです。
傘さし運転
自転車のフレームに傘を差し込み、雨のときには傘さし運転をしようと思っている人はいませんか?
2015年に行われた道路交通法の改正により、自転車の傘さし運転は、危険行為のひとつとして、取り締まりの対象になりました。傘さし運転は、雨で路面が滑りやすい中、片手になり視界も悪いので、大変危険です。決してしないようにしましょう。
昨今は、おしゃれで機能的な自転車用のカッパも多く市販されています。安全と雨の日のおしゃれを楽しんでみてはいかがでしょうか。
車道の逆走
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車道を逆走する自転車は、自動車を運転している人にとって、とても迷惑で危険です。
逆走するのは「対向車が見えた方が安全だから」という考えのようですが、自分本位とも言える考え方です。
自転車は車道の左側を走行するというルールに従い、公道では周り人を驚かせないようにしましょう。
自転車の置き方
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駅周辺やマンション、ショッピングセンターの自転車置き場で、ときどき見受けられるのが、駐輪用システムではないところに、勝手に止めているケースです。
また、乱雑な置き方をしていると、倒れてくる場合もあり迷惑がかかります。 それぞれの駐輪場のルールに従った置き方をしましょう。
自転車の安全チェックとメンテナンス
自転車を安全で快適に利用するためには、乗る前の事前チェックをしましょう。
また、長く自転車を使用するために、定期的なメンテナンスもおすすめします。
年数や乗る頻度、扱い方によって、部品は耐久性は変わります。特にブレーキやタイヤの劣化は、思わぬ事故のもととなる可能性があります。実際に、メンテナンスをしている自転車とそうでない自転車の場合、ブレーキをかけてから停止するまでの時間に大きな差が出ることが分かっています。特に路面がすべりやすい場所では、その差が顕著に出ます。日常的には自分で点検し、定期的にサイクルショップで点検してもらうと良いでしょう。
ブレーキ
左右のブレーキレバーを握ってみましょう。目安として、ハンドルグリップと、ブレーキレバーの間隔が、最初の半分くらいになったところでブレーキが効けば安心です。
また、しっかり止まる感覚や押し返されるような感覚があるかどうかをチェックします。ゆるいときは、ブレーキがしっかり作動していません。
また固いときも力をかなり強く入れないとブレーキがかかりにくいので、早めにお店で調整してもらいましょう。
タイヤ
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タイヤを指で押した弾力で空気圧を確認します。へこみが強いと、ペダルをこぐときにとても重く感じられ、タイヤを傷つけます。またパンパンでまったくへこまない状態だと、パンクがしやすいので、少しへこむくらいを維持しましょう。月に1度は確認し、必要があれば空気入れを使用しましょう。
また、タイヤの溝が少なくなると、すべりやすくなり大変危険です。同時に確認することも必要です。
ハンドル
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ハンドルはサドルに座ったときに、タイヤは真っすぐ垂直になり、ハンドルと身体が正対しているか確認します。曲がっていると感じたら、自転車にまたがったまま身体で固定しハンドルを手で向きの微調整をします。
また、自転車の前に立ち、前輪を足ではさんで固定した状態でハンドルを動かします。その際に、ガタガタと動く場合は、サイクルショップで直してもらいましょう。
チェーン
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チェーンがはずれやすくなっていないか確認します。またスムーズに動くか回転させましょう。
「キリキリ」「ギシギシ」という音がする場合には油がきれているのかもしれません。定期的に油をさしましょう。チェーンがカバーのぶつかったり、ゆるんだりした場合は、お店に相談しましょう。
ライト
- 夜間ライトが点かないと、無灯火とみなされます。また明かりが暗めの場合には、安全面を考慮し、取り換えることも考えましょう。
ベル
- ベルは、自転車が転倒した際などにわずかに変形しただけで、音が出なくなることもあります。いざ使おうと思ったら音が出なかったということのないように、音の確認をしましょう。
自転車の正しい乗り方
安全かつ快適に自転車に乗るためには、正しい乗り方をしましょう。
サドルの高さ
サドルの高さを上げ過ぎないようにしましょう。必ず地面に両足がつく高さにすることで、とっさのときに安全です。
発進するときの乗り方
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ケンケン乗りは、バランスを崩しやすく転倒する可能性があります。
特にこぎ出しは、不安定なので気をつけましょう。
道路で乗りはじめる場合には、道路の左端に寄り、自転車の左側から乗ります。サドルに座ったら、ペダルは右足からこぎ出すと、もしバランスを崩しても車道側に倒れる確率が少ないので良いでしょう。
ペダルのこぎ方
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足裏がしっかりとペダルを踏みこめるように、親指の付け根の丸いふくらみがペダルの中心にくる位置で足を置きましょう。
効率よくペダルがまわせて、疲れも減ります。そして安定したこぎ方をすることが一番重要です。
自転車をとめるとき
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はじめに後ろのタイヤのブレーキである左ブレーキをゆっくりとかけていきます。次に前のタイヤの右ブレーキをかけます。急ブレーキにならないように、速度に合わせて徐々にかけていきましょう。
自転車からおりるときには、左足から地面につけて、自転車の左側におります。
その他
自転車で事故を起こしてしまった
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不覚にも自転車で事故を起こしてしまったら、必ず警察に連絡をしましょう。
自転車も車両です。自転車に乗っていた自分が歩いている人とぶつかった場合には、けがの確認をして、状況によっては救急車を呼ぶなどの救護をします。車の運転と同様に、必ず責任ある行動をしましょう。
豆知識:自転車の歴史
自転車の登場
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1817年のドイツで、発明家のドライス男爵がドライジーネと呼ばれる自転車の原型を作ったと言われています。
木製の二輪車でペダルはついておらず、足で地面を蹴って進む乗り物でした。特許も取得しました。
そして、1839年には、イギリスのマックミランによってペダル式の自転車がはじめて考案されました。
日本での自転車の歴史
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自転車が日本に渡ってきたのは、幕末から開国にかけてと言われています。
当時の錦絵には、和装に混じって自転車に乗る西洋人の姿が描かれています。
明治後期には、上野で自転車レースも開催されました。
大正後期から昭和初期にかけ、大衆の乗り物として認知されるようになりました。
女性の社会進出が徐々に進んでいった日本。社会に出ていく女性たちの足として注目を集めます。
監 修
江頭 美鈴さん
日本サービスマナー協会 認定マナー講師
マナーは、相手を思いやる気持ちが基本にあり、人と人とのつながりに潤いを与えてくれます。マナーの基本を知り、心豊かに日々を過ごせたら素敵ですね。イメージコンサルタントとしても、ブラッシュアップのお手伝いをしております。