春の足音が近づいてくると、なんだかワクワクしませんか?日に日に暖かくなり身も心も軽やかになります。そして年度のはじまりは新鮮な気分で、少し殻を破ったおしゃれにもチャレンジしたいものです。
今回は、色についてのちょっとした知識とTPOにあったカラーをマナーの視点からフォーカスしてお届けします。また、知っておくと便利な色の持つ特徴などもお伝えしましょう。
今年の春は、ファッションのカラーを通して新しい自分を発見してみませんか?
カラーについて
ファッションとカラーは切っても切れないものです。色について知識を少し身につけると、視点が変わり、センスよくコーディネートができます。ぜひこの機会に学んでみましょう。
色彩の基本
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・「有彩色と無彩色」
色は、有彩色と無彩色があります。有彩色は「赤」「青」「緑」などの色味をもった色のことです。
無彩色は、白・黒・グレーのモノトーンのことです。無彩色には色相と彩度はなく、明度のみが あります。
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・「色の三属性」
有彩色には「三属性」というものがあります。「色相=色みや色合い」「明度=明るさの度合い」「彩度=鮮やかさの度合い」の3つの性質が三属性です。色の性格みたいなものです。
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① 色相
色相は、普段わたしたちが色を指すときに使う色の名前です。「あか」「あお」「みどり」などの色のちがいを「色相」と呼びます。
また似た色を並べてつくるグラデーションの輪を色相環と言います。 洋服のコーディネートをするときに、色相環の隣同士の似た色を組み合わせると一体感が出ます。 またトーンによっては微妙なニュアンスが生まれ、エレガントさが表現できます。 色相環の向かい合った色同士の組み合わせは「補色」と言います。 色の差が最も大きく、お互いの色みを引き立たせるコントラストの強い組み合わせです。 例えば緑と赤、青とオレンジなど。
補色はトーンを淡くするとコントラストも優しいイメージをつくることもできます。
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② 明度
色の明るさの度合いのことです。明るいと「明度が高い」、暗いと「明度が低い」と言います。
白が一番明るい色で、黒が最も暗い色です。 パステルカラーは明度が高く、ダークカラーは明度が低いです。
③ 彩度
色の鮮やかさの度合いのことです。彩度が高いほど色は鮮やかに、低いほど色は地味になります。 色の中で一番鮮やかなのは純色です。
はっきりとした華やかなビビットカラーは彩度が高く、ソフトな落ち着いた色は、彩度が低いです。
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・「色のトーン」
明度と彩度が合わさった色の雰囲気をイメージで伝えるときに使います。
light(ライト)=あさい、pail(ペール)=うすい、bright(ブライト)=あかるい、vivid(ビビッド)=さえた、soft(ソフト)=やわらかい、dull(ダル)=くすんだ、strong(ストロング)=つよい、deep(ディープ)=濃い、dark(ダーク)=くらい、grayish(グレイッシュ)=灰色がかった などです。
ファッションとカラー
配色のルール
■3色でまとめる
配色に迷う場合には、色を3色でまとめると良いでしょう。
・ベーシックカラー3色
モノトーンの白、黒、グレー、またはベージュ、ネイビーやブラウンを組み合わせます。落ちついたイメージですが、人によっては地味になる場合もあります。
・ベーシックカラー2色+アクセントカラーとして自分の好きな色を1色
コントラストが強い色でも、アクセントで自分らしさを出しましょう。
・黄金比でバランスを考える
ベースカラー、アソートカラー、アクセントカラーが、それぞれ6:3:1を意識するとバランスが良くなります。
ベースカラー(基調色・・一番面積を広くとる) : 60%~70%
アクセントカラー(強調色・・1番面積が小さい。補色もOK): 5%~10%
この組み合わせは、とてもおしゃれに見え、周りの人に安心感を与えます。
アクセントカラーには、正反対の補色を使い、コントラストをつけても良いし、なじみのいい色でグラデーションをつくっても、優しいイメージで素敵にまとまります。
ベースカラー別ランキング
アクセントカラー別ランキング
■柄から1色とる
柄物を着る時は、柄の中の色を1色選び、同色をコーディネートで他のアイテムに持ってくると色の印象にまとまりやすく、素敵に演出できます。
例えばワンピースの柄の中の1色をカーディガンと同系色にしたり、洋服ではなくてアクセサリーや帽子などのアイテムに合わせても良いでしょう。
また柄の大きさは、大きな柄ほどインパクトが強くなり、細かい柄ほど印象はやわらかいです。 日頃あまり柄物は着ないという人は、色のトーンがおとなしめで、細かい柄だと着やすいでしょう。 もっと元気に見せたいときには、普段より大き目の柄と明るめの色の服を選んで、いつもと違う自分に 出会いましょう。
柄別アイテム人気ランキング
TPOに合わせたカラーのマナー
冠婚葬祭
礼服の黒い服は、濃ければ濃いほどフォーマル度が高く上質なものとされます。
漆黒のブラックカラーは、ビジネススーツの黒とは違うので、ビジネス用のスーツとは別に、冠婚葬祭用の黒いスーツなどを用意しておきましょう。
・弔事のシーン 葬儀では、冠婚葬祭用の漆黒の装いですが、法事で平服指定の場合は、ブラックまたは、ダーク系カラ ー、グレーなどを選びましょう。足元は、黒のストッキングとパンプスなどブラックでまとめます。
パンプス、バッグともに、エナメルなどの光る素材は避けましょう。 真珠は「涙」の象徴です。パールのアクセサリーで、お悔みの気持ちや悲しみを表現しましょう。 首元がエレガントになり、黒と白のコントラストが美しいです。
また、ピアスやイヤリングでパールを 用いる場合は、揺れないタイプのもので、留め具もゴールドではなく、シルバー系にしましょう。
・慶事のシーン 純白は、花嫁さんの色です。オフホワイトであっても、白に見えるものは誤解を招きやすいので、 避けましょう。
ドレスや洋服がシンプルな場合は、明るいアクセサリーで華やかさを出しましょう。ブローチやヘアーアクセサリーもおすすめです。
子どもの学校行事
行事によってカジュアルな服装が良いのか、きちんと感を優先させた服装がふさわしいのかを考えましょう。いずれも清潔感のある服装を心がけることが大切です。
日頃自分の好きなカラーの洋服を着ていても、インパクトが強すぎる色味は、避けた方が良いでしょう。
学校行事では、他人目線での洋服選びやカラー選びをすることがポイントです。
また、それぞれの校風もあるので、周りとの調和を考慮できることがマナー上、大切なことです。
その他、行事に参加したあと持ち帰るものがあるかもしれません。式典以外の行事では、シンプルなカラーのトートバッグや大き目の布バッグもおすすめです。
式典の時には、小さく折りたためるサブバッグをメインのバッグの中に入れていきましょう。
・卒園式・卒業式
厳粛さを大切にして、フォーマルなダーク系がおすすめです。
ブラックやネイビー、グレー、ブラウンなどの落ち着いた色選びをしましょう。全体が引き締まって見えます。
ダークスーツ系はフォーマル感が出やすいので、ベージュ系のパンプスで抜け感を出しても良いでしょう。
かしこまりすぎないセットアップやワンピースの場合は、バッグや足元をブラックなどで引き締めるとフォーマル感が出て良いでしょう。
また、注意点は、厳粛さと言っても晴れの日にふさわしいことをイメージすることです。白いインナーやブラウスはデザイン性のあるものやフリル使いのものを選ぶだけでも雰囲気が華やぎます。
また、パール系ネックレスや明るめのシンプルなアクセサリーで顔周りを明るく見せましょう。
・入園式・入学式
式典なので、ダーク系でももちろんOKですが、色とりどりのお花が咲き乱れ、華やかなお祝いの場にふさわしく、明るめの色がおすすめです。
スプリングベージュや優しいトーンのピンク、ライトグレー、グレージュも品があって良いでしょう。バッグはブラックフォーマルバッグで引き締めるか、明るめのカラーのバッグも華やかさが出ます。
ダーク系の装いの場合は、バッグやアクセサリーで華やかさをプラスしましょう。アクセサリーは、ダーク系、明るめの装いどちらもパールに限らず、春の陽気にきらりと光る存在感のあるものが素敵です。
ただし、お子様が主役なので、目立ち過ぎないように気をつけましょう。
訪問
・訪問先によって洋服選びやカラー選びをしましょう。訪問相手がいる時のカラー選びは、誰にでも受け入れてもらいやすいベーシックなカラーがおすすめです。
・モノトーンやベージュ系、ブラウン系、優しいピンク系やブルー系をベースカラーにしましょう。
また、ビビッドカラーはアクセントにするくらいにおさめましょう。
・相手の家に訪問する場合には、特にかしこまった場合以外は、パンツスタイルやゆったりとした服装、スカートの丈も長めなものが良いでしょう。
・華やかさを出したいときには、フリルがついたものや柄ものを選ぶと可愛らしさも演出できます。
食事会
女子会など、個人的なおつきあいの中でも食事会では、自分の好みを優先したカラー選びで楽しい気持ちをさらにアップさせましょう。
わたしたちは、数えきれないほど多くのカラーに囲まれた世界にいます。ぜひ自分で「似合わない」と決めつけないで、これまで身につけなかった色にもチャレンジして前向きに楽しみましょう。必ず自分の生活がより豊かなっていきますよ。
カラーを生活に活かす
色とわたしたち
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わたしたちは、色に囲まれて生活をしています。
人が肉眼で見分けられる色は、約750万~1000万色と言われています。無限に近いような微妙な色の違いがあり、その中で想像以上に大きな影響を受けながら日々の生活があります。
色は様々な印象、感情、錯覚を与えるので、自分の選ぶアイテムや身につけるファッションの色選びは、自分のイメージを与える上で大きな要素になります。
色の特徴とメッセージ
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色には、それぞれの特徴やメッセージがあるので、チェックをして色選びに活用しましょう。
ホワイト・白:□
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ピュアで清楚な色、素直で明るい心をつくる色、成長と新しいアイディアに導く色
心身が浄化されて新しく生まれ変わるイメージ、フレッシュな気分にさせてくれる
どのような色ともマッチする、個性の強い色同士を調和させる
ブラック・黒:■
フォーマルな場で格式の高い色、都会的で洗練されている、引き締め効果がある
スタイリッシュ、威厳がある、高級感がある
刺激から守ってくれる色
グレー・灰:■
他の色の魅力を引き出す力がある色、他の色に混じってニュアンスを生み出す(グレイッシュ)
ピンクとグレー、ブルーとグレーなどの洗練された色の組み合わせをつくれる
大人っぽいファッションにはおおいに活用したい色
レッド・赤:■
色の中でもとてもパワフルな色、人目をひく色、勇気や生命力の色であり欲望の色
最も記憶に残る色、赤は血液の色でもあるので、情熱とエネルギーの色と言われる
ピンク・桃:■
思いやりと慈しみの色、幸福感に満ちたロマンティックな色、穏やかに包んでくれる色
女性ホルモンの分泌を促すので、若返り効果のある色と言われている
ビビットなピンクは、華やかで明るく目立つ色
オレンジ・橙:■
陽気で熱意のある色、躍動感のある色、食欲を増進させてくれる、親しみやすさを感じるモチベーションを高めて元気づける効果がある、明るい感覚を生み出すのびのびとした気持ちを蘇らせてくれる色、感情を自由に表現することを促す色、コミュニケーションを活発にさせるトロピカルオレンジは元気なイメージ、暗くしていくとベージュやブラウンに近づき、秋の思わせる落ちついたオレンジになる
イエロー・黄:■
最も明るく目立つ色、喜びや希望を与え明るく楽天的な考え方をもたらす
自尊心を高め、人とのコミュニケーションや知的好奇心を刺激する、
気持ちが高揚するエネルギッシュな色、ポジティブシンキングを導く
ファッションではトーンを下げて柔らかいカラーだと使いやすい
グリーン・緑:■
自然と深いつながりがある成長と調和とバランスの色、広がりのある空間、
安全で信頼できるイメージ、エコロジーのイメージ、再生、協力、良識的行動
癒しを感じたりリラックスできる色、感情を安定させる
周りと分かち合い共感する気持ちを促す、リフレッシュ効果
ブルー・青:■
空と海の色なので不変性と信頼性が感じられる、怒りや興奮を鎮める効果がある
日本人の多くが好む色、集中力を高める色
リラックスしながら集中できる状態を作り出しやすい色
ブラウン・茶:■
紅葉や枯れ葉、木のぬくもりを感じさせる色
どこかなつかしさを感じさせるノスタルジックな色、ゆったりとした気分にさせてくれる色
ナチュラルなライトブラウンから、ダークな重みのあるブラウンまで幅広い
色と心理
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色は人に心理的影響を与えます。家族で集うリビングは、温かい暖色系の壁紙やオレンジ色の白熱灯を使うと、ゆったりとくつろげます。
また逆に集中力の少ない子供の部屋をブルー系で統一すると、勉強に集中できるようになるなど、実際に色によって行動が変化します。
その他、最近宅配便や引っ越しの段ボールの箱は白いものが増えました。クラフト色より白い段ボールの方が、同じ重さでも心理的に軽く感じられ作業効率が上がるということです。
また心理的効果だけでなく、生理的にも緑を見るとストレスがやわらいだり、赤は血行が良くなると言われています。
色とイメージ
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「黄色い声援」は賑やかな歓声をイメージし、「ブルーな気分」と言えば、深く沈んだ気持ちをイメージします。
このように色は、人にイメージさせる力があります。
■なりたいイメージ一例
・高級でシックなイメージ・・ブラックをベースにインナーにホワイトのシャツなど。形はシンプルに。
・上品でエレガントなイメージ・・ライトグレーをベースに光沢感のある素材、ボディラインがほどよく出るとエレガントさがプラスされる。
・神秘的に見せたいとき・・パープル系を使い、やわらかい生地を選ぶ。スカート丈は長め。
・女性らしくフェミニンな印象・・パステルカラーやトーンの明るめの優しい色で、ふんわりとしたスカートやワンピースを選ぶ。
・可愛らしく清純なイメージ・・・ピンクをベースに、ホワイトを2割程度入れる。
・甘さ控えめの可愛らしさ・・・黒白のドット柄などを選ぶ。色は甘さを抑え、柄で可愛らしさを出す。
・冷静で知的さをアピール・・ブルー系でベーシックな形のスーツやホワイトシャツでスッキリと。
・親しみやすさや話しかけやすい雰囲気・・明るいオレンジ系を取り入れたカジュアルダウンスタイル。
・自然派、ナチュラルな雰囲気・・・アースカラー、ナチュラルカラー。モスグリーンやオリーブ、テラコッタなどのブラウン系、カーキ、ベージュなど。身体のラインが出ない様に。
元気はつらつなイメージ・・ビタミンカラー、ビビットなイエローやオレンジ、グリーン、レッドと、ライトグレー・ホワイト・ブラック・ベージュなどと合わせる。
色選びのコツ
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日本は四季がはっきりしています。四季折々で、街の中の雰囲気もガラッと変わるのが日本の特徴です。
カラーのおしゃれをする上では、この四季を上手に取り入れてチャレンジすることがポイントです。
例えば春は、色鮮やかな花々が咲き乱れています。
日頃、ビビッドカラーを選ばないという人もこの時期は、自然と周りとなじむので、挑戦しやすいです。
鮮やかなレッドやマゼンタピンク、きれいなロイヤルブルー、元気なイエローや明るいグリーンも爽やかです。
その年のトレンドカラーにチャレンジするのも良いでしょう。
どうしても難しいと感じる場合には、お財布やバッグなどのアイテムからカラフルな色を取り入れるのもおすすめです。
夏はキレイ目なパステルカラー、秋はこっくりとした大人のダーク系レッド、
冬はクリスマスカラーや純白など、季節を意識して色を楽しみながら上手に取り入れると、気分も上がり豊かな気持ちになれます。是非日本の四季を意識してチャレンジしましょう。
監 修
江頭 美鈴さん
日本サービスマナー協会 認定マナー講師
マナーは、相手を思いやる気持ちが基本にあり、人と人とのつながりに潤いを与えてくれます。マナーの基本を知り、心豊かに日々を過ごせたら素敵ですね。イメージコンサルタントとしても、ブラッシュアップのお手伝いをしております。