GLEAN&Co.,Ltd.(グリーン アンド コー リミテッド)のナリタチ、カタチ。

「genten」から環境への想いを受け継いだブランド「GLEAN&Co.,Ltd.」。今回は、浅草にある自社工房にお邪魔してプロデュース、デザインを担当している荒井さん、田嶋さんにお話をうかがいました。

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長い眠りからさめた“前世”をもつバッグ

長い眠りからさめた
"前世"をもつバッグ

オレンジやカーキ、ブルーにベージュ。鮮やかでありながら渋味のある製品染めに、ぼんやりと浮かび上がる動物たちの姿やフリンジの様子が不思議な雰囲気を醸し出す縦長のトート『PILLOW BAG(ピローバッグ)』。
このバッグには"前世"があり、生まれ変わる前は1960~80年代にイタリアでつくられたリネン製のピローケース(枕カバー)でした。

環境に配慮した商品づくりで知られるブランド『genten(ゲンテン)』から派生した『GLEAN&Co.,Ltd.(グリーン アンド コー リミテッド)』は、このピローバッグのように長いあいだガレージで眠り続けていたデッドストックや、良質でありながら廃棄せざるを得ない事情ある資材を「リサイクル・リユース・リメイク」3つの"R"を軸に、商品として新たな息吹をもたらすことを目的にはじまりました。

長い眠りからさめた“前世”をもつバッグ

ブランドコンセプトのひとつ「リユース(繰り返し使う)」をより明確にあらわせるリソース(資源)はないか――。日常にあふれたごく当たり前のものを、そのままの形で袋にできるものをと探していたところ、ピローケースにいきついたそう。
持ち運びを考え改めてみてみると案外大きいピローケース。バッグとして扱いやすい深さにするためカットしてしまうのではなく、外側に折り返すことでサイズ感を調整。さらに折り返した際、枕をいれて口をとじるための紐がぶら下がるのもフリンジのようで面白いと、そのまま残しました。
またもうひとつの特徴であるプリントは、1800年代ドイツで出版されたと思われる動物図鑑の絵をコラージュして転写。自然界では一緒に生息しないはずの動物が混在しているのも図鑑ならではの面白さ。
1ページA3ほどもある大きな図鑑を原寸プリントしているため、同程度の本や書類はすっぽり収まるサイズ。小物を整理できるよう内側に付けたポケットは、ケータイやカギ入れに。お財布など大切な革小物を傷つけず別々に収納できるよう配慮されています。

(写真)動物の絵の雰囲気に合わせて決めたられた4色。製品染めは技術が高い日本でおこなっている。生地は丈夫で質感も高いデッドストック。力織機という古い機械で織り上げられ、ネップとよばれるランダムなウネリが味わいに。現代ではあえて再現する商品も多い。また、よーくみるとドイツ語の解説が。

ナチュラル服のアクセントに。今年注目のブライトカラー

ナチュラル服のアクセントに
今年注目のブライトカラー

小物で上手に旬のおしゃれをたのしみたい方には、遊びごころを加えたショルダーバッグ『MOP BAG(モップバッグ)』を。
いつものナチュラルなコーディネートに斜めがけするだけでも、ブライトカラーが映えて新鮮な面持ちに。また、70年代に流行した"ニュートラ"風に、あえて野暮な雰囲気でストラップを長めにしたワンショルダー持ちもおすすめ。
英国のハンティングバッグ(狩り用のバッグ)をモチーフにしたという一見トラディショナルなデザインですが、ライオンのたてがみのようにバッグをぐるりと囲む色とりどりのフリンジは、クラフト感や遊牧民調を演出しアジアや日本人のファッションになじみやすいよう工夫されています。
実はこのフリンジ、かぶせを開けると見える古いゴブラン織りの裏地を外側に出してほぐしたもの。意外性やファッションの楽しさを引き出しつつ、機能面でも一役買っている裏地。革と一発で縫いとめたゴブラン生地がバッグの中で仕切りのようになっているさまをみて、背面にポケット口を開け、サイドポケットとしての機能を急遽プラスしました。サンプルづくりの過程で出たデザイナーと職人の即興アイディア。自社工房だからできる柔軟さで、ユーザー目線に立った商品が生み出されています。

(写真下)ヌメとネイビーはフリンジなし。直球のトラディショナルがお好みの方はこちらがおすすめ。
表側の革はアメリカで調達したもの。質はいいのに傷があるために捨てるしかなかった革を染料顔料でコーティング。顔料は撥水性があるため、雨の日にも持ち歩ける。デメリットをメリットに変えた、リメイクのお手本。
※15種類あるデッドストックのゴブラン生地と革のカラーの組み合わせは一期一会。一点モノ感覚でお楽しみください。

一期一会の革でつくる一点モノ感覚のバッグ

一期一会の革でつくる
一点モノ感覚のバッグ

シーズンコンセプトは設けず、それぞれの時期に集まった素材を組み合わせ企画をおこなうグリーン。商品のオリジナル性はもとより"一点モノ"にこだわり、その時にしか出会えない商品づくりに気を配っています。
あつかう革はすべて「タンニン」という自然素材でなめした、使うほどに味わい深く、地艶が増してゆく上質なもの。ゲンテンのサンプル革を使用する場合も多く、また試作で余った質はいいが少量すぎて生産にのせられないなどの事情をもつ革を、外部からも少しずつ買い集めています。なめしや仕上がり、国もまちまちで、市場に出回ることのない希少な革を使った商品が、お値ごろ価格で手に入るチャンスもあるそうで、まさに"一期一会"が魅力のブランドです。
この『KIT BAG(キットバッグ)』に使われた持ち手の革もしかり。さまざまに異なる色、風合いをもった革を、職人が手作業で洗い、握りやすいよう湾曲させるなど持ち手ひとつにも惜しみない手間隙がかけられています。
また、キャンバス地のようにもみえる袋部分は、イタリアの古いブランケットカバーを再利用。先のピローバッグと同じ年代のリネン生地で、こちらもネップなど表情豊かな風合い。裏からキャンバスでボンディングし、底の部分はさらにもう1枚布を張り合わせた堅牢なつくり。大きさはA4サイズと一泊旅行にも便利な大きさの2種類。どちらもファスナー付きで安心です。

環境への想いを受け継いだ新たなモノづくりへの挑戦

環境への想いを受け継いだ
新たなモノづくりへの挑戦

ゲンテンの環境に配慮したモノづくりを、違った観点から提供できないか?グリーン立ち上げ当初は、ゲンテンのデザイナー全員でコンセプトからデザインまで、新たなブランドの開発に取り組みました。
ゲンテンがタンニンなめし革をすべての革製品に使用するのは、もしも廃棄処分しなければならないとき、燃やしても環境に害がないから。ならばグリーンは燃やさない、形を変えずに再び利用する。またゲンテンでは考えられなかった、化学的な素材も再生材料として取り入れ、お客さまの今の気分が求めている商品に生まれ変わらせる。日々お客さまに接している販売スタッフの意見も取り入れて、商品企画が進められています。

(写真上/下)さまざまな国やメーカーから集まった資材が、工房のなか所狭しと次なる出番を待っています。付加価値がついて高額になりがちなデッドストックや一点モノも、身近な生活の一部であってほしいという思いで、抑えた価格設定で展開されている。

生まれた場所で生まれ変わる。原点を守る職人と工房

生まれた場所で生まれ変わる。原点を守る職人と工房

製作から修理まで。ゲンテンとグリーンの工房で働く職人たちに任せられている仕事は幅広い。
自社工房をつくったきっかけは、職人とデザイナーがダイレクトに接し、より高い精度の商品がつくれるように。決められたデザインを正確に作リ続けるのが職人技である一方、グリーンが取り扱う素材や商品はそのほとんどが一点モノであるため、実際に手を動かす職人それぞれの感覚にゆだねている部分が大きいそう。
修理も工房で同じ職人が請け負うのは、できる限りお客さまの要望にこたえ、長く愛用していってほしいから。限りある資源を大切にしたいという思いは、そこここに息づき、職人たちの手で守られています。

(写真下)荒井さん私物のバッグも持ち手部分が革。頻繁に手が触れるところは地艶を増し、触れない部分は蝋が残ってグラデーションのような色の変化が。革自体に含まれている油分や水分が、使っているうち表面ににじみ出てくるため、あまりクリームを塗りすぎるのはおすすめしない。「革は素上げ調が多いため、シミやキズは付いてしまうものですが、使ってきた景色がその人と共に歩んだ軌跡としてご理解いただき、よりそっていただけたらと思っています」

おみやげ第2弾。ポーチを抽選で3名様にプレゼント


おみやげをいただきました。オリジナルストラップを抽選で30名様にプレゼント

今回インタビューでご協力いただいた荒井さん、田嶋さんより『ナリタチ、カタチ。』をご覧のみなさまへおみやげをいただきました。「GLEAN&Co.,Ltd.」ストラップは抽選で。撮りおろし写真を使ったオリジナル壁紙は全員プレゼントです。

>> アンドロイド用壁紙(1440×1280)

>> iPhone用壁紙(640×1136)

>> PC用ワイド壁紙(1366×768)

>> PC用壁紙(1280×800)

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