pour la paix(プールラペ)のナリタチ、カタチ。

ふわふわもこもこ。きたる冬じたくにぴったりの、ヒツジそのまんまのような愛らしさが魅力のウール100%バッグ。でもかわいいだけではありません。“日本を愛し、世界を愛する”ちょっと不思議であたたかな『Ena Kuam(エナクアム)』の企画を担当する、久保綾子さんにお話をうかがいました。
なお、2017年秋冬より「POUR LA PAIX」から「Ena Kuam」としてブランド名が変わりました。

>> 「Ena Kuam」商品販売ページへ


【 目 次 】
・ヒツジのまんまの色をした、土に還るバッグ
┗累計1万個以上販売した、冬の定番

・軽くて丈夫、汚れにくさも魅力
┗羊毛本来の撥水効果で、水と汚れに強い
┗丈夫さのヒミツは、“コネ”にあり

・手しごとのあたたかみに、心地よい使いやすさを
・お手入れについて
・ひとつだけの地球にいる自分たちにできるものづくり



ヒツジのまんまの色をした、土に還るバッグ


累計1万個以上販売した、冬の定番



dansko(ダンスコ)フィッティングレポート

刈り取ったまま、ヒツジの毛をそのまんま、草などのゴミだけ丁寧に取り除き、石鹸とお水を混ぜて、こねこねこねこね……と何回も何回もひたすら手でこねこねすると、縫製を一切しないバッグのできあがり。このカラーはどれも染色をしていない、正真正銘ヒツジさんそのまんまの色。染色ではなく、原毛のままの色をミックスして新しいオリジナルカラーを生み出す試みを毎シーズンおこなっている。「混ぜることで素材感が引き立ち、表情が豊かになります(久保さん)」



――ナチュランでも毎年冬にすぐ完売してしまう人気シリーズです。

久保さん 「おかげさまで、土に還るバッグシリーズの販売は累計1万個を超えて、たくさんの方にご愛用いただいています。冬に活躍するバッグなので、ナチュラルカラーのほかにも挿し色として使えるよう、赤やブルーなど鮮やかなカラーもかならず入れています。」

――土に還るバッグ、という名前にも惹かれます。

久保さん 「刈り取ったヒツジの毛をそのまんま使って、石鹸と水を混ぜて人の手でひたすらこねてつくっていますから、材料は天然素材のみですし、機械も使っていません。このシリーズは現在、モロッコとネパールで生産していますが、電力供給が不安定な地域でも、ミシンなしでつくれるバッグをという思いもあり開発しました。環境にもつくり手にもやさしいものづくりを目指しています。」




軽くて丈夫、汚れにくさも魅力


羊毛本来の撥水効果で、水と汚れに強い



dansko(ダンスコ)フィッティングレポート

久保さんが3年間、愛用しているバッグ。「毛玉を2回ほどカットしたくらいで、特にお手入れはしていません」とのことですが、かなりキレイ。「冬は雨でも毎日のように自転車のカゴに無造作に入れて使ってきたので、けっこう擦れているはずなのですが、フェルトが薄くなっている箇所は見当たりませんし、型崩れも汚れもないですね」



――淡い色味の展開も少なくないので、汚れを気にされるお客さまもいらっしゃるかと思いますが。

久保さん 「そうですね、よく質問されます。ヒツジの毛にはもともと、人間と同じく脂分がありますので、そのままでも水をはじきますし、汚れを防いだり、汚れても落としやすい作用があるんです。ウール100%のセーターなんてまさに水が浸透しにくいですよね。
また、3年間使ってきた私物を見ていただくのが一番かなとも思いますが、特別なお手入れをしていなくても、こんな感じです。」

――ほんとだ、間近でみてもすごくキレイです。

久保さん 「水や汚れを気にせずに使えるという点では、布や革製のものよりも、フェルトは気兼ねなく持ちやすい素材だと思います。」




丈夫さのヒミツは、“コネ”にあり




――とてもかわいらしい外見なので、ちょっとひ弱そうにも思っていましたが、すごく丈夫なんですね。久保さんの私物を拝見して納得です。

久保さん 「弱そう……というのもよく言われます(笑)。でも本当に丈夫です。下に写真とともにフェルト生地のつくり方を簡単にご紹介しますが、ひたすらコネる作業がすべてで、それを繰り返すことで密度があがり、耐久性につながります。」

――本当に、ものすごい密度ですよね。でも軽い。

久保さん 「そうなんです、軽さも喜んでいただいて、さまざまなバッグを使って年齢も経験も重ねてきた世代のみなさまには、軽さは特に評価していただいています。」



dansko(ダンスコ)フィッティングレポート

あのモコモコフワフワのヒツジの毛が、ミシンはおろか針も糸も使わずバッグのかたちになるなんて、どのようにつくっているのでしょうか?
「まず、色の異なる羊毛を少しずつずらしながら重ねることから、バッグづくりがはじまります」


dansko(ダンスコ)フィッティングレポート

石鹸水を使って手でこねていくと、3色の羊毛が縮絨しながらつながり、1枚のフェルト生地に。天然の材料と人の手だけで生地ができあがる。さらにこねる作業を続けていき、型で成形するなどしてバッグのかたちに。


dansko(ダンスコ)フィッティングレポート

耐久性をあげるために、しっかりとした厚みをキープできるよう、こねる時間と回数はとにかく多く。ウールの分量もたっぷりと。表面がフワフワしたままだと毛羽立ちやすく、毛玉が出来やすいので、ある程度のかたさになるまでしっかりこねて、チェックもぬかりなく。
「お日さまにかざして、光がもれてこないかをひとつずつ点検します。現地でチェック、日本に入ってきてチェック、出荷するときにもチェック。チェックチェックチェック!です(笑)」



手しごとのあたたかみに、心地よい使いやすさを


久保さん 「肌触り、軽さ、持ち手の感触を重視してデザインしています。肌に触れる感覚は衣類ほど気になるものではないかもしれませんが、心地よく、より永く持ってもらえる素材感を追求しています。
持ち手はコートを着ても肩掛けしやすい長さにして、口を閉じるマグネットや内ポケットもつけました。」



dansko(ダンスコ)フィッティングレポート

持ち手と本体をつなげるのも、手でこねる作業のみで、縫製なし。
「過去に一度だけ、持ち手がちぎれてしまったことがありましたが、それからはこねる時間をさらに長くして、チェックも厳しくおこなって。現地スタッフの努力のおかげで、それ以降は一切ありません」


dansko(ダンスコ)フィッティングレポート
dansko(ダンスコ)フィッティングレポート

「ポケットも石鹸水でこねてつけています。三辺だけがくっつくように、あいだに一回り小さいシートをはさんで。こねていくうちに真ん中につけたはずのポケットがどんどん左右上下にずれていくこともあったりして、実は地味に高い技術が必要です。ポケットに限らずバッグ全体の寸法と柄のバランスも調整しながらこねていきますから、作業は単純でも本当に難しい仕事なんです」


dansko(ダンスコ)フィッティングレポート

マチを多くとるデザインも、使いやすいバッグの条件として、プールラペがこだわっていることのひとつ。
「ポップでライトな雰囲気のルックスなので、使い勝手は二の次のように思われる場合も多いですが、私が“カバン”にあってほしい最低限のポイントはクリアできるよう試行錯誤しています」


dansko(ダンスコ)フィッティングレポート

懐かしさも感じるフェルトとニットのコンビシリーズ。ニットもウール100%にこだわり、かつニッターによるハンドメイド。
「わたし自身、編み物はできないのですが、商品化までの工数を減らすために本で研究して、必死で編み地の図案を描きました(苦笑)。それでも2年がかりでようやくイメージする雰囲気に仕上がり、今シーズンから販売をはじめられました。がんばったかいあってか、とてもよく売れています」



お手入れについて


dansko(ダンスコ)フィッティングレポート

毛玉ができたら引っ張らないで、ハサミでカット。



久保さん 「お手入れは先ほどもお話したとおり、毛玉をカットするくらいでしょうか。引っ張ってとることを繰り返すと毛の量が減ってしまってしまうので、ハサミでカットしてあげてください。
シーズンが終わってしばらく使わない間は、防虫剤を一緒に入れて、なるべく湿気の少ない場所に保管してください。水分を含むとびっくりするくらい原毛のにおいが出てしまうことがあるので、ご注意ください。
あと水分を多量に含んで一気に乾燥させると、衝撃的に縮んで別のものになる恐れがありますから(笑)、洗濯機でのお洗濯もおやめください。3分の1くらいに縮んじゃいますので。」





ひとつだけの地球にいる自分たちにできるものづくり


dansko(ダンスコ)フィッティングレポート

プールラペのバッグをつくる会社『Petit Souk(プチスーク)』を6年前に友人と立ち上げた久保さん。プールラペはフランス語で“平和のために”、プチスークはアラビア語とフランス語を組み合わせた造語で“小さな市場”という意味をもつそう。コーヒーをめぐる循環型のアップサイクルバッグをつくるプロジェクトや、昔ながらの製法とレシピで梅干しをつくる、いなか梅研究所を立ち上げるなど、小さな市場は大忙しながら、とても楽しそう。



――久保さんがプールラペのバッグをつくりはじめたきっかけをおしえてください。

久保さん 「前職から海外出張が多く、主に中国生産を担当していました。もう説明がいらないくらいかと思いますが、日本をはじめ世界中で売る服や靴やバッグを大量に生産するために中国の環境汚染はひどくなる一方で、ひと昔前の日本のように経済発展のためには仕方ない、という風潮が根付いていました。当時取引のあった工場長は、星なんか50年前からみえたことがないと話していました。まだPM2.5という言葉は聞かない頃でしたが、毎日曇りで、その天気は汚染物質が原因で、結局いまその被害が日本に跳ね返ってきているんですよね。そういうものづくりはもうしたくない、と思ったのがきっかけです。」

――中国製=大量生産、価格が安い分また大量に買って捨てて、環境に対して悪いことばかりですね。

久保さん 「ひとつだけの地球にいる自分たちにできることはなにか。ちょっとしたことでもひとつ気をつけると何かが変わっていくと思うんです。
現在はプールラペで主に羊毛を使ったバッグをつくっていますが、そこでも動物を扱ってものづくりをする上での問題が溢れかえっています。まずはつくる側が注意していくことが大切と考えて、お客さまと世界を結ぶ架け橋になりたいと、日々奮闘しています。」







>> 「Ena Kuam」アイテム一覧

Ena Kuam 売れ筋ランキング
[ベスト10]
 

1位

リンネルメゾン ランキングアイテム1位

読込中

-

2位

リンネルメゾン ランキングアイテム2位

読込中

-

3位

リンネルメゾン ランキングアイテム3位

読込中

-

4位

リンネルメゾン ランキングアイテム4位

読込中

-

5位

リンネルメゾン ランキングアイテム5位

読込中

-

閉じる