冬にあえて持つカゴのたのしみ方も浸透してきた最近ですが、やっぱり夏のバッグといえばカゴ!バスケット!ということで、コラボレーションライン『lapu-lapu+takaneco(ラプラプ+タカネコ)』のデザイン監修をつとめる、かご作家・takanecoさんと、オリジナルライン『lapu-lapu』と『lapu-lapu+takaneco』マネージャーの野中さんにお話をうかがいました。
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ラプラプ+タカネコの
ナリタチ
ラプラプを運営する『TRION(トライオン)』では、20年近くバスケットの製造を続けています。
バスケットづくりに不可欠なラフィアやアバカなど良質な天然素材が豊富に揃うフィリピンに工場を持ち、日本だけなくヨーロッパ市場に向けての生産もおこなっていました。
ラプラプのブランド名でコレクションを発表し始めたのが2000年頃より。少しずつラインナップを増やし2005年から本格的に始動しました。
ブランド名は、フィリピンでたいへん馴染みのある言葉が由来です。フィリピンの国民的英雄であるラプラプ王、お魚にもラプラプという名物魚がいたり、セブ島のラプラプ市、またトライオンのフィリピン工場の宿泊施設がある目の前の通りがラプラプストリートであったりと、フィリピンのあらゆるところで目にする機会の多い「ラプラプ」。可愛らしい響きから女性らしさも感じられ、ロゴにしたときにも温かみがあるということで名付けられました。
タカネコさんとの出会いも、ちょうどブランド名がラプラプに決まる頃でした。
大手バッグメーカーからの退職を機に、トライオンとのお仕事がはじまります。はじめはトライオンが主力としていた革モノのバッグデザインを担当しながら、のち2009年春夏より「ラプラプ+タカネコ」をスタート。
フィリピンで長年培われたバスケットづくりのノウハウや、豊富な天然素材を活かしながら、カゴ作家・タカネコさんの手しごと感が味わえるバッグは瞬く間に評判となり、2014年の今年、6年目を迎えました。
(写真上)takanecoさんの名前の由来は、本名・貴音(たかね)さんを「タカネコちゃん」とおばあさまが呼んでいてご自身も気に入っていたことから。また、作品を発表するときにつけていた「タカネコレクション」という意味合いもかけて。猫がすきなの?とよく聞かれるそうですが、それはあまり……(笑)とのこと。
ターゲットは、
ずばり「タカネコ」
タカネコさんがバスケットづくりの面白さに目覚めたきっかけは、東京芸術大学在学中に受けた「バスケタリー」というカゴをアート作品として制作する分野で活動している先生の講座でした。
専攻していた染織は、まず生地を仕立てるという平面の創作なくしてはじまりませんが、いきなり立体に仕上げていくバスケタリーの楽しさに魅了されていったといいます。何をつくろうと言うのでもなく、ただ組んだり編んだり立体を造形していく面白さを、たくさんの人に伝えられたら――。そう考えたときに、誰の生活にも身近で、もともとタカネコさんも好きだったバッグとして提案することへと結びついていきました。
そのため今も創作にとりかかるときは、ちょっと編んでみよう、やってみよう、からはじまることが多いそう。鎌倉を拠点に活動しているタカネコさん、大阪にあるトライオンと、工場があるフィリピン。それぞれ離れた場所でひとつのバスケットを仕上げるためにも、実物に近い状態でイメージを共有することは一番の近道でもありました。
そのひとつが「ペーパーサンプル」と呼んでいる、クラフト紙やテープ、針金を駆使して作り上げる、タカネコさんが編み出した必殺ワザ。
一気に立体へ仕上げていくバスケットは特に、数字や寸法だけを指示するパターンなどでは伝わりにくい部分が多いため、サイズ感や丸み、ボリューム感の見本として提示します。フィリピンまで形を崩さずに輸送するための梱包はなかなか骨が折れるそうですが、最近ではほぼペーパーサンプルと変わらないファーストサンプルがあがり、効率の面でも欠かせないやりとりに。
やり直しというマイナスをなるべく排除し、高くなり過ぎない価格設定で素敵なバスケットを届けたいという思いを実現できているのは、タカネコさん自身が作り手であるからだと野中さんは話します。
「メーカーとしてほかのデザイナーとの関わりもあるなかで一番違いを感じます(野中さん)」
みずから作るからこそ、分かりにくい作りやすいのポイントが分かって、先回りして準備してくれるというタカネコさん。効率がコストになり、作りやすさが品質の安定につながるため、作る側にも、わたしたち買う側にも大いなるメリットを与えてくれます。
効率はよい商品づくりに欠かせない要素ですが、ラプラプ+タカネコの人気の理由はもちろん、オリジナリティあふれるデザイン性です。
ラプラプ+タカネコのターゲットは「タカネコ」である、と野中さんは言います。タカネコさんが持ちたい、欲しいと思うバッグをつくること。
「洋服はベーシックなものが多く、あまり流行を追ったりしないので、バッグで気分を変えています。だからバッグに関しては気が多いほうかも(タカネコさん)」
とはいえ、いま売れているブランドにはバッグであっても疎いところがあると野中さんにバラされてしまったタカネコさん(笑)。だからこそ一緒につくっていて楽しいし、そうであってほしいと野中さんは思っているそうです。
「いわゆるマーケティング資料や販売実績などメーカーとして情報は渡しているけれど、数字から分かることではタカネコさんにやってもらう意味がなくなってしまう。全部が全部オリジナルです、というのは今の世の中あり得ないけれど、気にしすぎると見たことあるバッグになってしまうから(野中さん)」
世の中の一時的なトレンドではなく、この雰囲気のバスケットだったらラプラプ+タカネコだ、と言われるところをやり続けていきたい、とお二人は話します。
思いが伝わるバスケットづくりを目指して
「革と同じで使うほどに天然素材特有の自然なツヤが増してきます。普段のお手入れはあまり気にしなくても大丈夫(タカネコさん)」
ただ湿気は大敵なので、シーズンが終わってしばらく使わない時期がきたら軽くホコリなどをはたき、しまう前に陰干しをして熱が冷めたら、カラッとした日にしまうようにしているそうです。
ラプラプ+タカネコをはじめた頃は、ひと夏だけ使ったら捨ててしまうような、消耗品のイメージがついた安価なバスケットが広く出回っている時代でした。
しかしラプラプ+タカネコでは、5年も10年も使える素材選びをして、こだわるから価格もあがってしまうけれど、だからこそ持ちたいと思うお客さまに向けたバスケットづくりをしていこうと決めていました。
また立体物であるがゆえに壊れやすいという印象を持たれるため、強度面も徹底して考えつくられています。そのため不良率は圧倒的に低いと、各販売店からの評価も高いラプラプ+タカネコのバスケット。ほぼゼロに等しいケースはバスケットではなかなかあり得ないことだそう。
大切につくっている気持ちが伝わり、心をこめて使ってくれるお客さまの思いも合わさって、壊れにくいラプラプ+タカネコのバスケットは完成しています。
ソフトミックスラフィア
夏の景色に映える鮮やかな配色の、軽くてたくさん入るソフトタイプバスケット。配色やモチーフを少しずつ変えながら、2010年春夏から6シーズン続く、幅広い年齢層の方にとにかく売れている人気シリーズです。
本体に使っているラフィアは繊維の強度が高く、使うほどしなやかにツヤが増す天然素材。柔らかな繊維であるほど高品質とされています。ハンドルは、重くなっても手や腕に負担がかかりにくいよう、内縫いにしたソフトレザーを四つ編みにして、幅広に仕上げています。
今シーズンより取り外しができる底板付きに。ふにゃっと袋のように持つラフさが好きで、形を出すような芯材は基本的に張り込まないというタカネコさんのバッグ。ですが、この大きさだと中に入れたものが動いて落ち着かず取り出しにい、底が欲しい、というお客さまのご要望にお応えして、使わないときはたためる取り外し式に改良がくわえられました。
スウィートマロン
同じくモチーフを変えながら、何シーズンも愛され続けている人気シリーズ。今回のモチーフはスクエア型にして、甘さを抑えた上品な印象に。3色のコットン糸を使って編みあげたニットモチーフは、バスケットを保護する役割も兼ねています。これも編み図で指示するのではなく、タカネコさんが実際に編んだモチーフをフィリピンのニット担当がピロピロとほどきながら、編み方やテンションまで再現!
バスケットの大きさは3種類。一番小さなタイプと真ん中のタイプは、レザーパッチでハンドルをつなげています。一番大きなタイプは、ベルトを通すための丸い穴をあけながらバスケットを編んでゆくという、決して簡単ではない技術が使われています。パッチのように革を後付けするデザインばかりになってきてしまったので、これまでと違ったディテールにしてみたいと挑戦したデザイン。生活のなかになじんでいくようなバスケットをつくりたいと、ハンドルはすべて倒れる仕様にして、収納の際に邪魔にならないよう工夫されています。
クラシックラフィアブレード
バスケットというなかでいろいろやってきたので、新しいことがしたいとトライしたシリーズ。ラフィアハットでお馴染のラフィアブレードを使い、従来のよく見かけるクルクルと巻いてかごにした作りではなく、平たく帯状に編んだものを、さらに格子状に組んでいます。組むことで何重にも材料を使うので、ちょっと贅沢なバッグでもあります。そのため重さも心配されましたが、それほどでもなく商品化に踏み切りました。
野中さんから見ても、いろんな新しいテクニックが凝縮されて、手間がかかる作業工程も少なくなかったそう。
ベトナム雑貨でよく目にするキッチュなプラカゴの組織ぐみを参考にしていますが、縁取りや持ち手の補強に使っているレザーやラフィアの天然素材が持つ、落ち着いた雰囲気も相まって、不思議な印象のするバスケットです。
レザーバスケット
丸手ハンドルを中心にして放射状に組んだ舟形バスケットからイメージしたレザーとリネンのバッグ。A4サイズの書類や雑誌など角ばった荷物もラクラク入る大きさ。ラプラプタカネコを代表するシリーズです。
ファーストサンプルあがってすぐにコレはいける、かわいい!と手ごたえを感じたそう。このバッグもお客さまからのリクエストを取り入れながら進化を続けています。
春夏にはカゴ、秋冬にはレザーバスケットを、という発想で秋冬より販売を開始したため、中のバッグは当初、冬らしいツイードのウール素材を使っていました。その後好評だったため春夏バージョンも出そうと、レースっぽい質感のものや、生成りのコットンなどいろいろ試してきたなか、現在は通年で持てるベーシックなリネンに。スナップでレザーバスケットから着脱できる仕様になっています。
またもうひとつのポイントはサイドポケット。リネンバッグのファスナーを開け閉めしなくても、すぐに出したいものが納められて便利。本体に沿った深めのデザインで一体感があり、ポケットポケットしていない感じも全体の上品な印象を損なうことなく機能性を果たしています。
フラップポケットなので、フタができ中身がこぼれてしまうこともなく安心、フラップ部分がぴょこっと立ちあがった姿も可愛らしいです。
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