leatheria(レザリア)のナリタチ、カタチ。

革のプロであるタンナーから誕生したファクトリーブランド「leatheria」。革を知りつくし、天然皮革がもつ本来の個性を活かしたレザーアイテムの企画・デザイン、生産までを担当する加藤雅信さんにお話しをうかがいました。

WEAR THE SHOES,RULE THE WORLD!!!

「革の匠」がつくるレザーアイテム

江戸期以来の職人文化と、明治期は金属加工、ガラス製造、繊維、皮革など軽工業発祥の地として、ものづくりの伝統が今も受け継がれている東京都・墨田区。
「leatheria(レザリア)」は、墨田区で60年以上の歴史を持つタンナー(皮革製造業)・「ティグレ」から2010年に誕生したファクトリーブランドです。
ティグレには、さまざまなブランドからオーダーがあり、ナチュランでもおなじみの「chou chou de maman」「TODAY'S」などもティグレの革を使っています。

加藤さん(写真一番下) ナチュラル系ブランドへの素材提供はたしかに多いですね。ハンドメイドでぬくもりのある革や、アジのある革を得意としているからでしょうか。 タンナー・ティグレとして革づくりで培った製法を元に、染色や仕上げをほどこした他にはないレザーアイテムをレザリアでは追求しています。

――ブランド名「leatheria」は、【leather】に、イタリア語で製革業をあらわす【conceria】を組み合わせた造語なんですよね。

加藤さん 革と製革業を多くの方々に知っていただきたいという思いから名づけました。最近、デザインはバリエーション豊かで素敵なものが多いのに、革自体に、はっとさせられるようなレザーアイテムが少なくなっていると感じます。革を知り尽くした私たちが、革から企画するというタンナーならではのアプローチで、革の個性をあじわえるレザーアイテムを提案していきたいと思っています。

ターゲットはずばり「タカネコ」

“まるで革を染めるかのように”バッグを染めていく

「製品染め」というシリーズの革はすべてヌメ革で統一しています。ヌメ革とは、植物のタンニンでなめす(鞣す=皮を革として利用するために必要な作業)ため環境にやさしく、使い込んでいくうちに自然なあじわいがでてくる革です。

――植物タンニンなめしとは、どのようなものですか?

加藤さん 草木染めはご存知ですか?名前の通り、草や実や花のほか野菜や果物など身近な植物から抽出した色素で染め上げる手法です。植物タンニンなめしも草木染めのようなもので、動物の“皮”を“革”として使うために、植物のちからを借りて革を生成する方法です。天然の素材どうし合わさることで、革の自然な表情が引き出されます。

――通常ではなめした革はこのあと、染色や塗装などをほどこしてから、裁断、縫製を経てバッグやシューズといった製品に仕上がっていきますが、レザリアの「製品染め」シリーズは順番が逆なのですね。

加藤さん バッグのカタチに仕立ててから染色する方法ですね。革のまま染める過程ではまず起こりえない、バッグという立体物だからこそ生まれる偶然が、ナチュラルなムラやシワをつくりだします。だからひとつとして同じものがありません。洗いざらしの風合いや深みのあるツヤも表現できますし、なにより“バッグを加工する”わけですから、長く使い込んできたかのような雰囲気がとても自然なんです。

またリベットやファスナーなどの金属部分は、真鍮にレザリア独自のヴィンテージ加工をほどこした金具を使用しています。よくあるものは、真鍮にメッキをしてアンティーク風にみせているのですが、レザリアの金具は化学反応を起こして錆びや腐食を再現しているので、実際に使い込んだナチュラルなヴィンテージの風合いがあるんです。

製品染めはヴィンテージのような仕上がりが魅力でもあるので、小さなパーツでもリアルな経年変化を出して、雰囲気に一体感を与えて 。革の加工で蓄積してきた知識がベースにあるので、ほかのメーカーではやらない、やれない仕事をやっている点も、レザリアの違いだと思っています。

思いが伝わるバスケットづくりを目指して

メイド・イン・東京のものづくり

――ティグレは1948年から今年で66年、革づくりを続けているんですよね。

加藤さん 前身は加藤産業株式会社という屋号で運営していまして、20年くらい前までは今の工場のおよそ5倍ほどの敷地で、一度に1,000枚もの革をなめすくらい大きな規模でやっていました。時代のうつろいとともに、排水処理など行政からの指導が増えたため、現在は“なめしのレシピ”を他社へ分業して、ティグレでは特徴的な革を小ロットで生産する体制に変わってきています。

――ほかにも変化を感じていることはありますか?

加藤さん 東京は特にタンナーが著しく減ってきています。職人が少なくなっていることと、なめしは大量の水を使うなど非常にコストを要するので、経費面からも廃業せざるをえない企業が増えているのです。

――今回、工場を見学させていただいて、たしかにたくさんの水を使っていることに驚きました。

加藤さん ドラム(太鼓ともいう)という大きな洗濯機のようなものをぐるぐる回して、なめしや染色をおこなっています。どちらの工程にも多くの水が不可欠で、このあたりを“水場”と呼んでいます。水場を担当している職人の山川さんは40年近く、加藤産業の時代からティグレの革づくりを支えてくれています。

――40年!この木製ドラムもすごく年季が入っていますが、どのくらい使っているのですか?

山川さん(写真一番下右) 私が入ったころはすでにあったので、もしかしたら創業当時から使っているのかもしれません。いまは大きなドラム1台と小さなドラム2台で、さまざまな色の革を染めていますので、色移りのないようにとか、木が乾いてひび割れしないようにとか、手入れはいつも欠かせません。

ソフトミックスラフィア

職人が1点1点に吹きこむ息吹

――製品染めで特に苦労されていることはありますか?

加藤さん 染料は粉を配合して、レザリアオリジナルのカラーをつくっています。小さなほうのドラムで1回に10~15個くらいを染めているのですが、別の回や別の日に染めたバッグすべての色や品質を一定に保っていくのは実はたいへんな仕事です。気温や水温に応じた配合など、日々データをとりながら長年の経験と知識を蓄積して、山川さんがしっかり管理してくれているおかげです。

山川さん バッグは“生き物”なので。革は平面で均一に染まりますが、バッグは立体物ですから、ドラムのなかでバッグどうしぶつかり合ったりしていると、染まり具合が違ってくるんですね。ひとつひとつの個性としてたのしみながらも、気を配るところです。

加藤さん タンナーとしてさまざまなブランドのオーダーに応えてきたからこその、ほかではなかなかできないレザリアの特徴だと思っています。
そして染めたあとは乾かす工程に入りますが、そのあいだに成型する作業もあります。家の洗濯物のようなクシャクシャな状態なので、手で1点1点シワを伸ばしてから、だいたい3日間くらいかけてビニールハウス状の乾燥スペースに入れて、自然乾燥させていきます。

――乾燥スペースも、てづくりなんですね。

革が硬化しないようゆっくりと乾かしたくて。できるだけ自然な状態でしっとりとやわらかく革を仕上げるために、このスタイルにいきつきました。
乾いたら、またひとつずつ手作業でオリジナルオイルを塗り込んで、磨いたり時間をおいてなじませたりしながら、ツヤやツートンの表情を出し仕上げていきます。

思いが伝わるバスケットづくりを目指して

革をいちばんに考えたデザインとお手入れ

――デザインのポイントをおしえてください。

加藤さん もともとが革メーカーなので、やっぱり革がメインとなるようなデザインに、とは考えています。
革が本来もっている、でもみなさんが知らない革のユニークな特徴をだしていこうというのがレザリアのベースにあります。
また、素材をたいせつに考えると自然とカタチを作り込み過ぎることもないので、特定のスタイルにしか合わないようなバッグではなく、すそ野が広い提案ができているのではないかと思います。ファッションの一部として馴染みやすく、でも存在感がある。また性別も問わず選んでいただけるよう、ユニセックスな雰囲気も心がけています。

――革のユニークな特徴?というと、たとえば?

加藤さん たとえば、大量生産になるほど均一を目指すため、同じような表情のものをたくさんつくるようになります。傷を隠すために塗装したり、型押しで生産効率をあげたり。これはおもしろくないのでレザリアではやりません。傷やシワは革が生き物である証しです。せっかく天然皮革を使うのに、合皮のように同じ表情にするなんてつまらないです。
職人の山川さんともよく「これすごくいい傷だね」という話をするんです。部位もそれぞれ好みのところがあったりして。うちが思っている“いいもの”を、もしよかったらどうですか?という提案をしていきたいのです。

――洗える革も、そのひとつでしょうか?

加藤さん ウォッシャブルレザーは新素材のように取り上げられることもありますが、実は以前からある革なんです。バッグよりも洋服で革パッチのようにつけることがあるので、そちらだとピンとくるのではないでしょうか?
レザリアでは今回スウェードタッチの風合いに仕上げましたが、通常のスウェードに使う染料ではなく、ウォッシャブル用に染料もオイルもいちから開発しました。洗っても型崩れがしにくいよう、仕立てにも工夫をしています。

――洗い方で気をつける点はありますか?

加藤さん まず表面についた汚れをブラッシングで取り除きます。ぬるま湯に中性洗剤を溶かして手洗いして、脱水は洗濯機で1分。だらだらたれる水分を切るくらいで止めてください。あまりかけすぎるとシワになったりアタリがでてしまうので。そして陰干しです。シワをしっかり伸ばして、インナーを出して乾かしてください。インナーから乾いていくと思うので、乾いたらインナーを元にしまって、かたちを整えます。
また汚れを落とす目的のほかに、水に通すことで変わる風合いの違いもたのしんでほしいです。

――製品染めシリーズのお手入れについてもおしえてください。

加藤さん 製品染めに関しては、オイルをけっこう塗っているので布で磨いてもらうだけで十分です。最初はとにかく使うこと。使うこと自体が革にとってよいケアになります。
防水スプレーも個人的にはいらないと思っています。素肌のようにナチュラルな革の風合いを人工的な膜で覆うことになるので、質感を保ちたい自分は使いません。雨の日に持たなければいいので(笑)。万一濡れてしまってもオイルが塗ってあるので、ほとんど雨染みにはならないのでご安心ください。
どうしてもなにかしたい、という方は「ラナパー」はいかがでしょうか?ドイツのとてもポピュラーでオールマイティなクリームで容量もたっぷりあるうえ、1回の使用は米粒くらいを伸ばしてなじませればよいので、ひとつあるといいかもしれません。
修理については、ステッチのほつれなど可能な限り対応しますが、製品染めなので糸を変えることで雰囲気が変わってしまう恐れがあります。一度状態をみて、どう直すかを提案させていただきます。



おみやげをいただきました。kapuwaロゴバッグを先着40名さまに、秋冬定番ラインを抽選で3名さまにプレゼント


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