leatheria(レザリア)のナリタチ、カタチ。

バッグブランド「charm」と、ジュエリーブランド「siki」「microsa by SOWACA」の3ブランドが合同でオープンした、ショップ兼ワークスペースにお邪魔しました。

ターゲットはずばり「タカネコ」

「 3 」のナリタチ

昨年、2014年10月にオープンしたばかりの「3」は、東京・神田のオフィス街に並ぶビルの3階にあります。

江戸期より、職人の町として栄えてきた東京。現代でも、作家やものづくりに携わる企業支援のため、スペースの提供やイベントの開催が都内各区で活発におこなわれています。

「3」が入っているビルも、ものづくり支援の一環として貸し出されていて、入居の条件は“ものづくりをおこなう団体や個人”。ほかのフロアにはアパレルやweb、アニメーションに関わる会社や団体が入居しています。

もともと知り合いだった羽多埜さん(charm)、鯉渕さん(siki)、小岩さん(SOWACA)は、偶然同じ時期にアトリエを探していたそう。民家やインキュベーション施設、共同アトリエなどさまざまな物件をみてまわっていたさなかに出てきたこの神田の物件は、3人の間でたちまち話題にあがりました。

立地の良さもあり倍率が高く、審査もたいへんだったそうで、入居がきまったときはとてもうれしかったと言います。

みなさん自宅の一部をワークスペースとして作業していたため、アトリエを別に構えることで、気持ちの切り替えができて、ぐっと作業に集中できるようになったそうです。

鯉渕(こいぶち)さん 神田という場所もあるのか、早朝から会議をしている会社がのぞき見えたりして、わたしもがんばらなくちゃと前以上に思います。毎日緊張感をもって仕事ができる場所です。

小岩さん ひとりでアトリエを探しているときから、共同だといいなと思っていました。もくもくとそれぞれが独立していながらも、全体を包む空気といいますか。三人だからできる理想の空気感のなか仕事ができて、とてもありがたいです。

思いが伝わるバスケットづくりを目指して

――「3」はどう読めばいいでしょうか……?

羽多埜(はたの)さん 自分たちでは「サン」と呼んでいます。でもお好きなように呼んでいただいてかまいません。3人ではじめたり、3階にあったり、点が3つになってはじめて線からカタチになるなど、ほかにも「3」にまつわることが多いような気がして「3」にしました。

――階段やエレベーターやドアなどからも時代が感じられる、レトロな雰囲気のビルですね。

小岩さん 具体的な日程は決まっていないのですが、いずれ取り壊す予定が決まっている期間限定物件なんです。そのためか内装は自由に変えていいということで、自分たちで壁を白く塗りなおしました。ショップスペースの什器も手づくりです。当初はアトリエのみで販売は考えていなかったのですが、せっかくなのでショップも設けてみました。東京駅が近いので、さまざまな場所からお客さまにいらしていただけています。
ショップの営業は金土日と祝日の12時から19時まで、金曜を除く平日はお休みですのでご注意くださいませ。

(写真一番下)羽多埜さんご愛用のsikiとmicrosaのジュエリー。揺れるタイプのピアスはsikiの文字シリーズ。ショップでのオーダーももちろん可能。ぜひお運びください。

<3>
東京都千代田区内神田1-16-6 岡部第2ビル3F
営業日:金・土・日・祝
営業時間:12:00-19:00

ここからはブランドごとにインタビュー。ブランドのナリタチや、みなさんが日々のものづくりのなかで商品にこめている思いなど、ご紹介していきます。


leatheria(レザリア)のナリタチ、カタチ。leatheria(レザリア)のナリタチ、カタチ。leatheria(レザリア)のナリタチ、カタチ。

leatheria(レザリア)のナリタチ、カタチ。

平面が立体に。海外の方にも好評の不思議なカタチ。


――カタチのユニークさにまず目がいきますね。
羽多埜さん わりと海外の方がおもしろがってくれて、日本のおみやげとして買っていかれる方もいらっしゃいます。

――何も入れていないときは平面で、ものを入れたり持つと立体になるところが、着物を思わせますね。
羽多埜さん たしかに実際、着物や浴衣など和装に合うと好評です。あと、たたむと小さくなるし軽いので、旅先のおでかけ用に使うバッグとしても重宝されています。

――このカタチを考えられたときのお話しをおきかせください。
羽多埜さん 丸いバッグをつくろうと思って。でもただ丸いカタチならすでにたくさんあるので、持ち手の位置を真ん中にしてみたらマチはないけど立体的になる、不思議なまあるいバッグができあがりました。そこから同じ考え方で四角いバッグも、とバリエーションを増やしていきました。



肌触りがよく洗える、洋服のようなバッグ。


――先ほど着物のようだと表現しましたが、もともと洋服をつくられていたんですね。
羽多埜さん 大学はファッションデザインを専攻していて、アパレル会社に勤めていました。そのせいか、バッグにも洋服の要素を意識して入れてしまうんです。

たとえば、バッグの機能としては必要ないのですが、コートやジャケットのようなすべりのよいツルツルの生地を使って総裏地に仕立てています。生地の呼吸をとめてしまわないように、芯地は使わずに仕様にも注意しています。

芯地を使わない理由はもうひとつあって、汚れが気になったら洗えるように。わたし自身バッグでも洗いたいタイプなので。また、洗わなくても水に通すだけでも生地の雰囲気が変わってきますので、質感の変化もたのしんでほしいです。あと、芯を入れないから軽い、というのもあります。

leatheria(レザリア)のナリタチ、カタチ。
――sikiの鯉渕さんが、細部へのこだわりと、肌触りのよさ、生地の裏側を表に使っていたり、アイディアをこっそりしのばせているところがいつもすごいな、と感動しているそうですよ。
羽多埜さん うれしいです(照)。
洋服のように、と考えるとやっぱり肌触りもはずせないポイントなので。生地はオリジナルでつくったり、市販品も使っています。一枚の生地で柄が変化している生地は、フランスから仕入れています。ひとめぼれして、間に入ってくれる会社をつきとめてやっとの思いで購入にこぎつけました(笑)。裏も表も使えてバッグにすると表情が変わる、おもしろい生地です。フランス生まれですがこれも着物に合わせる方が多いですね。

オリジナル生地は国内で、織り方によって得意とする工場を探してつくっています。コットンやリネンなど天然繊維をメインに、やわらかさや光沢などの質感も気にして、織るテンションの加減もすべて指示します。

――テキスタイルデザインとバッグのデザインは、どちらを先に考えているのですか?
羽多埜さん 最終的なカタチを頭に描いてからテキスタイルづくりに入ります。カラーバリエーションもいつも3~4色は考えます。グレー系、茶系、紺系、黒系を基本に、様々なコーディネートに合わせやすいように色にも欲張っているほうかなと思います。

――生地だけでも売ってほしい、というお客さまもいらっしゃるのでは?
羽多埜さん いらっしゃいますね。以前はインテリアグッズもつくっていたので、機会をみつけてインテリアショップ等でも生地などの販売ができればと思っています。


leatheria(レザリア)のナリタチ、カタチ。

“装うオブジェ” “手のひらにのるアートピース”


――大学では彫刻を専攻されていたそうですね。
鯉渕さん わりと大きな立体物をつくっていました。腰のあたりまである起き上がりこぼしとか。卒業してから、子供向けの造形教室で簡単なアクセサリーづくりの企画をしたところ、自分でつくった作品を身につけた子供たちの表情が、ぐっと自信に満ちてきたようにみえたんです。「身につける」ものは不思議な力を与えてくれるのかもしれない、と思ったことがきっかけで、装身具に興味をもちました。

――その後は独学で?
鯉渕さん いえ、師匠がいます。ある美術館で出合って感動したジュエリーの作者のもとで、いちから学びました。師匠は大きな作品を作る彫刻家でもあるんです。

――ジュエリーは体のラインに合わせて曲線的なフォルムが多くなると思うのですが、sikiは直線というか幾何学的な印象があります。
鯉渕さん 体の丸みにsikiの直線が合わさることで、コンセプトにしている“装うオブジェ”が完成するといいなと思っています。手のひらにのる“小さなアートピース”としても、身につける方の日常をほんの少し彩るお手伝いができたら、と願っています。



たくさんの人に身につけてもらうための工夫


――アルプス山脈の稜線のようなカクカクがたのしいリングをつけさせていただきました。見た目に反して、すっと肌になじみますね。
鯉渕さん 「SEVEN RING」ですね。直線的なデザインなので、その分ひっかかりなどないように、つけ心地にはとても気を付けています。面取りなど完成までに細かな工程がたくさんあるので、このタイプのジュエリーはすべて自分で制作しています。

――「SEVEN RING」という名前なんですね。
鯉渕さん 七角形なので「SEVEN RING」です。円と四角のリングがもともとあって、もっと角度をつけたリングもと思ってつくりました。六角形だと、山谷山谷が交互になっておさまりが良すぎてしまうので、角を奇数にすることでハズした、というかちょっとした違和感を出しています。

leatheria(レザリア)のナリタチ、カタチ。
――男性がつけても素敵ですね。
鯉渕さん はい。男性にも好評です。贈り物にされる方もいらっしゃいます。つけ心地がいいという声は本当にたくさんいただきますので、アクセサリーをつけ慣れていない方へのプレゼントにもおすすめです。

――水仕事のときなどはやっぱりはずしたほうがいいですか?
鯉渕さん あまり気にせず、つけたままでだいじょうぶですよ。表面がとてもなめらかなので、お料理もそのまま、あるお客さまからは「リングをつけたままひき肉をこねても問題なかった(脂もするっと洗い落せた)」とご報告いただいたこともあります(笑)。

また、アレルギーで金属がつけられない方に、シルクコードを使ったネックレスやブレスレットもご用意しています。シルクコードは濡れてもすぐ乾きますので、これもつけっぱなしOKです。汗がついてしまったら水で洗って吊り下げて乾かしてください。

――いろいろバリエーションが幅広いですね。でもすべてsikiらしい共通点があるような気がします。
鯉渕さん どのシリーズも身につけた人の個性がさりげなく強調されるように、余計な装飾を省いてデザインしています。
ピアスもリングもネックレスも、siki同士の組み合わせはもちろん、お手持ちのアクセサリーと重ねづけしてたのしんでほしいです。


leatheria(レザリア)のナリタチ、カタチ。

石のおおらかで力強い風合いとやさしいぬくもりを大切に


――ミクロモザイクというジュエリーが昔からあったのでしょうか?
小岩さん テッセラという小さく砕いた大理石や天然石を用いてモザイク画を描く、イタリアで生まれた技法がミクロモザイクです。古代ローマ時代の遺跡からも発掘されたほどその歴史は古く、繊細で緻密な表現や技術が確立されていき、ジュエリーとして制作されるようになっていきました。
17世紀には富裕層の子息たちが遊学の記念にミクロモザイクジュエリーを作り、身に付けることがステイタスシンボルとして流行し、一世を風靡したそうです。

――イタリアへ行かれていたんですよね?
小岩さん ジュエリー制作を学ぶためにイタリアへ渡りました。イタリアでは彫金でジュエリーづくりをしていて、日本に帰国してミクロモザイクの技法を応用したジュエリーづくりをはじめました。17世紀の時代のミクロモザイクは男性がつけていたこともあり大きさがかなりあって豪華なものでした。microsaはもっと現代的に、小ぶりでつけやすい雰囲気にアレンジしています。

――とても細かい作業がたくさんあるのだと思いますが、特に苦労されている点はありますか?
小岩さん 一番は石をくだく作業でしょうか。土台の大きさで変わってきますが、だいたい1mm四辺くらいのキューブ状にくだくことが多いので、石の性質よってはなかなか思った通りキレイに割れてくれない場合も多くて。コンマ単位でもう少し大きくとか小さくとか調整しながら割るので、刃物を使いますが手袋をつけると感覚が鈍るため、素手で作業します。よくはさんでしまって血豆ができますね……(苦笑)。

leatheria(レザリア)のナリタチ、カタチ。 ひとつひとつに、ストーリーがあるジュエリー

――使っている石などの素材についておしえてください。
小岩さん イタリア産大理石やラピスラズリ、トルコ石、半貴石、ユナカイト、ローズクォーツ……などなど、さまざまな種類の天然石とズマルトというイタリアやスペイン産のモザイク用色ガラスを使用しています。ヨーロッパの教会の内装に使われているモザイクガラスや、金箔をはさんだガラスを使うこともあります。石以外では、天然石のネックレスをつなぐ糸に、ドイツ・グリフィン社のシルクコードを使用しています。

――いろいろな種類の石を使っているんですね。
小岩さん 素朴でうつくしい天然石のぬくもりと強さを表現したくて。
登山が趣味なのですが、金とラピスラズリのシリーズは、山でみる気が遠くなるほどの満天の星空と、イタリア・ラヴェンナのガッラ・プラキディア廟堂にあるモザイク画へのオマージュから制作しました。
石の自然な美しさが表れるように、石によって表面を磨いたり、あえて磨かなかったりと仕上げ方を試行錯誤しています。

――sikiの鯉渕さんも、ひとつひとつスト―リーがあるジュエリーだと表現されていらっしゃいました。着用時に気をつける点があればおしえてください。
小岩さん 水には比較的強く時間がたつほど石が固着されていきますので、普通にお使いいただく分には特にありません。万一、石が取れてしまったなどの場合は修理できますのでご相談ください。

つけ心地に関して、石なので重いのでは?と心配される方もいらっしゃるのですが、オールノットという技法(全ての石の間に玉留めをつくってつなぐ)を用いた天然石ネックレスを含め、ベースの金属を薄くしたり、軽くなるように工夫してつくっていますのでご安心ください。




おみやげをいただきました。kapuwaロゴバッグを先着40名さまに、秋冬定番ラインを抽選で3名さまにプレゼント


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