Trenta sei(トレンタセイ)のナリタチ、カタチ。

さまざなセレクトショップ、ネットショップで完売が相次ぎ、新作を待ち望むお客さまで先行予約販売も大盛況という「Trenta sei(トレンタセイ)」のテープバッグ。秋冬の新作とあわせて「5チアーズ(ファイブチアーズ)」代表の廣(ひろ)さんにお話をうかがいました。

WEAR THE SHOES,RULE THE WORLD!!!

広く愛される
個性をもつかばん

初めて目にするはずなのに、前から知っていたような懐かしさを感じるかばん。シンプルモダンな北欧デザインの雰囲気がありながら、お着物にも合いそうな和の印象も受ける、気になるかばん。
十分な個性の持ち主ですが、さまざまテイストの方、幅広い年齢層へ向けファンを増やし続けている「Trenta sei」のテープバッグ。今年の秋冬には、お客さまからの声も取り入れた、新しい試みがつめこまれています。
ひとつはショルダーストラップ付きタイプが加わったこと。かばん自体の重さを気にする女性は多いものの、軽量化にはあまり重点を置いていないテープバッグは、重い!と言われてしまう場合もしばしばあるそう。重いながらもそれを感じにくく持ちやすくした工夫が、ショルダーストラップを付けることでした。
もうひとつは、1サイズだったテープバッグにスモールサイズが仲間入りしたこと。小ぶりなのをつくってみたら?というお客さまの声から誕生しました。単純に小さいもののかわいらしさもありますが、軽量化にもつながり、リピーターの方にはすでに大好評だそうです
また、シーズン毎に変えているという裏地にカモフラージュ柄を使ったことも初めての試み。裏地はこれまで明るいポップな配色の生地を合わせていましたが、今シーズンはシックな色合いのテキスタイルを選んでいます。
秋冬の新作から、表裏を返してリバーシブルで持てるようにしたことも裏地を落ち着いた色にした理由のひとつ。
「はじめてご覧いただく方にはまず見てかわいい、持ってみたいと思ってもらえるように。また、気に入っていくつもご購入くださっているお客さまには、シーズンごと新しく喜んでいただけるような工夫をと考えています(廣さん)」

(写真一番下)ベルトによく使われる2トーンのテープをカゴ状に編んだテープバッグ新シリーズ。かご編みの技術をそのまま使っているのに、素材を変えるだけで新鮮な印象に。船のイカリをモチーフにしたジャカード織りプリントのバッグも新作。テープシリーズとは逆の、軽さとやわらかさが魅力のかばん。
「かわいいね、とやっぱり思われたり言われたりしたいものだと思うんです、女性は特に。持っているとどこで買ったの?と聞かれるという声はとてもたくさんもらうし、直接感じることもあります」。海外の出張先や旅先にテープバッグを持って写真を撮ることも多く、撮影中に話しかけられたり興味を持たれることが多いそう。

ターゲットはずばり「タカネコ」

テープバッグのナリタチ

テープバッグのはじまりは、たまたま入った海外の資材屋でトレンタセイのデザイナー・上村さんが購入した、数メートルのテープでした。バッグのストラップにしたり、パイピングによく使われるタイプ(写真一番上)のもので、同行していた廣さんはショルダーのストラップにでもするのかな、と見ていたと言います。そんな予想に反し、上村さんはかばんの本体に使用。いままで見たことのないつくりに、何ができたのかと驚いたそうです。
「彼はもともと洋服のデザイナーで、かばんづくりは自分で使う分だけ、趣味の範囲でつくっていました。だからはじめからいままでも、ずっと独学。かばんづくりの既成概念がないから出てきた発想と思いますが、そばで見ていると、ものをつくる能力にたけている、すごく感覚のよい人なんだと感じます」
5cmほどの幅のテープをそれぞれ異なる長さにカットし立体に組み立てていく、多面体のような構造のかばん。カゴを編んでいく作業と近いそうで、組みながら考えていくためデザイン画は一切描いていないとのこと。
「今回スモールサイズをつくるときも、テープを一段はずすだけで大きさや雰囲気がかなり変わるため、つけたりはずしたりを繰り返しながら試行錯誤したようです。これまでつくってきたプロトや試作品はすべて上村個人で保管しているので膨大な数になっているはずですが、勉強熱心で彼らしいなと思います。
今では考えらませんが初期につくっていたかばんを見ると、手縫いのステッチもガタガタだし細かな処理も雑で。ただカタチは美しくて、造形へのこだわりは人一倍強いです。それが逆に困る場合もあって、最初はカタチが変わるからマグネットを付けたくないと(苦笑)。売る側としては口が閉まる閉まらないかが売れる売れないに関わってくるので、ちっちゃいのでいいからちょっと付けてみようよ~、とか駆け引きしながらなんとか付けてもらいました(笑)」

(写真一番下)企業秘密の組み立て方をご説明いただきましたが、取材スタッフ2名まったく理解できませんでした……。こんな構造とは思いもしないけれど、細かな積み重ねが迫力のようなものになって、無意識のうちに「ほかとはなにか違う」というのをお客さんは感じ取ってくれているのかも、と廣さん。

思いが伝わるバスケットづくりを目指して

いいものづくりのために
こだわらないこと

「テープバッグに使っているテープはオリジナルで、必ず3色の糸を使って編んでいます」
はじめはブルーとベージュなど2色の糸を使っていたものの、のっぺりした感じがして、もう1色足してみたところ印象にグっと深みが。
「ぱっと見はツートンにみえるけど実は3色、というのがミソです(笑)」
色の選定は紙に糸を貼り付けて、イメージを膨らませながら決めていきます(写真上から2番目)。紙に置いた状態と実際に編んでからとでは「ぜんぜん違う……」という苦労もたまにあったそうですが、最近はほぼ失敗なくイメージ通りの仕上がりに。
シーズン毎に異なる柄がたのしみな裏地は、中国で最大規模といわれる広州の生地市場にあるお店へ発注しているもの。ヨーロッパの最新トレンドを積極的に取り入れ、海外からの注目も集まるこの市場には、日々たくさんのアパレル関係者が訪れるといいます。
「みんなが行く有名店はあえてはずして、時間をかけていろんなお店をまわります。最近はそうしてみつけた何軒かめがけて見に行っていますが、いつもおもしろい生地をつくっていますね。中国はすごく勉強熱心というか貪欲で、パリで開かれる国際的な繊維・服地の見本市で示されるトレンドは特に意識して反映されているように思います」

ソフトミックスラフィア

生地の生産にあわせて、かばん自体の生産も中国の工場に依頼。元々器用な人が多く、日本からサンプル生産の依頼が増えていることもあり、どんどん技術があがっている中国。美しい丸みのある立体を表現するため、何種類もの異なる長さにカットしたテープを組み合わせていくという、ほぼ手作業で非常に手間のかかる複雑な工程が多いテープバッグも、丁寧かつ効率的につくってくれているそう。
「いいものづくりをするのに国は関係ない、そのこだわりはいらないと改めて実感させられました。以前はやっぱり国産で、と日本の工場にテープバッグを持ち込みましたが、量産はむずかしいと言われて。職人が高齢化し人数も減っているので仕方ないところもあるけれど、日本生産の未来を憂う出来ごとでもありました」

スウィートマロン

つながり、つづける。

トレンタセイを運営する「5チアーズ(ファイブチアーズ)」は、“会長”のYUM(ヤム)さんを中心に動いていると言っても過言ではありません。今年14歳になるチョコラブラドール犬のヤムさんは、人間でいえばおよそ100歳にあたるスーパーご長寿おばあちゃん。体調の心配ごとが尽きない最近は、夏になると涼しい場所を求めて、事務所がある大阪から長野の山荘やカナダへと、避暑に出かけることも少なくありません。
14年前、たまたま寄ったペットショップにヤムさんはいました。元気いっぱいの兄弟に比べて、大人しいヤムさんが気になって仕方なかった廣さん(写真上から2番目)は、1ヵ月悩んで悩んで、ヤムさんとずっと一緒に過ごすことを決めました(この日が8月6日で、ヤムさんの名前の由来)。一緒にいるためにも、と立ち上げた5チアーズも今年で14年め。ヤムさんがもしも居なくなってしまったときは、会社もおわりにするかもしれないと廣さんは言います。
「ヤムを通じてできたつながりがたくさんあります。一緒に築き上げてきたと思っているし、ヤムがいなかったらポストカードもつくれない、年賀状も送れなくなっちゃうから(笑)」
実はすでに会社をたたもうと思った時期もあったという廣さん。信念をもってやっていたけれど、こんなにいっぱいモノをつくって、本当に世の中に必要なのか、と。
でもテープバッグだけは、使いやすい、持っていると褒められます、というお客さまの声がダイレクトに伝わってきて、これだけは残していかなくてはと、トレンタセイの定番としてつくり続けているのだそうです。

(写真上から3番目)ヤムさんのポストカードを、いつも楽しみにしているお客さまも。
ヤムさんの名前のように、会社とブランドの名前も実はゴロ合わせ。会社名は、アメリカ、カナダ、イギリス、香港、日本の5カ国でワイワイものづくりをしよう!と各国の知り合いで集まったことから。トレンタイセイは数字の“36”のイタリア語。そもそも36はブランドスタートがデザイナー・上村さん36歳のときだったから。と、裏コンセプトで廣さんの誕生日3月6日もかかっているそう。また3と6を足した“9”は、花札で一番強い数字で、それもかけているとのこと(欲張り!)。さらに、会社名とブランド名をくっつけて、365日たのしく過ごせますように、という思いも込められています。本当に盛りだくさん!!!



おみやげをいただきました。Trenta seiロゴバッグを先着40名さまに、秋冬定番ラインを抽選で3名さまにプレゼント


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