はじまりは、
“よちよち歩き”から
「trippen(トリッペン)」は、靴職人のマイスター(特別技術資格者)で、医療用矯正靴の製作にも携わっていたミヒャエル・エーラーと靴や服のデザイナーとして活躍していたアンジェラ・シュピーツの2人によって、1992年ベルリンの小さなギャラリーで誕生しました。
「trippen」は“よちよち歩き”という意味です。昔の貴婦人は雨の日に靴が汚れないよう、靴を履いた上からサボのような木靴を履いて“よちよち”歩いていました。トリッペンが最初に発表したウッドソールのコレクションが、この木靴をイメージしたものでした。(写真一番上)
その創業からのウッドソール・コレクションをかたどったレンガは、各国どの店舗も共通で、お店の床に敷き詰められています。(写真上から二番目)
床のレンガ以外にも、白い壁や壁に1足分ずつ開けたスペースのディスプレイなど、内装デザインはすべて統一されているそうです。
1997年9月にオープンした、日本の直営店第1号となる原宿店も同様です。(写真上から三番目)
現在では、直営店6店、インショップ4店を国内に構えています。
――日本への輸入のきっかけをおしえてください。
鈴木さん(写真一番下) 当社「金万」の社長・金子と、かねてより親交のあるピエール・フルニエという、HEMISPHERE(エミスフェール)やANATOMICA(アナトミカ)などパリで伝説と謳われるセレクトショップを手掛けた名物バイヤーが、ある展示会でみつけたことがきっかけです。
ピエールのショップには、アナトミカル(=人体構造に基づく)な思想に根差したハイセンスな服やシューズがセレクトされていて、世界中のファッション関係者から敬愛されていました。
創業当初から独創性と快適さを備えた靴づくりをしていたトリッペンが、ピエールと金子の目に留まるのは必然だったと思います。
トリッペンのスタートは、とても小さな展示会場に数型だけを置く“よちよち歩き”からはじまりましたが、今ではたくさんの人が知るブランドに成長しました。
日本でも黎明期からよい関係を続けてこられたおかげで、MDやショップスタッフの声も尊重してもらい、新しい靴作りにつなげていってくれています。