履き手にも作り手にも、より身近な革靴を目指して
2012年A/Wよりスタートしたユードットは今シーズンでちょうどひとまわり、満1周年を迎えました。
完全日本製、ソールの返りのよさ、踵やつま先に芯材を一切用いないなど、安心で柔らかな履き心地は、外反母趾をはじめとする足の悩みを持つ人々の支持を集め、豊富なカラー展開とサイズバリエーションで男女問わず幅広い層に人気のブランドです。
ブランドコンセプトの「遊び」は、音読みで「ユー」。ブランド名の「U」には遊びのほか、UNIVERSALのU、あなたのYOUなど、「ユー」にまつわるさまざまなメッセージが込められています。
革靴をもっと身近に――。
それは履き手にも作り手にとっても目指すこと、とデザイナーの猪俣さんは話します。
履き手、いわゆるお客さまにとっては、日常を心地よく過ごせる革靴。特別な日のおでかけ靴のように、履いているときも履いたあとのお手入れも負担に感じない靴。
構造を複雑にしていないため、修理もほかの革靴と比べると簡便に済むそう。もし傷をつけてしまったとしても、それも味わい、と思えるようナチュラル感のある良質な革へのこだわりは、日常靴にとってはずせないポイントでした。
また作り手にとって靴作りを職業にするのは狭き門であるという今。専門のスクールを出たばかりの実務経験がない人でも、基本を押さえていれば、靴作りにたずさわれる工程とつくりにしたり、インターンシップも積極的に受け入れています。
革など材料費が高騰してきているなか、クオリティを維持し続けるためには価格を見直していかないと本当は苦しい状況。据え置きにできている理由は、履き手にも作り手にも優しい、真面目な遊びごころが詰まった「U」に秘められています。
(写真中段)コンピュータと連動した自動式ミシンもあるなか、ひと針ひと針を足踏みで落とし縫い上げていく骨董さながらのミシンをいまも操るパタンナー・田村さん。パターン仕事の手が空くと縫製を担当することも。ユードットの商品を猪俣さんとともにつくっている熟練スタッフのひとり。
(下右)中底に刻印されたロゴ「U」の下の部分をよくみるとうっすらと切れていて、猪俣さんがユードットで活動する際のニックネーム「TJ」の文字をあわせた形が隠れています。
定番とトレンド、相反するふたつを融合
デザインしすぎない、ミニマリズムなデザインがユードットの特徴のひとつ。靴が主張するデザインではないので、さまざまな洋服になじみ、その人ひとりひとりの個性を引き立たせてくれます。また男女問わず履ける、どんなスタイルでも定番になりうるシンプルさを追求したデザインに加え、サイズ展開は21.5~30.5cmまで、カラーは定番の3色+シーズンカラー1色を染め分けた34色を展開し、オーダー会ではすべてのサイズとカラーの組み合わせが可能です。
レザーは牛のショルダー(肩)部分を使用。頻繁に動かす部位のため柔軟性に富み、足なじみのよいユードットの靴には欠かせません。
また定番と基本は守りながらマーケティングも大切な要素として取り入れ、シーズンごとトレンドをちょっぴり意識したラインナップもたのしみなユードット。2014年の春夏はバイカラーや少しつま先が尖ったデザインのシューズも販売予定です。
ナチュランでも好評のメインシリーズ「パイプハウス」は、元々ミラノをはじめ海外の展示会への出展を目的にスタート。シリーズ名は、円筒形の靴箱を靴の家に見立て名づけられました。
日本製品の質の高さは国内外でゆるぎない評価を得ているものの、靴に関してはイタリア製と肩を並べる品質であっても、価格が高くなっては絶対に売れないといいます。
革の質には妥協したくないため、製造工程を見直し、イタリア製シューズと比べても見劣りしない独自の革靴を考案。日本製のレディースシューズで、この雰囲気を保ちつつ表情豊かなものは、この価格で日本ではなかなか見つからないはず。これなら安い、と自信をもって満足してもらえるラインナップがそろいました。
靴の定番を網羅し、廃盤になるようなデザインは出さないため、「パイプハウスシリーズ」は全26型で完結、と既に決めているのだそう。できあがった靴から自動的にアルファベットを振っているのでAからZで26。現在は「O(オー)」の15型目まで完成。「U」はどんな靴になるのか、いまから楽しみです。
(写真上)「パイプハウスシリーズ」の記念すべき第一足「A」。ストラップまで最大3つの配色が選べる、まさに遊びごころをくすぐる足もとに。
(下左)薄く返りのよいソール。ルームシューズのような感覚で履けて、靴の本国イタリアでも人気が高まっている。
(下右)作業中の猪俣さんの足元を隠し撮り(笑)。ソックスをポイントにしたコーディネートにもよく合います。
外反母趾など足の悩みを軽減
ユードットの商品はケースバイケースでいろいろな作り方をしていますが、パイプハウスシリーズに関しては、踵とつま先の芯をなくしているので、靴擦れ、外反母趾など、足や指が靴と当たる原因で起こる痛みは軽減されます。通常の革靴よりは軽く、革靴とスニーカーの間のようなストレスフリーなシューズは、外反母趾で悩むお客さまからのリピートが高いそう。
足の悩みを持つ方におすすめなのがレースアップやサイドゴア、サイドジップ。新品でも革が柔らかいため足なじみが早く、タコができやすいという人にも好評です。
幅は若干細めにつくられていますが、サイズ展開を豊富にそろえているので、日本人にも欧米人の足にも合うよう幅広く対応。革がやわらかいので足に悩みのある方でもラクに履けて、見た目もスマートです。
(写真中段)人間の足の美しさを改めて認識させられる、足袋のようなミニマムデザインのブーツ。
※痛み等は軽減されるケースが多いですが、外反母趾を矯正する靴ではないのでご注意ください。
また、スリッポンタイプは足の締め付けが苦手な方、ラフな雰囲気のスタイルを好まれる方に。スリッパ感覚で踵を踏んで履くのもOKだそうです。涼しい季節はソックスを合わせてサボのように、暖かな季節は素足で開放的にサンダル気分で。オールシーズン活躍してくれます。
(写真下4枚)
「釣り込み」という製造工程の一部をみせていただきました。
左上から時計回りに、
<1枚目>アッパーと呼ばれる革部分のパーツを縫い合わせた状態。すでに靴とわかる立体感があります。
<2枚目>中底をセットした木型をアッパーと合体。まだややカポカポです。
<3枚目>革の端っこを少しずつ、餃子の皮のように伸ばしては折りこんで木型が包み込まれていく。まるで革が木型に吸い付くよう。かなり力がいるお仕事です。
<4枚目>アッパー部分の成形完了!左が完成形。ここからどうやって木型をはずすのか……?実はもうご紹介済み。ヒントは猪俣さんのカラフルなソックスです。
インタビューにご協力いただいたデザイナー・猪俣さんとスタッフのみなさんに『ナリタチ、カタチ。』をご覧のみなさまへおみやげをいただきました。ユードットオリジナルバッグは抽選で。撮りおろし写真を使ったオリジナル壁紙は全員プレゼントです。
>> アンドロイド用壁紙(1440×1280)
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