素材辞典

当店の商品説明文によく使われる「用語」についてまとめました。繊維、生地、加工の種類について、それぞれ詳しく解説いたします。

繊維の種類

生地の種類

加工の種類

繊維の種類

綿(コットン、オーガニックコットン)

アオイ科ワタ属の多年草「ワタ」の種子からとれる天然繊維。肌触りがよく、通気性や吸水性に優れています。

繊維の長さが35mm以上の超長綿に、スーピマコットンやエジプト綿などがあり、シルクのような滑らかな肌触りと光沢をもちます。また、国際的基準をクリアした有機農法で栽培されたオーガニックコットンは、サスティナブル素材として注目されています。

綿(コットン、オーガニックコットン) 綿(コットン、オーガニックコットン)

麻(リネン、ラミーなど)

植物の茎の表皮から採取される天然繊維です。衣類に使われる麻の種類は主に、亜麻(リネン)、苧麻(ラミー)、大麻(ヘンプ)の3種類。麻は繊維の中身が空洞で空気を多く含むため、吸湿・放湿性が高く、通気性があります。

シャリ感のある涼しい肌触りが特徴ですが、空気の層で快適な温度を保つことから、季節を問わず快適に過ごすことができます。着るほどに肌になじんでいく、経年変化も楽しむことができる素材です。

麻(リネン、ラミーなど) 麻(リネン、ラミーなど)

絹(シルク)

蚕の繭(まゆ)からつくられる天然繊維です。人の肌とほぼ同じアミノ酸で構成されることから「第二の皮膚」とも呼ばれ、肌触りに敏感な方にも選ばれています。しなやかで軽くやわらかな風合いと、美しい光沢が特徴。吸湿・放湿性に優れ、静電気が起きにくく、紫外線を吸収してくれる機能素材でもあります。

絹(シルク) 絹(シルク)

毛(ウール、アルパカ、アンゴラ、カシミヤ、ヤク)

衣類表示で「毛」とされる毛素材は、ウールやカシミヤ、アルパカ、アンゴラなどの動物の毛全般を表しています。ウールは羊毛で、オーストラリア、ニュージーランドなどのメリノ種が有名。アルパカ、アンゴラ、カシミヤ、ヤクなどは、特有の肌触りのよさを備えた高級素材とされています。

保温性や吸湿性に優れているので汗をかいても蒸れにくく、冬はあたたかく夏は涼しいという機能性をもちます。弾性が高いためシワになりにくいのも特徴です。

毛(ウール、アルパカ、アンゴラ、カシミヤ、ヤク) 毛(ウール、アルパカ、アンゴラ、カシミヤ、ヤク)

再生繊維(セルロース)

植物に含まれるセルロースを主成分とする再生繊維の総称。セルロース系の再生繊維には、レーヨン、リヨセル、キュプラなどがあります。

シルクに似たやわらかい肌触りや光沢、美しいドレープが特徴。もともとが植物を構成する成分のため、吸水性・吸湿性が高く、土に埋めると分解されることから環境にもやさしい素材です。

レーヨン

木材パルプなどの植物原料の再生繊維です。化学繊維の一種ですが、原料は木材のため最後には土に還る、環境にやさしい素材です。シルクに似た光沢とやわらかさ、しなやかで豊かなドレープ性が特徴。優れた通気性・吸湿性があり、静電気が起きにくいというメリットもあります。

リヨセル

ユーカリなどの木材パルプを原料とした再生繊維です。原料を溶剤で溶かして糸を紡ぐ、環境負荷が少ない「溶剤紡糸法」で製造され、最後には自然に土に還ることから、環境にやさしいエコ素材としても注目されています。

シルクのようなやわらかさと上品な光沢、ドレープ性が魅力。吸湿・発散性にも優れているため、汗や水分をすばやく吸い、空気中に蒸発させます。植物を原料とした繊維でありながら強度が高いのも特徴です。

キュプラ

コットンリンターという、綿花の種のまわりにある産毛のような繊維を原料に作られた再生繊維。綿の繊維として利用できなかった部分を再生技術により有効活用した、環境にやさしい素材です。ツルツルとした光沢と、特有のとろみがあるのが特徴。肌触りがよく吸湿性に優れていることから、衣類の裏地としても使われています。

ポリエステル

石油を主原料とする合成繊維です。耐久性に優れ、洗濯による縮みやシワが気になりにくく、アイロンいらずで虫害の心配が少ないなどのメリットがあります。速乾性があるため、さらりとした肌触りが持続します。

環境に配慮したサスティナブル素材として、回収されたペットボトルを原料とする再生ポリエステルを利用した衣類や雑貨も増えています。

ナイロン

主に石油を原料とする合成繊維です。摩擦に非常に強く、繊維自体に伸縮性があるのが特徴。シワになりにくく、濡れてもすぐに乾き、カビや虫の被害を受けにくいというメリットもあります。強度を活かし、バッグやスポーツウェアなどに多く利用される素材です。

アクリル

アクリロニトリルという石油を原料とする合成繊維。やわらかな肌触りと高い保温性があり、ウールの代替品としてニット製品によく使われています。ウール特有のチクチク感が苦手な方にも選ばれている素材です。発色がきれいで、日焼けや色落ちがしにくいのも特徴です。

ポリウレタン

天然ゴムの代替品として開発された高い伸縮性をもつ合成繊維。「PU」と略して表記されることもあります。多くのストレッチ生地に使われる素材で、伸縮性のないコットンやポリエステルなどに数パーセント混紡するだけで、やわらかく伸びのいい生地になります。

和紙

植物の靭皮(じんぴ)繊維を原料とする日本古来の紙、和紙を使った糸。軽くて毛羽が少なく、通気性・吸水性・速乾性に優れています。消臭・抗菌作用や紫外線カットなども備えた、天然の機能性素材です。繊維に空気を含むため、暑い時は涼しく、寒い時はあたたか。肌を快適に保つことからインナーやタオルなどにも利用されています。

生地の種類

綿麻

綿(コットン)と麻(リネンやラミーなど)の混紡素材で作られた生地。綿の肌触りのよさと、麻の豊かな表情やシャリ感、通気性のよさなど、それぞれの長所をあわせもちます。季節問わず衣類や雑貨の生地として人気。麻の混紡比率が高いものは、麻綿(リネンコットン)とも表記されます。

綿麻

コーデュロイ

縦方向に毛羽の畝(うね)があるパイル織物。日本では別名「コール天」とも呼ばれています。畝の太さによって、鬼コール(極太コール)、中太コール、細コール、極細コール(シャツコール)などに分類されます。

表面の凹凸に空気を蓄えることから、保温性・保湿性に優れているのが特徴。秋冬の素材として人気ですが、薄地で通気性よく作られたサマーコーデュロイは春夏にも適しています。

コーデュロイ コーデュロイ

コットンボイル

強撚糸を使って織った、薄手の平織生地。やわらかく透け感があり、エアリーな風合いをもちます。素肌にも気持ちいいさらっとしたタッチで、汗ばむ季節にも人気の生地。なかでもインド産のコットンを使ったボイルは、不均一な糸が織りなす生地のニュアンスと、やわらかさや通気性のよさが知られています。

ローン

細番手の糸を使いやや粗めに織った、薄手の平織り生地。繊細でやわらかな肌触りに仕上がり、見た目にも上品な印象を与えます。適度なハリ・コシも備えているので、シルエットがきれいに出るのも特徴。

もともとはフランス北部のLaon(ラン)という町のリネンを使った織物でしたが、現在ではコットンを使ったコットンローンが主流です。

サッカー

収縮率の異なるタテ糸を組み合わせて凹凸を出した平織生地。正式名称は「シアサッカー」で、日本では「しじら織り」とも呼ばれています。

凹凸があるので肌に触れる面積が少なく、肌と生地との間に空間ができるため通気性が抜群。肌触りはふわっとやわらかく、軽やかな着心地です。シワが気になりにくいため、アイロンの手間いらず。洗濯回数が増える夏にもぴったりの生地です。

サッカー サッカー

ジャカード

ジャカード織機を使って柄を織り出した織物。模様を直接織っていくため、プリントとは異なり、立体的な生地になります。摩擦や洗濯によって落ちてしまうことがなく、半永久的に柄が楽しめるのも魅力。高級感のある生地に仕上がり、ジャケットやスカートの生地としても人気です。

ジャカード ジャカード

シャンブレー

タテに色糸、ヨコ糸に白糸(またはタテ糸とは異なる色の色糸)を用いた平織織物。表面に白糸が現れることで、霜降り状のムラ(ぽつぽつとした斑点)が見えるのが特徴。単色の糸では出せない、奥行きのある色合いが楽しめます。素材には綿や麻が使われることが多く、やわらかく通気性がいいため季節問わず活躍。シャツの定番生地としても知られています。

シャンブレー

ガーゼ

甘く撚った糸を、粗い織り方で平織りにした生地。素材には主に、綿や麻、絹などの天然素材が使用されます。吸放湿性に優れているため、汗をかいても蒸れにくく、さらさらとした肌触りを保ちます。また、洗濯を繰り返すほどに、やわらかく肌あたりがよくなるのも特徴です。

1枚のものをシングルガーゼ、2枚重ねたものをダブルガーゼ、3枚重ねたものをトリプルガーゼと呼び、重ねるほど透けにくくなり保温性も高まります。

ガーゼ ガーゼ

ツイード

スコットランドが発祥とされる、ウールを使用した紡毛(ぼうもう)織物。太く粗い糸を用いるため、厚みのある生地になります。糸と糸の間に空気を含み、保温性に優れているのが特徴。スコットランドでは「親子3代で受け継ぐ」といわれるほど、優れた耐久性をもちます。

ツイード

ブークレ

ループ状の糸(ブークレヤーン)で作られた生地。フランス語で「輪」を意味する「bouclé」に由来します。ふわふわモコモコとした凹凸があり、見た目も肌触りもあたたか。カーディガンやコート、スヌードなどによく用いられています。

ブークレ ブークレ

ホールガーメント

和歌山県の島精機製作所が独自に開発した横編機、およびを横編機を使った無縫製ニットの総称です。一着まるごと立体的に編み上げる世界初の技術。縫い目がないためニット本来の伸縮性が発揮され、包み込まれるようなフィット感を実現します。また、裁断しないことからカットロスが削減され廃棄が減るなど、環境負荷が低いことも注目されています。※ホールガーメント(R)/WHOLEGARMENT(R)は株式会社島精機製作所の登録商標です。

ドビー

ドビー織機という機械で織った生地の総称です。ストライプやドット柄、幾何学柄などが、連続した細かい柄で表現されます。ほどよいハリや光沢が出やすく、上品な印象を与える生地。織り柄のため、角度や光の当たり方によって見え方が変化し、独特の表情を演出します。

ドビー ドビー

ヒッコリー

紺地に白のストライプ模様が入ったデニム生地のこと。アメリカで鉄道労働者の作業着として考案され、汚れの目立ちにくさと、爽やかで涼しげな柄が人気に。ワークウェアの定番生地となり、現在ではジャケットやパンツ、オーバーオールなどのカジュアルアイテムに多く使われています。

ヒッコリー ヒッコリー

スライバー

ウールなどの繊維をほぐし、糸にせずにそのまま編んだニット生地です。イタリアで開発された特殊なニット製法で、ふわふわとした起毛感のある仕上がりが特徴。撚らずに編むため空気をたっぷりと含み、ボリュームがありながらも驚くほど軽い着心地を実現します。保温性も高く、コートやジャケットの生地としても人気です。

デニム

インディゴ染料で染めたタテ糸と、染色をしていない白いヨコ糸を使用した綾織り生地。フランスで誕生し作業着として広まった丈夫な生地で、使い込むほどになじんでいく経年変化も楽しめます。日本では岡山県倉敷市の児島エリアで作られるデニムが有名。

デニム生地の厚さはオンス(oz)で区分され、オンス数が大きいほど厚くなります。目安としては10オンス以下が「ライトオンス」、15オンス以上は「ヘビーオンス」と呼ばれ、10~15オンスが一般的な厚さとされています。

デニム デニム

パイル

パイルは織り方の種類のことで、繊維を丸くループ状に織ったものをパイル生地といいます。ループ状のまま仕上げた「ループパイル」はスウェットなどの裏毛生地として、糸の先端をカットして加工した「カットパイル」はベロアやコーデュロイの生地として知られています。

ふわっとしたやわらかさと、サラサラとした肌触りが特徴。ループの形状により表面積が大きくなるので吸水性がよく、ループの間に空気の層ができるため、蒸れにくく保温性にも優れています。

パイル パイル

タイプライター

繊維が長く細い糸を、高密度で織った平織生地です。毛羽立ちの少ない滑らかな表面と、パリッとしたハリ・コシのある質感が特徴。細い糸を使用しながらも打ち込み本数が多いため、丈夫で透け感が気になりにくいのも魅力です。風を通しにくく防寒性があるため、季節の変わり目のコートなどにも重宝します。

ヘリンボーン

V字が連なったような織物の模様。魚のニシンを開いたときの骨の形に似ていることから、英語で「ニシンの骨」を意味するヘリンボーンと呼ばれるようになったといわれています。日本では杉の葉の形に似ていることから、「杉綾」とも呼ばれます。クラシカルで上品な印象を与える柄として、コートやジャケット、スカートなどのさまざまなアイテムに使用されています。

ヘリンボーン ヘリンボーン

ボア

動物の毛を思わせるモコモコした生地。パイル糸をカットして毛羽を立たせたカットパイルの一種です。羊の毛のような「シープボア」、プードルの毛並みのような「プードルボア」などが有名。保温性が高く、見た目にもかわいらしくあたたかみがあります。ボリュームがありながら軽量で、コートの裏地や襟部分などに使われることもあります。

ボア ボア

キルティング

2枚の布の間に綿や羊毛、羽毛などを挟み込み、縫い合わせた生地。2枚の生地をステッチで押さえて作るため引っ張りなどの負荷に強く、クッション性にも優れています。厚みのわりに軽量で、保温性が高いのも特徴です。ダイヤ柄やひょうたん柄など、ステッチの模様によっても印象が変化します。

キルティング キルティング

鹿の子

平編みとタック編みを組み合わせた縫い方で編んだニットで、編み目に凹凸があるのが特徴です。生地が体に触れる面積が少ないため、さらりとした肌触りを保ちます。通気性、吸水・速乾性が高く、汗をかいても蒸れにくいというメリットも。春夏向けの素材として人気で、ポロシャツなどのカジュアルウェアに多く使用されています。

鹿の子 鹿の子

加工の種類

クリンクル

生地にシワをつけるシワ加工の一種。クリンクル加工が施されたクリンクル生地は、シワや縮みによる凹凸があるのが特徴です。体に触れる面積が少ないのでまとわりつかず、さらりとした清涼感のある肌触りです。洗濯後もシワを気にせず着られる、アイロンいらずのイージーケア性も人気です。

クリンクル クリンクル

ピグメント加工

通常の染料ではなく、特殊な溶剤と顔料を使って生地を染色させる加工技術。あえて色落ちをさせる手法により、ヴィンテージのようなエイジングの風合いが表現できます。洗濯を繰り返すほどにさらに独特の色落ち感が現れ、経年の変化を楽しみながら着用できます。

ピグメント加工 ピグメント加工

製品洗い

縫製して製品になった状態で洗いをかけること。 コストと手間はかかるものの、最初から肌になじむようなやわらかい生地に仕上がり、着古したようなニュアンスのある表情を出すことができます。また、一度洗うことで、家庭での洗濯後にも縮みが生じにくいというメリットもあります。

フロッキー

細くて短い繊維を、接着剤を塗り固着させて、立体的な柄にするプリント技術です。加工部分はベルベットのような滑らかな触り心地で、通常のプリントとは違った、上品で華やかな仕上がりになります。

フロッキー フロッキー

リップル加工

生地にアルカリ性溶液を付着させて収縮を起こし、凹凸をつくる加工のこと。リップル加工された生地を、リップル生地と呼びます。ポコポコとしたシワの表情が見た目のアクセントになるほか、肌の接地面を減らし清涼感のある着心地を保ってくれます。

リップル加工 リップル加工