その6. 総集編
松野家の暮らしをおさらい
2019年1月3日(金)
1945年創業。東京の下町・馬喰町で70年続く卸問屋であり、現在は荒物を扱う雑貨店として知られる『暮らしの道具 松野屋』。店主・松野弘さん、きぬ子さんの暮らしぶりから、便利に美しく使われてきた昔ながらの生活道具の魅力を倣っていく連載企画。2019年ご紹介し好評だった松野屋の荒物を振り返ります。
収納にも人気のトタン豆バケツ
トタン豆バケツ(大)/1,650円
入荷のたびすぐ完売してしまう、この連載でももっともたくさんのご注文をいただいているトタン豆バケツ。トタンは屋根材や壁材にも使われているほどなので耐久性は申し分なし、サビに強く、腐食しにくいです。
木のハンドルが少しずつ経年変化をとげて、より年季のある風情を醸していきます。ハンドルはしっかりしているのでぶら下げて使っても便利。持ちやすさにも心配りがされています。
素朴でレトロな雰囲気も魅力。コロンと丸いシルエットはインテリアにしても愛らしく溶け込むので、お部屋にお花を飾るときに使ったり、台所では野菜や果物入れに使う方も多いようです。松野家では植物を入れたり、庭仕事の道具を入れたり。シンプルなデザインなので、さまざまな用途にお使いいただける暮らしの道具です。
同じくトタンの米びつも好評でした
トタンの米びつ /2,750円~
放映中の朝の連続小説『スカーレット』で、お米をトタンの米びつに入れるシーンは、我が家も同じだったなぁと、懐かしさを覚えた方もいらっしゃるでしょうか。
トタンは水や火に強く、中に入れたものを湿気から守ります。防虫防湿効果にも優れているため、米びつとして昭和の台所で永く重宝されてきました。
松野家では『 かつを 』入れにしている2kgの米びつがとってもかわいく、紙をペタリと貼るのも真似したくて取材後に購入しました。コーヒー豆の絵を描いた紙をペタリと貼って、コーヒー豆入れに使っています。マグネットで留めることもできますよ。
小さな木箱も、おいしいお米の守り神に
ヒノキ一合ます/1,320円
ますも、日本で大変古くから使われている容器。一合でお茶碗2~3杯くらいのごはんが炊けます。米びつの中に入れておくと、ヒノキの香りでお米に虫を寄せ付けない効果もあるといわれています。
“福をすくう”といわれる縁起のよいざる
篠竹みざる/3,996円
岩手県伝統の竹細工技法を用いてつくられた箕ざる(みざる)も、この連載でご紹介する前に一度完売し、再入荷をお待ちいただいた人気商品のひとつ。脱穀に使われる道具である箕の形をしているので、箕ざると呼ばれています。片方だけ口が開いたざるは、“福をすくう”といわれ、古くから縁起物として親しまれ、片口ざる、とも呼ばれます。
片口なので水切りしたお米や豆などをお鍋に移したり、お蕎麦やうどんをうつわへ移すのにも便利。弾力がありしなやかで非常に丈夫です。ステンレスのざるだと研ぐ最中にお米が削れてしまう場合もあるそうですが、竹のざるはその心配がなく、口当たりのよいふっくらしたごはんに炊き上がります。米びつと一合ますと少しずつ揃えていきたい、お米まわりの道具です。
おむすび弁当におすすめの経木
経木は、針葉樹をとても薄く削った木の紙。木そのものに、おむすびなどをくるむような感覚です。おひつと同じようにほどよく水分をとりながら、木のほんのりやさしい香りをお米が吸い込んで、炊きたてを上回るおいしさを秘めています。撮影のときは、くるんでからも海苔のいい香りも一緒に漂っていました。
「最近はバーベキューに持っていく人も多いそうですよ。自然のものだから燃やしても害がないし、帰りの荷物も減るから便利みたい(店主・松野弘さん)」
昔の当たり前が、いまの特別に
蝋引紙袋/<5種類> 756円~
経木とともに、懐かしさのなかにある新しさにたくさんの反響をいただいた蝋引紙袋。昔は、商店街に並ぶお魚屋さんやお肉屋さん、お米屋さんで当たり前に使われていました。蝋が引いてあるので水をはじき、破れにくく、通気性もあります。昭和20年から続く小さな町工場でつくられています。大きさと形のバリエーションは4種類。手提げ型もあって、よくあるクラフト紙の袋より、ちょっぴり特別な感じがします。マフィンやクッキーなど手作りお菓子のおすそ分け用に好評で、おむすびやサンドウィッチ入れにもおすすめです。写真は、きぬ子さん特製の人参ケーキ。素朴な甘さのなかに、シナモンとレモンの風味をさわやかにきかせています。
うれしおいし、お弁当箱の魔法
すり漆弁当箱/<3種類> 10,260円~
漆塗りの曲げわっぱ弁当箱は、木の殺菌効果と保湿吸収性、さらに漆の強力な殺菌効果もあり、夏こそ本当におすすめしたいお弁当箱です。すり漆特有の光沢から透けてみえる、木地の木目の美しさも、ごはんのおいしさを最大限に引き出してくれます。使ったら洗剤とスポンジで洗えばよいので、うつわなどと同じ扱いでだいじょうぶ。漆でコーティングされている分、白木よりも気軽です。
「お弁当のおかずやごはんは、できたてとはまた違ったおいしさが醍醐味だと思います。わっぱはタッパーのように密閉しないので、食材が自然と呼吸できて、お弁当ならではのおいしさを一段と引き出してくれるんです。漆のおかげで油染みもしないと言われていますが、使いはじめに気になる方は、経木を敷くと安心ですよ。見た目も風味も損ないません(きぬ子さん)」
ずっと売れ続ける永遠の定番
スタンレークラシックボトル 1L/6,480円
冬の朝は、一番に鉄瓶でお湯を沸かして、とぽとぽと水筒へ。松野家では、スタンレーのクラシックボトルをポットのように使っています。温かさも冷たさも、一日中長持ち。夏は氷入りのルイボスティーをたのしんでいるそうです。アメリカ生まれのスタンレーですが、松野家の和の空間にもとってもなじんでいます。
松野家いちおしのブラシ
家でも使えて、もちろん外にも持って行けるスタンレー。旅の宿泊先ではお湯を入れてもらって、お部屋でお茶を飲んだり。松野家の車旅行に欠かせない必需品。スタンレーのビンテージホルダーから着想を得てつくった、松野屋オリジナルのホルダーも好評です。クラシックボトル 0.47Lサイズ専用のホルダーです。
松野家いちおしのブラシ
ブタ毛チャンネルブラシ/1,210円
この連載ではじめて松野家にお邪魔したのは昨年の春先でしたが、取材でお伺いするたびに、これすっごくいいんだよ!とおすすめされ続けてきたブラシ。満を持してのご紹介したところ、即完売しました。
Jの字にカーブした先端まで、ブタ毛がしっかりとついているので、サッシや蛇口まわりのコーナー、境目などすみずみまでブラシがピタッと密着するさまは、掃除していてとっても気持ちがよいそう。硬めの毛質でしっかりと汚れをかき取ります。鉄製ハンドルはフックがけもできて、松野屋らしい質実剛健とした暮らしの道具です。
飾り気のない潔さにみる荒物の実力
シダ庭ぼうき ロング/1,944円
フタ付ダストパン/4,320円
丈夫なシダのほうきは、庭や玄関の小掃除におすすめです。一掃きでまたたく間に落ち葉やごみが集合するので、掃くことがたのしみに。使い勝手のよさに加え、削ぎ落とされたシンプルなつくりは長年に渡り愛用する人を増やし続けて、柄を伸ばしたロングバージョンも誕生しました。お部屋用の和ぼうきや棕櫚ぼうきも含めて、自然素材のほうきは、使い込むほどに手に馴染み、よい風合いへ育っていきます。
ちりとりは、大阪の町工場で職人がつくる、フタ付きのトタン製。便利なスタンドタイプです。
持ち運べる折りたたみ式。旅先のお洗濯にも
さびにくく丈夫なステンレスを使用した折りたたみ式ハンガーはコンパクトにできるので、長めの旅に持っていくのもおすすめです。フック部分に付いたストッパーは、風が強い日などの落下防止に役立ちます。小さいサイズは18個のピンチ付き。35個のピンチが付いた大きいサイズも好評です。
掃除が苦手という人にこそ、試してほしい
「もう、さすがに掃除しよう」と、しぶしぶ気合いを入れてはじめれば、意外とたのしいし綺麗になればうれしい掃除しごと。及び腰になるのは掃除そのものより、掃除機を引っ張り出したりしまったり、終わったあとの片付けが億劫で……という方が少なくないようです。そんな掃除にまつわる面倒なあれこれ。ほうきを使って一掃してみませんか?
やる気になったときに、時間を選ばずすぐ使える
和ぼうき 東京型/7,560円
また夜遅い時間に限って、「いまなら掃除したい気分なのにな」と思ってしまう、ちょっぴりあまのじゃくな方にも、ほうきはぴったり。音に気を遣うマンションなど、現代の暮らしにこそ実は便利に使える道具です。よしやるぞ!と思ったときが、掃除どき。軽くてスリムでぴんと美しい佇まいのほうきは、掛けたり立てかけたり、インテリアとしても素敵にお部屋を彩りますから、すぐ小掃除に取り掛かかれる軽やかさも魅力です。
東京ちりとり/648円
一本一本、丁寧な手しごとでつくられたほうきは、あたりがやわらかで、小さなチリを逃しません。きちりと編まれた“ほうきもろこし”は抜け落ちしにくく、草が持つ油分で畳がつややかに。東京型という名前は、かつて東京向けの出荷が主だった頃の名残で、相撲の土俵にも使われているといいます。同じく東京が名前についたちりとりを相棒にすれば、掃きしごとがよりはかどります。