自己紹介や第一印象のマナー

日に日に春の足音が近づいてきましたね。新年度を迎えるのに期待が高まる今日この頃ですが、みなさんの周りでも、環境が変わったり、新しい出会いが多くなったりするのではないでしょうか?

春は新しいチャレンジがしたくなる季節です。習いごとのほかに、子どもの手が離れてきたので、そろそろパート面接を受けたいと考えている人もいらっしゃるかもしれません。あるいは、子どもが通う園や学校、地域活動でも、保護者同士の新しい出会いが多くあるでしょう。その際に、必ずついて回るのが自己紹介をする場面です。人との出会いで大切なのは第一印象です。今後の人間関係をつくっていく上でとても重要です。

今回は、新年度を明るい気持ちで迎えられるように、チェックしておきたい自己紹介や第一印象のマナーを中心にお届けします。春に向けてブラッシュアップしましょう。

自己紹介

自己紹介は、知らない者同士がはじめて出会う場で、最短で自分のことを知ってもらう良い機会です。「知っている」ということが「安心感」につながる本能を私たちはもっているのです。自己紹介をすることで、親しみがわき、その後の人間関係が円滑になり、おつきあいもスムーズにできるようになります。ぜひ自己紹介の機会を大切に捉えて生かしましょう。

自己紹介のコツ

自己紹介は長く話す必要はありません。むしろ長いよりコンパクトにまとめた方が喜ばれます。コツは、いくつかのブロックに分けて考えることです。日頃から1分~2分程度で話せるようにベースを作っておくと応用がききます。
今回は自己紹介のいろいろなパターンの中から簡単につくることができる方法をお伝えします。 せっかくの機会だからと自分のことをたくさん分かって欲しいと頑張りすぎると、逆にくどくなったり、我の強い印象を与えたりしがちです。コツをつかんで等身大で話せば、その人の性格や人柄、雰囲気がほどよく伝わり、きっと親近感をもってもらえるでしょう。

6つのブロックに分ける

今回は、とても便利で覚えやすい6つの短いブロックに分ける方法をお伝えします。まず、最初と最後は、日常的な挨拶を入れましょう。明るく丁寧できちんとした感じの良い印象につながります。
そして、その挨拶の間に話す内容をはさんでいきます。内容は、文章作成や発表時に良く使う「起承転結」の4つを意識します。計6つのブロックに分けることで、簡単に且つ、ある程度の長さの自己紹介がすぐに作れます。

はじめの挨拶(話の切り出し)

●いきなり名前からはじめるより、ひとこと挨拶が入るだけで印象が良くなります。
●明るい笑顔で挨拶をしましょう。緊張も和らぎそのあと話しがしやすくなります。

例:「はじめまして」「おはようございます」「こんにちは」「お世話になっております」「この場をお借りしてひとこと自己紹介申し上げます」などのひとことでOK。

「起」を意識する(名前など)

●その場の状況に合わせて名前の他にプラスするとより効果的です。
・自分の立場(肩書や所属、○○の母など)
・住んでいる場所(町名や最寄り駅名など)
・家族の紹介(家族構成や続柄など)

例:「この度、新しくメンバーに加えていただきました○○(名前)と申します。」
「△△(場所)からまいりました○○(名前)です。」
「○○○○(子どもの姓名)の母です。○○(子どもの名)は二人姉妹の次女です。」
「ただいまご紹介にあずかりました○○(名前)でございます。」など

「承」を意識する(テーマとなる話題)

●その場に合った身近なテーマをチョイスする。
・子ども関連の場では子どものこと。
・自分の関係する場では、趣味や特技、性格、好きな食べ物、参加した理由など話しやすいものでOK。
親しみをもってもらうことが大切なので、難しいテーマを選ばないように心がける。

例:「私の好きなことはカフェめぐりです。小さなホッとするカフェを見つけては、ひとりでゆっくり過ごす時間が大切な息抜きになっています。」

「転」を意識する(変化させる)

●「承」で話したテーマを少し違う角度から話す。
●「承」で話したテーマをさらに具体的に話したり、堀り下げたりする。

例:「先日行ったカフェでは、米粉のパンケーキがあったので食べてみました。毎回出来立てを提供するとのことで、注文してから作りはじめ、約20分間で焼き上げてくれます。テーブルに届いたパンケーキは、それはもう本当にふわふわで柔らかく、心の底から幸せな時間を過ごすことができました。」

「結」を意識する(話の着地点)

●前向きなことばで結ぶ。
・子ども関連の場では子どものこと。
●希望や展望を明るく話す。

例:例:「これからもいろいろなお店に行ってみたいので、おすすめのカフェがありましたらぜひ教えてください。」

終わりの挨拶(短く締める)

●謙虚な気持ちと笑顔を忘れないようにしましょう。

例:「これからいろいろお世話になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。」「以上です」など。

新生活で使える自己紹介

新年度は、新しい環境になり、はじめて会う人の中で自己紹介をする機会も増えるでしょう。 その様なシチュエーションでは、自分のことを覚えてもらうことが大切です。そして話しやすそうな人という印象をもってもらえると、その後のコミュニケーションもとりやすくなります。良く見られたいという意識が前面に出過ぎることなく、ナチュラルに明るく丁寧に話しましょう。

[1]はじめの挨拶(話の切り出し)

例:「みなさま、はじめまして」

[2]「起」:(名前など)

例:「うちの家族はみんな動物好きで、ずっと犬を飼いたくて一軒家に住むことが昔からの夢でした。今回引っ越ししてようやくその夢が叶いました。さっそく先日2匹の保護犬を家族として迎え入れることができました。」

[3]「転」:(変化させる)

例:「毎日家の中やお庭で、息子たちは愛犬たちと一緒に走り回っていて、とにかく賑やかすぎる日々を過ごしております。」

[4]「結」:(話の着地点)

例:「まだまだ分からないことばかりなのですが、みなさまに教えていただきながら、このご縁を大切にしてまいりたいと思います。」

[5]終わりの挨拶:(短く締める)

例:「どうぞ末永くよろしくお願いいたします。」

保護者の集まりで使える自己紹介

意外と緊張するのが、子ども関係の保護者会での自己紹介。他の保護者はスラスラ話しているように感じるので、「何を話せばいいのだろう」と自分の番がくるのが余計にドキドキするものです。 自分のことではなく子どものことを話題にしましょう。また子どもは思わぬことで周りに迷惑をかけたり助けてもらったりすることも無きにしもあらずです。謙虚な姿勢で話せると良いですね。

[1]はじめの挨拶

明るく笑顔で話す。
例:「はじめまして」「こんにちは」「おはようございます」など。

[2]「承」

子どもの名前+続柄、兄弟姉妹、住んでいる市・町名など。
例:「○○○○(子どもの姓名)の母(父)です。○○駅のそばに住んでおります。上に兄がいて○○は次男です。」
例:「○○(子どもの名前)の母(父)で●●(姓)と申します。家は○○町です。○○は一人っ子で、三人家族です。」

[3]「承」

親からみた子どもの性格、子どもの趣味や夢中になっていることなど。
例:「娘は大変活発です。私と違って、小さい頃から物おじしないタイプです。」
例:「○○(子どもの名前)は、三人兄弟で三男です。甘えん坊なところがあります。」
例:「○○(子どもの名前)が最近特に夢中になっているのは縄跳びです。」
例:「お兄ちゃんの影響でゲームが大好きです。」

[4]「転」

より具体的に話すと共感が得られます。
例:「縄跳びをママもやってみてと言われ、何十年ぶりかでやってみたのですが、10回飛ぶと息切れしました。」
例:「ゲームは、注意しないといつまでもやっているので、一日30分と決めていますが、なかなか言うことをきいてくれないものですね。」

[5]「結」

明るく前向きな着地点。
例:「毎日子どもたちにふりまわされる日々ですが、楽しく過ごしています。」
例:「明るく元気に登園してくれれば、それが何よりだと思っております。」

[6]締めの挨拶

謙虚な気持ちを忘れずにしましょう。
例:「どうぞこれから一年間よろしくお願いいたします。」
例:「ご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。」など

第一印象

第一印象は、わずか数秒で決まると言われますが、最初の印象は「その人のイメージ」として強く残りやすいものです。これは心理学の世界でも「初頭効果」と呼ばれています。その後、何度も会う機会や一緒にいる時間が長ければ、徐々に最初のイメージとは違ってくることも多いですが、人との出会いの中で、深く知り合えるのは、一握りの人たちでしょう。第一印象が悪い場合に、その印象を良い方へ覆す、または誤解をとくのには、何倍もの時間がかかります。
第一印象が良いということは、コミュニーションの基本とも言えます。ぜひポイントをおさえて、良い人間関係をつくっていきましょう。

非言語コミュニケーションの4つのポイント

[1]装い

「清潔」と「清潔感」は違います。きちんとクリーニングされている洋服は「清潔」ですが、しわが目立っていたりボタンが取れかかっていたり毛玉がついていると「清潔感」はありません。マナーの観点から言うと、清潔であるのはあたりまえ、清潔感があることがとても重要です。
また、TPOに合った装いをすること、サイズが自分の体形に合っている服を選ぶことが大切です。
その他、洋服だけではなく、履いている靴がボロボロだったり、持っている鞄の持ち手や角が擦り切れていたりするのも良くありません。早めに買い替えをして、少し傷んだものはこの機会に思い切って処分するか2軍として雨の日などに使うと良いでしょう。

[2]ヘアースタイル

個性が出やすいヘアースタイルですが、TPOに合わせてアップにするなどアレンジをすると良いでしょう。ダウンスタイルでは、アイロンで軽く巻くとツヤも出てまとまるでしょう。また、ひとつに束ねていてもおくれ毛がボサッと出ていては雑な印象を与えかねません。ひと手間加えることが大切です。
洋服と同じように、きちんと手入れをされた清潔感のあるヘアースタイルを目指しましょう。

[3]姿勢、立ち居ふるまい

姿勢が良いと元気で明るく見えます。逆に姿勢が悪いと疲れている印象を与えます。日頃から、気づいたら背筋をのばすようにしていると良い癖がつきます。デスクワークで座っている時も背もたれを使わずに良い姿勢を保ちましょう。
歩き方も人目につきやすいです。スリッパをパタパタさせたり、ヒールの音が大きかったりすると、印象が良くありません。適度な歩幅でややゆっくり目に歩くと落ち着いた大人の印象になります。

[4]笑顔、表情

第一印象でとても重要なポイントのひとつが笑顔です。意識しないと口角は下がります。少し口角を上げるだけでも表情は明るく親しみのある生き生きとした表情に変化します。
眉間に皺がより、口元が下がっていると年齢より老けた顔に見えるばかりか、「あの人、不機嫌そう」と誤解をまねきやすいです。不機嫌な表情を見ると人は不愉快な気持ちになります。これは実はマナー違反です。顔の表情は、自分の意識ひとつですから日頃から気をつけましょう。
また、「挨拶は笑顔でする」とインプットしましょう。自己紹介の最初と最後の挨拶も笑顔を心がけます。自分で意識して笑顔を作ることによって緊張感がとれ、顔の表情だけでなく、声の表情もぐっと明るくなりますよ。

言語コミュニケーションのポイント

[1]声

明るくハキハキと話しましょう。また、部屋の大きさや人数に合わせて声の大小をコントロールします。部屋が広く人数も多いところで小さな声でボソボソ話すと、何を言っているのか聞こえづらく印象が良くないどころか人をイラっとさせます。その他、早口で喋る人は、せっかちな印象を与えたり、大きい声で早口だと威圧的です。ややゆっくり丁寧に話すことで落ち着いた大人の印象になります。

[2]言葉遣い

基本は丁寧語を使いましょう。誰が聞いても感じの良い日本語を使うことが大人として必要なことです。最近は学生ではなく社会人でも「めっちゃ~」「超~」「~しか勝たん」などの言葉を使う場面も見受けられますが、はじめて会った人の前だと、敬意が感じられず失礼にあたることもあると心得ておきましょう。

[3]話の内容

TPOに合わせることが必要です。「政治」「宗教」など、個人の思想に関する話は避けましょう。また専門用語や難しい単語を使うのも控えた方が良いです。誰でも身近に感じる明るい話題、分かりやすい話題、ほのぼのとする話題は好感度が高くおすすめです。
第一印象では話の内容よりも見た目や話し方の方が印象に強く残りますが、話の内容がどうでも良いということではありません。非言語コミュニケーションがプラスに働くと、話の内容にも説得力が生まれ、スムーズに相手にも伝わります。

面接のマナー

自分の仕事から子ども関係まで、様々な場面で面接は行われますが、共通して言えるのは、やはり第一印象が大切ということです。部屋に入ってくると、より一番目につくのが服装です。洋服は特別高価なものでなくても良いでしょう。清潔感があるかどうかが最重要です。
どのような装いが良いのかは、その面接の状況によって違いがあります。スーツが良いのかカジュアルで良いのか、どの様な色を選ぶのか、しっかりと目的を鑑みて選びましょう。早めに準備をしてから臨むことが必要です。

仕事の面接時の自己紹介

面接の場でも必ず自己紹介を求められます。面接の場面で試験官がみているのは、基本的なコミュニケーション能力があり、感じの良い受け答えができるのか、明るく真面目に取り組んでくれそうなのかどうかです。話の内容も大切ですが、面接は30分前後が一般的で、長くても1時間程度です。その短い時間内で判断されるので、第一印象に特に気をつけましょう。

正社員でもパートでも派遣の面接でも基本は同じです。はじめに「自己紹介をお願いします」と言われたら、ただ名乗るだけではいけません。1~2分程度にまとめておきます。これまでお伝えした6つのブロックを意識してつくる自己紹介の方法をベースにお伝えします。

[1]挨拶

例:「はじめまして。本日は、面接のお時間をつくってくださり誠にありがとうございます」

[2]名前や住所、最寄り駅など

例:「私は、○○○○(姓名)と申します。△△市に住んでおり、最寄り駅は●●です。」

[3]前職または現職(仕事のブランクがあればその年数など)

「前職は□□の仕事をしておりました。長男が生まれるのをきっかけに育児に専念し、外で仕事をするのは6年ぶりです。」

[4]簡単な志望理由

例:「御社を希望したのは、前職で学んだスキルを生かせることと、家庭との両立の中でとても働きやすい環境を整えていらっしゃる企業だと感じたからです。」

[5]小さなアピールを入れながら意気込みなど、前向きな姿勢を伝える

例:「学生時代からバレーボール部で鍛えてまいりましたので、風邪をひいた記憶もないくらい身体が丈夫です。とにかくできる限り精一杯つとめてまいります。」

[6]締めの挨拶

例:「どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。」

子どもが面接を受ける際の注意点

小さいお子様から就活の面接まで年齢問わず子どもの面接で大切なのは、第一に「挨拶と返事」です。面接の時だけ挨拶の稽古をしてもなかなかうまくいきません。まず親が日頃から挨拶や返事をきちんとしていれば、子どもも同じ様にできるようになります。また挨拶や返事が上手にできたときには日常的に褒めましょう。
子どもが面接を受ける際には、お子様自身が一番緊張しているので、必要以上にプレッシャーをかけないようにしましょう。多少間違えても面接官は明るく元気があるか、校風(園風)に合うかなどを見ています。まただらしない印象を与えない様に、洋服などが着崩れないようにアドバイスをすると良いですね。

まとめ

新年度を迎えるにあたり、環境や人間関係が変化することも多いと思います。そういう時期は、自分をブラッシュアップさせる良い機会でもあります。
今回お届けした自己紹介の方法や第一印象のマナーの他、自分の身の回りにあるアイテムにもパワーやメッセージ力があります。くたびれたものや、よれよれしているものはこの機会に買い替えるなどして、自分自身を刷新して気持ちよく新しい年度を迎えましょう。

お手持ちのアイテムと合わせて、きちんとした装いに見えるジャケット

監 修

監修いただいたのは、【日本サービスマナー協会】認定マナー講師 江頭美鈴先生です。

日本サービスマナー協会 認定マナー講師 江頭美鈴さん
江頭 美鈴さん

日本サービスマナー協会 認定マナー講師

マナーは、相手を思いやる気持ちが基本にあり、人と人とのつながりに潤いを与えてくれます。マナーの基本を知り、心豊かに日々を過ごせたら素敵ですね。イメージコンサルタントとしても、ブラッシュアップのお手伝いをしております。

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