その9. [ 番外篇 ]谷中松野屋でお買い物

夏支度におすすめの道具

2020年7月31日(金)


1945年創業。東京の下町・馬喰町で70年続く卸問屋であり、現在は荒物を扱う雑貨店として知られる『暮らしの道具 松野屋』。店主・松野弘さん、きぬ子さんの暮らしぶりから、便利に美しく使われてきた昔ながらの生活道具の魅力を倣っていきます。第9回は番外篇、おなじみの松野家から『松野屋』へ行ってきました――。


谷中のお店にやってきました

谷中松野屋

2010年1月、東京谷中の夕焼けだんだん上に店開きした『谷中 松野屋』。2020年で10年目を迎えました。店主・弘さんの学生時代からのご友人がこのあたりに住まわれていたそうで、その頃から足繁く通っている甘味屋さんとはいまも顔なじみ。

「いつか店を持つなら絶対、谷中で開きたいと思ってたんだよ」と、弘さん。


あいにくの雨にも、客足は途絶えることなく盛況

谷中松野屋

木手トタンバケツ/1,980円


取材でおじゃました日は梅雨真っ盛りの7月なかば。撮影をはじめて間もなく、みるみる雨足が強くなってきたものの、開店前のしたく中からお店の様子を伺う人がちらほら。11時のオープンから平日にもかかわらず、ひっきりなしにお客さまがお店を訪れていました。


谷中松野屋

そんな松野屋に勝手知ったる面持ちでやってきた夕焼けだんだんの守り神、めぐちゃん。肌寒い日はレジ横で暖を取りつつお店番。ごはんの時間がくるときちんとご自宅へお帰りに。腹時計の正確さたるや!


おひさしぶりのうれしい再会

谷中松野屋

3月に松野家へおじゃまして以来、およそ4ヵ月ぶりに弘さん、きぬ子さんと再会しました。


「自粛中もたのしく忙しく過ごしていましたよ。時間がなくてできていなかったパンづくりがよかったです。うまく発酵させるコツがわかったのでうれしくて。あとはウクレレで歌をうたったり、いつもの編み物もはかどりました(きぬ子さん)」

谷中も馬喰町の問屋も、5月の終わりごろから再開されたそう。今回は谷中のお店で、夏支度におすすめの暮らしの道具をおしえていただきました。


おなじみの道具がずらり

谷中松野屋

石見焼すり鉢/<3種類> 2,200円~

山椒すりこぎ/<3種類> 660円~


島根県西部で作られる石見焼のすり鉢。地元の土、地元の来待石を砕き水で溶いた釉薬だけを用い、クシ目と呼ぶ内側の溝を一つ一つ手作業でつけています。石見焼は1300度以上という高い温度で焼成し陶器でありながら磁器並みに硬く丈夫。この特性は鋭く欠けにくいクシ目にも活かされており、すり鉢にとても適しています。胡麻をすって、胡麻和えを作ったら、そのまま盛り鉢として食卓に並べても素敵です。

すりこぎは、鹿児島県の霧島山麓で採られた山椒の木でつくられています。堅く磨耗に強く、また抗菌作用があるとも言われることから、古くからすりこぎにつかわれてきた山椒の木。ごまや木の実をすったり、お味噌汁やお鍋に味噌を溶くときにも便利です。


掃除が苦手という人にこそ、試してほしい道具

谷中松野屋

各種ほうき/1,210円~


音に気を遣うマンションなど、現代の暮らしにこそ実は便利に使えるほうき。 軽くてスリムでぴんと美しい佇まいのほうきは、掛けたり立てかけたり、インテリアとしても素敵にお部屋を彩りますから、すぐ小掃除に取り掛かかれる軽やかさも魅力です。

谷中松野屋

本格的なほうきを買う前に、そのよさをちょっと体験できる小さなほうきたち。机や食卓で、消しゴムのカスやパンのくずを手早く掃いたり、玄関先やお手洗い、台所など入り組んだ部分の小掃除に力を発揮します。松野家では、珈琲豆を挽いたあとの小掃除に。


近江八幡でみつけた思い出の円座

谷中松野屋

い草円座/4,620円


道の駅で見かけて、村役場までたずね歩き、 近江八幡で使っているのを探し当て、やっと生産者にたどり着いた……という思い入れのある逸品。おばあちゃんが介護の合間に、手を動かしたくてつくりはじめた円座。

滋賀県・近江八幡市はその昔、い草や麻の栽培が盛んで、農家の副業として畳表を織っていました。
その際にできた半端な、い草を芯にして円座を編み、神社などに奉納していたそうです。10年ほど前に町おこしのひとつとして、講習会などで作り方の伝承もあったのですが、いまはつくる人がほとんどいなくなってしまったそう。

谷中松野屋

触ってみるとしっとりやわらか。畳の材料である”い草”で編んでいるので、あのとってもいい香りがします。い草には接触冷感や湿度調整、消臭効果もあるので、とても心地よく使えます。縁側に敷いてお茶をしたり、和室やフロアに敷いて、座布団、クッション代わりに。椅子の座面にもおすすめです。

「最初は外国人で気に入ってくれる方が多くて。最近はステイホームの影響なのか、とても幅広い方にお買い求めいただいてます(きぬ子さん)」

谷中松野屋

超特大サイズのこちらは、谷中松野屋だけの限定アイテム!赤ちゃんの夏のお昼寝クッションにもおすすめとのことです。


夏の素足にさらさら心地よい、い草スリッパ

谷中松野屋

いぐさスリッパ/1,650円


こちらは岡山でつくられているい草のスリッパ。夏暑い時や暖房の効いたお部屋では、足の裏は知らず知らずのうちに汗をかいていますね。そんな時に、い草でできたスリッパが素足に気持ちよく、1日快適に過ごせますよ。

谷中松野屋
谷中松野屋

底はゴムを貼っているので、フローリングを歩いたり階段を上り下りするときも、滑りにくい安心感があります。


おそば、枝豆、おにぎりのせて。夏らしい食卓の引き立て役に

谷中松野屋
谷中松野屋

淡竹そばざる/小 3,630円 大 3,960円


淡竹のひごを極限まで細かくして編まれたざるです。竹製は水切れがいいのが特徴ですが、こちらは高台がついているのでよりしっかりと水切りできます。カゴの底面がシンクにベタッとつかないので、清潔感もあります。しっかりきゅっきゅと編み込まれた竹ならではの風合いと丈夫さにも愛おしさを感じます。そばざるのほかにも、トマトをぽぽんっ、枝豆をざざっとのせて食卓へ出したり、ほかほかおにぎりもいいなぁ……など、夢が広がります


繊細な見た目とは裏腹、しっかり丈夫でうつくしい3つセット

谷中松野屋

真竹六つ目かご 3つセット/7,150円


国産の真竹を使って仕立てた、「大」「中」「小」と大きさの異なるカゴ3つセットです。六つ目という大きい編み地で作られており、涼しい見た目はもちろん丈夫で滑らかな仕上がりに。水洗いや水切り、野菜の保管、はたまた懐紙を敷いて出来立ての天ぷらやドーナツなどを乗せて、そのまま食卓に並べるのも一興。3つ入れ子にして重ねて収納できます。


谷中松野屋

暮らしをととのえるザルも好評です

谷中松野屋

ベトナム深ザル楕円/小 3,080円 大 3,740円


非常に細かく裂いた竹ひごを編んだ、丁寧な手仕事が際立つ編み目が美しい楕円型のざるです。野菜の下ごしらえのときの水切りに使ったり、果物を入れたり、キッチンクロスやカトラリー入れにも。水に強い竹は丸ごと洗えて、使うほどに風合いが増していくのも魅力です。

谷中松野屋

お店ではきれいな色のいろいろな布類を入れてディスプレイ。


やさしい口当たりで夏にたのしみな冷た~いアレもすすみます♪

谷中松野屋
谷中松野屋

牛角長足スプーン/1,100円


天然の牛角で作られた、優しい色合いと口当たりのスプーンです。ヨーグルトやプリン、アイス、お手製パフェなどデザートを食べる時にはもちろん、コーヒーやジュースなど飲み物のマドラーや、来客用のとりわけの際にも重宝します。つるっとなめらかな透明感が涼やかで、季節感のある食卓がうまれるのと同時に、天然ならではの柄の出方の違いも魅力のひとつです。金属のカトラリーが苦手な方にもおすすめ。


谷中松野屋の店先といえば、かご・かご・かご

谷中松野屋
谷中松野屋

サイザルワンハンドルバッグ/6,050円


サイザル素材を使用したバッグです。めずらしいワンハンドルが旬のバゲットバッグのようなデザインで人気です。しっかりと丁寧に編み上げることで、丈夫でしっかりとしたつくりに仕上がっています。まあるいマチは、荷物を入れると中の荷物が安定し、使わないときはたためて便利。お買い物バッグにもよさそうです。使い込むほどにどんどんやわらかくしなやかに、味わいが増していきます。

谷中松野屋

タイの湿地帯に生えているカヤツリ草科の水草「クラチュー」で編まれたカゴバッグ。こちらもとても軽くてしっかりとしたつくりです。マチは正方形で安定感があるので、お弁当バッグにもぴったり。台所では野菜などの食材入れに、お部屋では雑多な小物入れにも活躍しそう。
(こちらのクラチューマルシェカゴは後日発売予定です)


落ち着いたらぜひ、谷中松野屋へ

谷中松野屋

取材中のちょっとした空き時間も、棚や椅子の配置を変えてみようかしらと弘さんと相談したり、商品をもっと素敵によくみえるよう並び方をこうかなああかなと考えたり、つねに何かしているきぬ子さん。松野家のご自宅にいらっしゃるときと同じきぬ子さんに、谷中松野屋でも出会えてうれしかったです。


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